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  1. 普遍的リスク対策 乙守栄一
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第49回 単位時間あたりを考える

普遍的リスクマネジメント

乙守 栄一氏

「単位時間あたり」というと、生産性を表す工数(ex. 人/日)、スピードを表す速度(ex. km/h)、業績など年間売上(ex. 円/年)などがあります。どれも数字として明確に表れるもので、単位時間を区切ることで、経年変化や効率性など相対比較ができるようになっています。定量的に測定できるなど、会社でいうところのパフォーマンスを測定するメトリクス、KPIとして成績査定としても使われたりします。

しかし、この数字というものは時に、魔物に変化します。結果を見るにはわかりやすい“数字”という単一指標。定性的な評価項目が組み込まれず、往々にしてプロセス等の重要な要素での貢献度合いの評価が反故にされることがあります。
では、定性的とは何でしょうか?熱意、考え方、人間性、コミュニケーション、人脈等は数字では表わせられないものです。ではそれはどのような形で表せるのでしょうか?個人的にはプラスかマイナスかのベクトルで表されるものと考えています。

熱意:プラス:やる気のある活性化状態、マイナス:やる気のない不活性状態
考え方:プラス:自律的、主体的、マイナス:他者依存、受け身
人間性:プラス:倫理的、道徳的、マイナス:自己中心的、排他的、他
コミュニケーション:プラス:肯定的、マイナス:否定的
人脈:プラス:信用・信頼の関係、マイナス:一方が他方を支配する関係

数字さえ上げればよい、という世界の中に、このプラス、マイナスの要素を加味したとき、どう見えるでしょうか?売上は好調、しかし、社員はやらされ感たっぷりで他者依存、日和見で決断できない社長のもと、社風は暗く、社内の融和は一切なく黙々と仕事をこなす、人脈といえばクライアントに対してはいつもペコペコ頭を下げ、簡単な値引き要求も受けてしまい、クライアントに支配されてしまう構図。結果としてこの会社はこの先、どうなっていくとみますか?誰しも良い展開は期待できない会社とみるでしょう。しかし、この定性的要素は表面上(ex. ホームページや会社案内上)からは浮き彫りにしにくいものです。

そういう中、政府から出てきている働き方改革による残業抑制等、外的な縛りは出てきているものの、所詮それも数値上の定量的な縛りに過ぎません。この定性的要素を如何に読み取るか?外部情報から内部事情を垣間見ることができます。退職者が書き込む転職情報サイトの情報、全てがすべて情報筋を信用することはできませんが、参考にはなります。これが会社の評判を落とすような内容であれば、風評と叫ばれることもあるでしょう。しかし、それ以上に労働者も一人の人間です。考えなり、ポリシーをもって生きています。それが良いか悪いかは別にして、どれだけ自分が仕打ちを受けてきたかという点に、非常に敏感な状態となって書き込みます。

小中高、そして大学と学歴が続く中で、この定性的な教育はほとんど成されてきていません。それこそ教師のエゴ、親のエゴ、それが当たり前という中で支離滅裂な思考状態で社会に人材がリリースされてくるわけです。法律さえ守っていれば何をしてもよい思考の人種が席捲しています。人事部はSPIなど、数値で測る試験で人を評価し、人手不足も相まって客観的基準で採用する中で、社風に合う/合わないという価値観も弁えられない社会人が、会社という組織を知らぬ間に覆い尽くしている実態。それではまともに組織が機能する道理がありません。

雇用する側も雇用される側も、この定性的なベクトルがマイナス状態であることが、どういう連鎖を引き起こしているか、想像に難くないはずです。

自分にとって損か得かという“知恵”ではなく、自分や他者にとって“善”か“悪”かという“智慧”を使った生き方、それが定性的なベクトルをプラスにもたらす源泉となります。

会社であればその経営理念、それに共感する社員が如何に増えるか、智慧を働かせて事業を永続させていくために、日々の単位時間当たりのプラスマイナスのベクトルをチェックしてみませんか。ミクロな視点から得られる新たなリスクの芽が見つかるかもしれません。

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