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  1. 普遍的リスク対策 乙守栄一
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第103回 他律型から自律型組織への転

終身雇用制が崩壊したとは言われて久しいですが、日本の人財の流動性は欧米に比べるとはるかに一社にしがみついている割合は高い状態です。会社組織サイドからみると、せっかくコストを掛け、育ててきた人財がいなくなることは大きな痛手です。一方で、個人からすると、所属する企業は自己成長の場と捉える人も少なからずいます。
このように了見が異なることで、お互いの不一致が産み出す数多くの副産物(数多種類のハラスメント、出社拒否、心身疾患等)が存在します。大勢が何れかにも依りますが、人間はたいてい“楽すること”を選びます。自ら進んで苦労に飛び込まない習性があります。その結果、今のままで良い、変化しなくてよいという他律的な考えの人材が大勢を占めたとき、改革を唱える異端児が出てくると一斉に叩き潰します。今の自分の立ち位置が居心地良いのに、何を余計なことをしてくれるのか?という反感から生まれるネガティブスパイラル、これらが結局のところ、人手不足、生産性ダウン、不正行為等の温床になっています。「言い訳の社会構造」を作り出してきたとも云えます。
その一方で、通常の組織の人たちはAIやDX等の最新技術を耳にしたとき、そこは自分の役割ではない、太刀打ちできないという“アキラメの思考回路”が自らの脳を覆い尽くしてしまいます。そういうところで国家戦略として唱えられるリスキリングも、学ぶ対象が小手先で対応できるスキルや、資格偏重になりがちなところも正直出てきます。
では、どうすればよいのでしょうか?そのままルーチンワークはやがてAI等にとって代わられます。組織サイドとして、変化することへの人事評価を大きく上げ、ルーチンワークから変えないスタイルへの人事評価を大きく下げることです。そのための大前提はルーチンワークをアウトソース、乃至はDX化する方針を前面に押し出す“経営サイド”のかじ取りができるかどうかで大きく変わってきます。
その前提となるのが、経営陣が他律依存型からの脱却を人財育成方針として大きく掲げることです。自律型組織はあくまでも自分が主人公です。頭を自分に戻す、脳を自分に戻す、そして目利き力を自分に作る、これに尽きます。他律依存というのは頭、脳が他者にあることを云います。自分の頭は何のためにありますか?煩悩に晒され、平々凡々と日々過ごすためにしか使わない、微弱電流しか起こさない脳の使い方しかしないのでしょうか?
AIの台頭でまさにこの他律依存が進んでいくでしょう。しかしながら、AIはあくまでも補助ツールでしかなく、よく言えば自分に仕えてくれる専属秘書のような存在です。しかし、決断、判断はその頭を持っているあなた個人の脳で判断しなければなりません。AIは判断できません。AIに判断するように命令は出すことはできますが、それもそう結論付ける浅はかな脳の持ち主でしかありません。
頭、脳を使う使い方について、専売特許というモノは存在しません。すべての人に平等に与えられているものです。ただし、頭、脳を積極的に使っていくかどうかは、人それぞれの意志に依ります。外発的動機、内発的動機いずれにおいても、やる気を起こさせるスイッチを入れることは組織の重要なミッションとなります。少なくとも、社員がその組織を離れるか離れないか、このスイッチを入れられる組織であるかどうかに依ってくる部分で大いに関係してきます。組織への帰属意識という面においても大きく寄与してきます。ただし、自己成長のみを起点に考えるタイプの人財は異なる世界観を持っているため、帰属意識とは次元の異なる目線があることは念頭に置いておくべきです。
組織にいる人に対し、目指すべき夢であり、志を持つことのできる組織であることを示せているかどうかは自律型組織への成長スピードを大きく左右します。具体的なことでいえばそれが経営理念であり、ビジョンということになるでしょうか。これら経営理念、ビジョンについて、共感を得られるレベルにまで組織にいる人に落とし込めているかどうか、ここが大きくカギを握ります。人の育成には時間を要します。だからこそ、自律型組織への第一歩として、自分の頭、脳を自分に戻す、その戻し方を誤らないための習慣付け、意識付け、それらが大切になってくるのではないでしょうか。組織のミッションを過たないリスク対策としても、今の時代にはこれらの自律型組織作りは必須となってきています。今まさに起きている変化自体を止めることもできないと同時に、変化の方向性は誰にも予測が付きません。皆さんの所属されている組織はどんな状態ですか?今一度、振り返ってみられるのも良い機会と考えます。

株式会社シー・クレド
代表取締役 乙守栄一

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