「外見リスクマネジメント」を提唱してから様々な反応を見てきました。「外見リスク?へー、面白い!」と歓迎する人。一方、「外見リスク?(眉間に皺)外見なんて生まれつきのものを何とかしようなんてけしからん」「そんな上っ面で判断してはいけないよ」「石川さんは人を見かけで判断する人だったの?」と反発する人。あからさまに私を遠ざけるようになった人もいます。私の動画チャンネル石川慶子MTでも「内容はいいのですが人の外見についてあれこれ言うのはどうかと思う」と批判コメントも時々あります。それでも続けてくることができたのは、タブーへの挑戦であり、自己変革への好奇心だろうと思います。心理学領域での研究データも後押ししました。
誤解されないため「外見」を定義しておきます。外見を構成する要素は、「表情と声」「服装と着こなし」「姿勢と立ち方」「歩き方とジェスチャー」「髪型やメイク」の5つと定義しています。ノンバーバル研究者のマージョリーは9つの要素「身体的特徴(肌の色、人種)」「動作(姿勢や動き)」「目(つき)」「周辺言語(声の質)」「沈黙」「身体接触」「対人的空間」「時」「色彩」を提示しました(本コラム3回目)。「身体的特徴」は肌の色、人種は生まれつきであり、本人の努力ではどうにもならないため、私の定義では含めていません。「沈黙」「身体接触」「対人空間」「時」は、見えにくいため外してあります。「色彩」は個別要素と考えて外しています。
「表情と声」「服装と着こなし」「姿勢と立ち方」「歩き方とジェスチャー」「髪型やメイク」は、マネジメントが可能です。5つにしたのは、シンプルな理由で、多すぎると覚えられないから。目的はリスクマネジメントであり、研究ではありません。実務的にマネジメントできる形にまとめる必要があると判断したためです。
「表情」の決め手になるのが眉毛と口元の動きになります。今はコロナ禍でマスクをしているため、口元が見えません。そうなると表情が上手く読み取れないと不安になりませんか。眉毛を上下にしっかり動かすと目元が表情豊かになり、印象がよくなります。表情になぜ声がついているのか。口をしっかり動かして発声すると声が前に出て聞き取りやすくなるからです。このように表情と声は一体と考え、1つの要素としています。
他も同様で、「服装と着こなし」は服の歴史やシーン別マナーの知識に加えて、サイズを合わせたり、皺を伸ばして着るといった着こなしまでを含めます。「姿勢と立ち方」は歪みの原因や直し方、人間の目の錯覚を活用してスマートに見える立ち方を身につけます。「歩き方とジェスチャー」は人間の筋肉や動き、呼吸、間の活用方法。「髪型やメイク」は、自分の顔の特徴を生かした髪型やメイク、シーン別変化のつけ方です。いずれも自分の努力で身につけてマネジメントできる要素になっていることを改めて強調しておきます。
【外見リスクマネジメント基礎講座】(石川慶子MTチャンネル、RMCAコラボ企画)2018年収録
第10回 外見を構成する要素<前半>
https://www.youtube.com/watch?v=QbRrHNLSxeI&t=21s
第11回 外見を構成する要素<後半>
https://www.youtube.com/watch?v=boUfjfLWBz8&t=10s
参考文献:「被服と化粧の社会心理学」2003 北大路書房