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  1. 普遍的リスク対策 乙守栄一
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第109回 真の実、謝罪の勇気、そして贖罪へ

考える力、目利き力、これまで何度となく触れてきました。日本国民一人ひとりが何かしら痛い、苦しい、おかしいという実感を徐々に持ち出したことに端を発し、気付きを得始めたように映ります。テレビや新聞等、メディアの報道することが正しいという日本国民の大半が持っていた潜在意識が崩れ去ろうとしています。その結果、今ではテレビや新聞のことを総じてオールドメディアと呼ばれるようになってきました。

2024年11月の兵庫県知事選では当初の予想を大きく覆し、斎藤元知事が知事職に返り咲きました。大きくオールドメディアで報道されていたとおり、百条委員会という公開型諮問にも耐えに耐えた後の再立候補。真実が大きく覆されたことを知った時、何人かのコメンテーターは認識に誤りがあったと素直に詫びを入れ、思考/行動を180度転換して今までの敵が味方として機能することとなりました。このようなコメンテーターはインフルエンサーとしての機能も大きいため、一つの発言にも大きな力を発揮します。これらの背景にはSNSをはじめとしたネットの力が大きかったことは言わずもがなです。

オールドメディアには既得権益が大きく働いているため、と良く言われます。民法や新聞各社は広告媒体での売り上げが大きく収益に寄与するということがあります。これら広告主の不利になる報道は売り上げに直結することから、避ける方向にあります。また、国家権力の中枢である官公庁の出す情報を是とする原則がオールドメディアに染み付いていることも、公共放送としての情報伝達をダイレクトに誘導する所以と言わざるを得ません。これらのことから、事実である全体を報じることなく、一部だけを切り取って報道する、あるいは事実検証をすることなくそのまま伝聞調で訊いたことを何の疑いもなく報道する“偏向報道”がまかり通っている状態が今のオールドメディアの状態です。

ただ、このようにオールドメディアの報道をそのまま信じてしまう側にも責任があります。騙された、いい加減な情報を流して、と非難を浴びせるのは他責以外の何物でもありません。他責にして何が解決できるのか?というところが完全に抜け落ちているのです。世の潮流を見据えることなく、流されるままに生きてきた、困ったときは誰かが何とかしてくれる、その誰かがたまたまオールドメディアだったと信じていたところが蓋を開けると梯子を外された状況になった、と解釈してしまいます。

情報発信側の行動パターンとしては大きく3つ存在します。一つ目は事実が明らかになったことで素直に詫びを入れ、自分自身の行動を改めるタイプ、二つ目は事実が明らかになると口を封じ、完全に雲隠れするか今までの事実を無かったことにするタイプ、三つ目はその事実をさらに重箱の隅を突き、立場の逆転を狙うタイプ、です。

何が真であって何が否か、その時々で自身の目線、力量で判断すべきところで、その信じたところを忠実に行動することを非とすることではありません。ただ、今までの真が否となったならば、それを謝罪する勇気、それが求められるのではないでしょうか。

情報セキュリティ対策においても、インシデント対応における原因究明を行なうとき、様々な関係者へのヒアリングやログ等の調査を行い、発生要因を特定していきます。その際、特定の人に原因が行き当たった時、必ず行ってはならない禁止事項があります。その特定の人を責めることをしない、ということです。客観的な分析と共にそれを共有したことで、再発を如何に防ぐかがポイントになります。特定の人を責めたところで何も残らず、シコリだけが残ります。シコリが新たな恨みとなり、次なる火種を産むことになるとも限りません。

謝罪した後の行為は、その過ち(失敗)を基に周りに還元することが必要です。単に謝るということだけではなく、その過ち(失敗)を糧にした行動変容を持って周りに寄与するということが肝心です。素直に返る、そして行動を改める、この一連の行動に対して、周りの人は揶揄せず、赦す心が求められます。往々にして日本人は一つの罪を未来永劫、責め続ける傾向が強い民族です。その習性を知る日本人が編み出した防御本能が他責にする、逃げるという行動パターンなのです。お互いが素直になり、赦すことが実現されることで、認め合う社会の実現になっていくのではないかと考えますが、皆さんのご意見はいかがでしょうか。

株式会社シー・クレド
代表取締役 乙守 栄一

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