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第80回 気さくさが呼び込む対人関係リスク対策の術(すべ)

初対面で人と会う時、緊張して言葉が出てこない、という経験を持つ方も多いかと思われます。初対面でなくても、話が続かない、この人は自分のことをどう思っているのか?そのあたりが気になりだすと話せなくなってしまう、単に相手の話すことに頷くのみということもしばしば社会生活の場では目にします。

今回のキーワードである、「気さくさ」が呼び込む効果がどれほどあるかという点について考えてみたいと思います。「気さくさ」とは飾らず、フランクであり、かつ性格がさっぱりしていて明るく、変な拘りがない性格の持ち主、ということになります。私はココの神髄がどこにあるかを見極めるために、敢えて話しぶりや話題の豊富さに焦点を充ててみたいと考えました。

まだ信頼関係が構築できていない間、人はどのようにして信用・信頼関係を構築していくでしょうか。まず、相手と会話しないことには何も始まりません。できればリアルで会ったうえで、素となる自分を知ってもらうことが肝心です。当然、相手の話すことに耳を傾ける傾聴が軸にあることは間違いありません。単純な頷きだけでもダメです。オウム返しも時としてはOKでもいつも行なわれると嫌気をさされてしまいます。しかしながら、話題としてビジネス上の話の前に、如何に雑談集のストック、幅を持っておくかが大きなカギとなります。当然、趣味が一致すればそっちの方で話が弾むのはわかります。しかし、全員が全員そういう訳にはいきません。釣りは行なうものの、ゴルフやテニスの会話には全く付いていけないというのも、バランス的には非常に辛いものがあります。

そのような中、如何に会話のピンポンをできるか、言い方を変えればラリーが続くか、これが相手の心の会話のキャッチボールとなり、相手を知る一つのLINEとなります。その中で相手に印象を与えられる会話ができれば、それが相手方に記憶という形でインプットされ、次回会った時にはその話の延長線上で話が続く、次の段階に移行できることになります。相手も知り、自分も知ってもらう、ここの重要な要素が「気さくさ」ではないかと考えています。

ある人の中には、自分のことばかりを主張し、一切譲らない人がいます。エゴの強すぎるタイプです。また、見え見えの態度も相手を退かせてしまう大きな要因となってしまいます。怒りっぽい人、同じことを永遠繰り返し話してしまう人、人の意見に同調しすぎる人(自分のない人)等々、人のタイプを上げればキリがないです。

気さくな人の共通点として、接している相手をきっちり気持ち良い状態になってもらうための人間関係のベースとなるインフラを構築できる人、という定義ができるのではないかと考えています。

気さくな人の要素の中にはユーモアも当然、要素としては入っています。相手の緊張のタガを外すカギを持っている人です。理屈で考えてできるものではなく、自然と備えるための修行が必要です。そのベースがジャンルを問わない、リベラルアーツ的な関心の持ち方が必要になってきます。専門性を求めるのではなく、相手の関心の土壌で理解できるレベルの知恵、見識を持っておくことが必要です。一朝一夕には養われることはありませんが、日々鍛錬を重ねることで、素養は高まっていきます。本を読むことも然り、尊敬する方の講演や話を聞くことも然り、時には自分で体験してみることも然り、自分にとって付加価値の花を咲かせられるそういう素養を常日頃からどう養っていくか、それが気さくさの原点ではないかと考えます。

決してひけらかすことなく、要所要所でポイントだけ自分の言葉で表現し、自分のワールドに相手が自然と入ってきてもらえるような関係になると、もうこれは人間関係構築のベースが出来上がったといっても過言ではないでしょう。決してテクニカル上、法則があるわけでもなく、自然素養として備わるこの「気さくさ」は大いなる武器になると考えますが、皆さんの身近にそのような方はいらっしゃいませんでしょうか。

京都府立医科大学特任教授
株式会社シー・クレド 代表取締役
乙守 栄一

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