RMCA-リスクマネジメントの専門家による寄稿、セミナーや研修・講座などの情報

  1. 普遍的リスク対策 乙守栄一
  2. 10 view

第112回 自靖自献の念を現代に活かすには?

前職を退職した後、長らくその関係性が途絶えていたところ、先日偶然にもそのOB-OG会が開催され、11年ぶりに東京丸の内にて旧交を深める機会を得ました。現役社員も含め、総勢70名の参加があり、元社長も出席されるなど、年次を超えた接点ができたことは非常に意義深いことでした。その参加者の中に、教育に篤い想いを持つOBの存在がありました。

後日、そのOBと別途Web会議の機会を戴き、2時間弱もの間、教育に関する彼是を語る機会を得た中で出た話題はやはり共通する理念は道徳、人間学の重要性でした。経済一辺倒、偏差値傾倒主義の中、何かポツンと置いていかれたそれぞれの人が持つ心の空虚感が何処彼処に存在する、そんな中で目にしたのがこの自靖自献の念です。

自靖とは「自らやすんじる」ということですが、その意味は自らの心の平安を保つこと、という意味になります。今の世に目を移した時、世界はどうか?国政はどうか?官民ともに自靖の動きはみられるか?教育そのものの中身はどうか?等々、それぞれはチェーンのごとく非常に連鎖していることだけはわかります。何かしら不安・不満に覆われた世の中になっていないでしょうか?

自国第一主義と唱える某国、その自国第一主義の煽りを受け、日本の国政は何も言えずただ従属するだけ、その政策は決して日本のためにはならず、増税として圧し掛かる。あらゆる物価の高騰を招き、実質賃金はその高騰に追い付かず、我々はたった今、インフレに苦しむ状況に置かれている実態があります。では教育はどうか?自国第一主義の某国に隷属する日本は心のない状態に置かれ、その中で教育カリキュラムが組まれています。知識偏重教育の弊害は個人から考える力を奪ってしまっていました。少なくとも考える“深度”を奪っていることは紛れもない事実です。このような実態の中、おかしいことはおかしいと言えず、先生や目上の人の言うことがすべて正しい、と刷り込まれてきてしまっていることが、どこか個々人の心に歪みを産み出してきていることは過言ではありません。

この不安を取り除くことこそ、教育の根源の大元になるのではないかと考えられます。芯の強さを持つための教育、それが道徳であり人間学です。本来、人としての正しい生き方は万国共通であるはずが、そこが完全に取り外されてしまった今の日本のカリキュラムは大いに改定がなされるべきです。しかし、その根本を知らない戦後に育つ大人は往々にしてその教育を行なうには無知な状態であるため、子供に教える資格そのものもあり得ません。大人自体も含めて道徳、人間学の教育を行なう必要があります。

本来、子供の教育を教えるべき教師を育てる、そういう教育も今後大きくしていかなければならない時代になってきています。道徳、人間学に関する教育の方法に国境はありません。それぞれの国の良いところを隈なく取り入れ、それを採用することが万国共通の平穏な世直しに繋がると考えます。自国で知らない理念があれば、それに気づく機会を作ればよいのです。変な拘りなど一ミリも必要ではなく、それは害でしかありません。

一朝一夕に教育方針は変えられるものではないことは重々承知です。ただ、そのような機会を作り上げていくことで、道徳、人間学の根底を理解した人が増えていく、それが“自靖”の念を世に作り上げていく土壌になっていくことは確実です。

自らの心の安寧が周囲にもたらす好影響、それが信用・信頼の輪に繋がり、良い意味での好循環、それが“自献”の念に繋がります。結果論かもしれないですが、世のため人のために自らを尽くすという“自献”の念。決して意識することがなくとも、自然発生的に心の安寧を個人が築くことができれば、その波及効果は伝播していく、それが“自靖自献”の意味合いになってくると考えられます。

皆さんの組織においても、この自靖自献の波及効果、ボトムアップ的にでも目指していきませんか?それが理屈抜きで自然と伝播していく、その波及効果を体現してみませんか?きっと風通しの良い組織が出来上がることと考えます。

株式会社シー・クレド
代表取締役 乙守栄一

普遍的リスク対策 乙守栄一の最近記事

  1. 第113回 リスク対策におけるユーモアの効用

  2. 第112回 自靖自献の念を現代に活かすには?

  3. 第111回 虚と実の裏表が及ぼすリスク対策

  4. 第110回 “心”の通わせ方によるリスク対策

  5. 第109回 真の実、謝罪の勇気、そして贖罪へ

最近の記事

2025年4月
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
282930  
PAGE TOP