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  1. 普遍的リスク対策 乙守栄一
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第87回 サムシンググレートから見る意識の醸成

人はなぜ、この地球上に存在するのか、ふと立ち止まったときに何気なしに考えることはないでしょうか?人間本来、何故この世に生を受けているのか?何のために一生を過ごすことになっているのか?人間としての役回りを終えるとどこに行ってしまうのか?消えてしまうのか?それらの答えは誰にも証明されていません。

宗教においては、神というものを前提に置き、人としてこのように歩むべしという役割が説かれています。一方、哲学というものは神という存在は置かず、人間そのものにフォーカスし、人としてどのように歩むべきか、数々の先人が説いてきた道徳的な教えとともに人の生きる術として説かれています。

生きるということは、動物本来的には危険から身を守るためにどうしても防衛本能が働き、それがゆえに人とのかかわりの中で様々な軋轢が生まれます。その軋轢の中を掻い潜って生き延びていく、いわば生きていく本能として“知恵”が編み出されました。和を乱さず、人とひととの関係性を維持するための一種のルールが宗教であり、哲学といえます。

人間の身体は何兆という細胞、数々の細菌等で構成されています。細胞や細菌もそれぞれ命がありますが、生きている人間として感じる命は一つです。人間の身体というものが一つの小宇宙を構成しているが如く、独立独歩、人間そのものを活かし続けるために、バランスを取って細胞や細菌は体内で生活をしてくれています。何故なら、人間が倒れると細胞や細菌も共倒れになるため、必死にバランスを取って病にならないよう、一個人の身体を生かし続けられるように頑張っています。

一方、社会も一つの生命体と見ることもできるのではないでしょうか。会社組織を構成する組織構成員が100人なら、その100人が会社の運営を役割に応じて担っていきます。その結果、会社は生き物が如く動き、社会経済を廻す一翼を担うといっても過言ではないでしょう。

地球も同じです。世界70億人、80億人とも言われる人がいずれかの国で活躍し、そしてその本分として生きていることそのものが、宇宙船地球号と言われる所以です。

様々な欲求とともに人が満たされていく、生き切った、後悔なしと思える人生を送った後、魂はどのようになっていくのでしょうか。肉体から魂は脱皮のごとく切り離される、これは確実なことです。人としての命が切り離される、それが“死”と定義されますが、そのまま魂まで消えてしまうのか?というとそうではないと最近科学的に証明されてきていると言われています。人間の魂そのものにも重さがあるという科学的証跡も出てきています。量子力学的な観点で魂、意識は、死と共に「波動」となって出ていくということがここ最近説かれるようになってきました。

では、魂は波動となってどこに行くのでしょうか?偉大なる大本とでも言いましょうか、故村上和雄筑波大学名誉教授はその存在をサムシンググレート、別の書籍ではゼロ・ポイント・フィールドと表現しています。魂は死を迎えると肉体という器から解放され、自由になると動物本来が持つ自己防衛本能からも解き放たれます。すなわち自我からの解放とでも言いましょうか、人間を形作っていた欲望からの解き放ち、拘りからの解放、いわゆる個性からの解放が為されます。魂は意識そのものでもあります。この意識は、肉体が滅んだとしても生き続けるものと捉えたとき、現世そのものがある一つの通過地点でしかない、一瞬の出来事にしか過ぎないと言えるのかもしれません。サムシンググレートから見た宇宙船地球号に乗った乗客のうちの一人、それが私という個人であり、あなたという個人になります。宇宙船地球号から降りるとき、次なる行先がどこになるか誰にもわかりません。ただ、サムシンググレートに立ち返るという立場から見たとき、この元いた場所に立ち返って次なる使命がどのように下るか?それが新たな生を受けるのか、違う場での活躍の場が与えられるのか?将又現世での行ないが足りなかったことによって出直しを言い渡されるのか、それを知るのはサムシンググレートのみと言えるのかもしれません。

お天道様は見ている、徳を積みなさい、このような日本古来の言い回しは強ち間違ってはいません。このような過去からの言い回しを顧みるとき、今の日本人の状況を照らし合わせるとどうでしょうか?個性はなく、人の意見を自分の意見とする性質が板に付いてしまい、善悪を感じることさえ鈍化してしまった風見鶏型の人間が権力を握っているがために、日本の行く末は非常に危うくなってきています。地政学上の脅威だけではなく、精神的な意味において日本人が愚民化してきている脅威も侮れません。

今、人生を終えるとしたとき、悔いがなかったかと自分自身に問いかけてみるとどうでしょうか。やり切った感(満足感)が感じられるかどうか?まだ、あれもこれもできる、まだやり残したことがある、そう思えるときはあなた自身にまだ使命が残っているということの証かもしれません。そういう意味でも夢を持つことで自分の成すべきこと、すなわち目標を設定することで未だ生きる価値がある、役割があると考えられます。その歩みを進めることこそ、今のあなたに求められていることではないでしょうか。人生も半ばを過ぎると、老いとの闘いが始まります。健康寿命を少しでも永らえることをベースとしながら、意識を醸成しつつ、使命を果たしていく悔いのない人生を送ってみませんか。

(株)シー・クレド 代表取締役
京都府立医科大学特任教授
乙守 栄一

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