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第50回 よい質問とは

5月25日、緊急事態宣言が全面解除の発表がありました。この日の総理会見では問題を浮き彫りにしたよい質問がありましたので解説します。

国民の疑問をぶつける
5月25日の緊急事態宣言解除についての会見をざっと振り返ります。まずは冒頭発言について。今回は、感染で亡くなった方への哀悼の言葉を述べた後、「解除」を宣言しました。この順序はよく考えられていました。

その後、解除の理由、3月からの振り返り。世界と日本の比較をし、1カ月半で収束できたことを「日本モデル」と成果を強調。今後の経済活動立て直しに向けての段階的な見通しを示し、政府による具体的支援の追加策、人件費助成の1.5万円への増額、店舗の家賃給付金600万円の創設、本年創業へのベンチャーへも200万を給付金することにしたこと、医療従事者への感謝としての20万円給付金、バーやナイトクラブへの感染防止策援助としての上限200万の補助金。さらに100か所あるPCRセンターをより一層拡充すること、接触確認アプリの導入等など、ありとあらゆる策が盛り込まれていました。最後は、ワクチン開発、世界でリーダーシップを発揮すること、国民への協力お願いで締めくくられました。

国民の声を聞いて拡充努力をしていることはよくわかりましたが、こうして振り返ると、これでも批判するか、といった反撃のような激しさで盛りだくさんの内容のようにも見えてしまいます。おそらく、黒川前検事長の辞職問題も意識してのことだったかもしれません。

いつものように、安倍総理の対策内容にしろ、数字を明記している等内容は悪くないと思いました。それでも国民からの信頼は低いのはなぜでしょうか。この日の会見で私が着目したのは、フリーランスのジャーナリスト、江川紹子さんの質問でした。

「たくさんいいことをやりますという話を聞きましたけれども、それがものすごく時間がかかっている。・・・・いくらいいことをやりますといってもかなり時間がかかっております。これはどうしてなのか。1つ1つの問題はいろいろあると思うのですけれども、何かもっと根本的なところが何か問題があるのではないかと。この間、検査のことで目詰まりとおっしゃっていましたが、そこに通じる問題があるのではないかと。・・・・総理ご自身は今の問題についてどのように認識していらっしゃるのか。・・・・・検証についてはどのようになさるのか」。適切な質問であり、今後のためにも解明すべき内容です。この日もっとも国民の疑問をぶつけていたといえるでしょう。

使いすぎると効果が薄れる
これに対する総理の回答。「様々な給付について時間がかかるのではないかというお話をいただきました。・・・・IT化等々について十分に進んでいない点があることは率直に認めなければならないと思います。・・・・マイナンバーカードと銀行口座が既に結びついていれば、これはかなりスピード感をもって対応することができたのだろうと、こう思います。・・・時間がかかっているというのは事実でございまして、こうゆうときには思い切って発想を変えるということもとても大切なのだろうと思います。・・・真剣に反省しなければならない・・・・・これからも全力を尽くしていかなければならないと思っています。・・・全体的な検証は収束してから」

安倍総理の答え方には特徴があります。相手の言った言葉や問題点をまず繰り返します。これはいいやり方です。いきなり回答するよりも、相手の言葉をきちんと受け止めましたよという印象を与える効果があり、自分にも考える時間を創出することができるからです。そして率直に反省を認める姿勢。「反省」「私に責任がある」といった言葉を安倍総理は躊躇なく使うのはよいのですが、使いすぎると効果は薄れます。さらに最後がよくありませんでした。「収束してから検証」では、いつになるかわかりません。タイミングをみて必ず検証する、できることから検証する、とすればよかったのです。これでは逃げているように見えてしまいます。その点、尾身さんの方がわかっていたようで、「専門家として中間評価は出すべきだ」との考えを力強く述べています。

そして、江川さんが指摘したようにどんなによい策を立てても、効率よく実行できる組織を作り上げてこなかったことが問題なのです。行政機関のIT化の遅れだけではありません。学校教育もしかり。ブラジルでさえ、公立高校はタブレット授業を2018年の時点で行っています。一斉に臨時休校にする権力を行使するのであれば、IT化も本気で取り組めばできるはずです。検察庁といった権力への執着ではなく、弱者にこそ権力を使っていただきたい。そうすれば、総理のメッセージは確実に国民に届き、信頼されるのではないでしょうか。

<参考サイト>
2020年5月25日 安倍総理会見
https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/actions/202005/25corona.html

2018年12月9日 Forbes  宿題はタブレットで配布、スマホで提出、ブラジル郊外の公立高校
https://forbesjapan.com/articles/detail/24305

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