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  1. 産業法務の視点から 平川博
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第72回 健康器具を巡る問題点

1.健康器具とは
「健康医療機器ガイド」(健康器具、医療機器、治療器等の選択サポートサイト)の「健康器具とは」と題するウェブページでは、『医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律』上の医療機器ではありませんので効能、効果を謳うことはできません」という冒頭部分に続いて、以下のように記載されています。***********************************************************************************************

認証を受けていないのに効能や効果について言及することは「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」違反です。

健康に役立つ器具のことを一般に健康機器とか健康器具と呼んでいます。このサイトのタイトルのように「健康医療機器」などと呼ばれることも有りますが、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」上は政令で定める「医療機器」と「それ以外」といった分類になります。本サイトではその「それ以外」のものを「健康器具」と呼び、以下のように定義します。

運動の補助具として使用し、その運動の結果として健康増進に役立つこと、あるいは運動や日常行動を計測管理することにより健康増進を促すことを目的とする器具
***********************************************************************************************(https://kenko.sffs.info/kenkoukigutoha.html)

2.未承認の医療機器扱い
東京都福祉保健局HPの「承認のない医療機器の広告について」と題するウェブページでは、「解説」という見出しの下に、以下のように記載されています。**********************************************************************************************
■承認のない医療機器の広告について
構造、原理、目的等から判断して医療機器に該当する製品について、医療機器の承認を取得する前に、効能効果等について広告することは医薬品医療機器等法第68条に違反します。

■医療機器とは
1 疾病の診断、治療、予防に使用することを目的とするもの
2 身体の構造、機能に影響を及ぼすことを目的とするもの
上記1,2の目的を持つもので、医薬品医療機器等法施行令で定める分類表に該当するものは、医療機器となります。
例:心臓ペ-スメ-カ-、超音波画像診断装置、聴診器、補聴器、コンタクトレンズ

■違反の多いもの
例:肩こりの緩和を目的としたバイブレ-タ-
例:赤外線による血行促進を目的とした器具
例:低周波により皮下の新陳代謝を活性化する目的の器具(美顔器と称して広告されていることがある。)
***********************************************************************************************(https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/kenkou/iyaku/sonota/koukoku/huteki/k_zakka/ihan07.html)

3.雑品扱い
医薬品医療機器等法(正式な題名は「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」)の規制対象である医薬品、医療機器、医薬部外品及び化粧品のいずれにも該当しない製品は、「雑品」として扱われます。

雑品は原則として効能効果等について広告することを医薬品医療機器等法第68条により禁じられていますが、「指圧代用器等の取扱いについて」(昭和45年12月15日薬発第1136号)と題する各都道府県知事あて厚生省薬務局長通知では、「単に突起物やてこ等を応用し背筋等にあてて指圧する器具類(電動式のものは除く)」(指圧代用器)と「赤外線を利用したこたつ」と「膣洗浄器」の3品目に関しては、以下のように、一定範囲の効能、効果のみを標傍することが許容されています。***********************************************************************************************
1 単に突起物やてこ等を応用し背筋等にあてて指圧する器具類(電動式のものは除く。)は、次に掲げる範囲の効能、効果のみを標傍する場合に限り医療用具に該当しないものとして取扱うこととすること。従つて、今後これらの器具類については、薬事法の規定に基づく製造の承認、許可等を必要としないものであること。ただし、次に掲げる範囲以外の効能、効果を標傍した場合は無承認、無許可の医療用具に該当するのでこの点十分留意され、製造業者等に周知徹底されたいこと。

(1)あんま、指圧の代用(読みかえはしない。)
(2)健康によい
(3)血行をよくする
(4)筋肉の疲れをとる
(5)筋肉のこりをほぐす

2 赤外線電球を用いたこたつについては、従来、医療用具(薬事法施行令(昭和三六年政令第一一号)別表第一器具器械の項第一二号理学診療用器具又は第七八号家庭用電気治療器)として、薬事法の規定に基づく製造の承認及び許可を与えてきたが、暖房用器具の認識が強く、疾病の治療若しくは予防の目的をもつてこれを利用することはまれであると判断されるので、将来は医療用具の範囲から除外することとし、とりあえず昭和四六年四月一日以降において新たに製造承認の申請を行なうものについてはもちろん従来承認したものについても、その効能、効果を次の範囲とすること。

(1)しもやけ
(2)ひび
(3)あかぎれ
(4)疲れ
(5)脚の筋肉痛
(6)腰痛
(7)足腰の冷え
(8)冷え症

3 膣洗浄器については、従来、前記薬務局長通知により医薬品を用いて洗浄する器具のみを薬事法施行令別表第1器具器械の項第55号「医療用洗浄器」として取扱ってきたが、今後は膣の洗浄を目的とする器具(ホテル又は家庭にすえつけられたものを除く。)は、水またはぬるま湯を使用して洗浄するものであつても医療用具として薬事法の規制の対象とすること。従つて、これらについては同法の規定に基づく製造の承認・許可をうけるよう貴管下の製造業者等を指導されたいこと。***********************************************************************************************(https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00ta6935&dataType=1&pageNo=1)

4.未承認医療機器と雑品の境界
未承認医療機器は医療機器として必要な承認を得ていないのに対して、雑品は医療機器に該当しないという点で異なりますが、両者の区別が難しいものが少なくありません。この点について、愛知県庁HPの「いわゆる健康器具等の広告・販売について」と題するウェブページでは、以下のように記載されています。***********************************************************************************************医療機器的な効能効果の標ぼうについて
いわゆる健康器具や美容器具に医療機器的な表現(病気の予防や治療に効果がある旨等)を標ぼうすることは薬事法【引用者註:現在は医薬品医療機器等法】で禁止されています。また、それらを標ぼうした製品について販売等をすることも禁止されています。…(中略)…

不適広告事例について
以下の事例のように、承認・認証を受けていないものは医療機器的効能効果を標ぼうすることはできません。
例1)筋肉運動補助器具(青字が不適部分)

「これは、手軽に筋肉のトレーニングができ、仕事に疲れたときには首や肩に装着してコリをほぐしたり、ふくらはぎに巻いて運動後の足の疲れをとったりできる万能マシーンなのです。」
例2)マイナスイオン関連製品(青字が不適部分)

「マイナスイオンは、血液をサラサラにする効果があり、心臓病の予防やがんの予防にも効果があると言われています。また、アトピー性皮膚炎やアレルギー症状が緩和された例もあります。」***********************************************************************************************(https://www.pref.aichi.jp/soshiki/iyaku/0000044359.html)

5.結語
健康器具は筋力や体力や持久力等の増進が目的であり、結果として病気の予防や治療の効果が生じることがあっても、医療機器として承認・認証を受けていない限り、病気の予防や治療に効果がある旨標ぼうすることを禁じられています。この点に留意して、産官学が連携して、より良い健康器具の研究開発と適正な製造・販売を推進することが望まれます。

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