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第111回 虚と実の裏表が及ぼすリスク対策

報道統制というとどういうイメージを抱かれるでしょうか?新聞、テレビ/ラジオといったメディアが発信する情報、本来は中立の立ち位置で事実を捉え、脚色することなく伝えるべきことを漏れなく淡々と伝えることが本来の正しい姿です。ここの漏れなく、という点が解釈として大きく分かれることになります。伝えなくてもよいと下手な判断軸が入ると、これは明らかに内容を省くということとなり、伝えられる側の解釈の方向性を大きく歪めてしまうこととなります。

伝える内容の粒度も大事な要素となってきます。短く端的に必要なことだけを淡々と伝えればよい、確かにその利点はありますが、その内容を精査することはかなり高度な技術・ボキャブラリを要します。汎化や特化といった軸建てで捉えた場合、汎化すれば伝えられる側は解釈に幅ができてしまう一方、特化では伝える内容を限定してしまいかねません。この汎化と特化(具体的な事例を取り入れるなど)をうまく組み合わせることで、事実の解釈を正しくするということが本来のメディアの果たす役目と考えます。

伝えられる側の解釈の力量はそれこそ個人差が大きいことも現実としてありますが、伝えられる内容に関してシンプルさのみを追求すると、今度は伝えられる内容の希薄さにつながってきます。

このように、真実を伝える“伝え方”にも角度の異なるアプローチを駆使することで、解釈に誤解のない伝わり方をする確度が大きくなってきます。

ただし、ここに確信犯的な意図が入り込むと話は大きく変わってきます。虚が意図的に入り込んできます。これを人が信じ込んでしまうように誘導するような発言、音声が多いことで、あたかも経験してきたことのように情報の受け手がうわべだけの安易な解釈をしてしまうことが発生してしまいます。人は元来面倒なこと、危険と想定されることは避けたい性質があるため、どうしてもこのような魔の仕掛けに吸い寄せられてしまいます。

恐怖政治という表現にもあるとおり、真実を語る者に対して圧力を掛けることが概して行われ、各種弾圧が何処彼となく、何かに操られているかの如く執り行なわれていきます。これもそこには感情の入る余地もなく、まるでロボットのように淡々と無機質に執り行われていきます。

無思考状態の操り人形と化した人間が、“虚”を“実”と機械的に信じ込んで集団行動を起こすことは大きな破壊力を生み出します。“実”を信じる人々をも吞み込んでしまう勢いは想像を絶する力です。

ただし、いつまでもこの“虚”が“実”として雲隠れする事態は続きません。あちらこちらから矛盾する結果を生み出し、疑念が生じてきます。どこかおかしい、奇妙であるという周辺事象が垣間見られてくると、それが急速に踝を返す勢いで反転攻勢を仕掛けてきます。

ここで大事なポイントがあります。今まで信じていた“実”が“虚”であったことが分かった時、“実”の方に付くか?それとも“虚”の方をあくまでも追い続けるか?という2点です。“実”の方に付く場合の挙動でも2パターン現れます。一つ目は当初、“虚”を“実”として信じて周りに吹聴していたことを無いことにして、急転、“実”しかしらないと開き直るタイプ、これは決して許されることではありません。二つ目は“実”が実際に“虚”であったことが分かった時に、自らを反省し深く詫びを入れるタイプが最も理想です。

“虚”の方をあくまでも追い続けてしまう人は、どこかで頭を打つしか仕方がありません。

先の2パターンの二つ目については自ら反省し、深く詫びるということになったとき、気付きを得たということで個人としては大きく成長したことになります。ここで、この詫びている人を過去に言っていることと違うと、責めてはいけません。赦すことが肝要です。新たな同朋として迎える度量の大きさが求められます。一度気づくと、この気付いた本人は決して裏切ることはありません。味方として大きく貢献してくれます。

一挙に大きく動くことはありませんが、情報が“虚”であったことへの気づきは味方を増やしてくれる大きなリスク対策です。如何に“虚”であることに気付いてもらうか、その活動への理解・納得が大きなリスク対策となると考えますが、ここ昨今のオールドメディアとSNS等との情報合戦を見ていてどのように判断されますか?このようなリスク対策をまさにSNS等を通じて発信している方々に当てはめてしまうのは私だけでしょうか。

株式会社シー・クレド
代表取締役 乙守栄一

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