RMCA-リスクマネジメントの専門家による寄稿、セミナーや研修・講座などの情報

  1. 保健師が見る“今月のキーワード” 菊池希代江
  2. 65 view

ドライアイ

コロナ禍による生活の変化の中で、「眼のトラブル」で眼科やメガネ屋へ訪れる人が増えているそうです。その中で代表的な目のトラブル「ドライアイ」ですが、「正しい知識と正しいケア法」について意外と知られていないようです。

実は自分ごとです。目の異変に気付いたのは数週間前。まばたきをするとゴロゴロ、チクチク、とにかく目がかゆい。急に涙がこぼれてきて、まずドラッグストアで有名どころの目薬を買ってきました。市販の目薬は「スーっ」としみる爽快感が気持ちよく、ついついジャバジャバと点眼。しかし、違和感は一向に改善せず、どんどん充血していく一方。かゆくてゴシゴシこすっているうちに、目の周りはカサカサヒリヒリ。ついに白い糸状の目ヤニが出はじめ、「こりゃマズイ」と慌てて眼科に駆け込んだのが1週間後。
診察の後に渡された「大塚製薬のリーフレット(*)」がとても分かりやすく、指示どおりに2種類の目薬を使い分け、ヒリヒリする目の周りの皮膚には眼軟膏でカサカサを保湿して2週間。異変に気付いた時に、すぐに眼科に行っていればもう少し早く改善できたのかも、と反省でした。

(*)

目の表面の涙や粘膜に異常が起きて凸凹(デコボコ)になることにより、ゴロゴロ感や痛み、乾き、見えにくさなど、様々な症状が現れることから、ドライアイは『凸凹EYE(デコボコアイ)』が大きな原因と説明しています。
そしてこの症状は、一時的な目の乾きではなく、悪循環を何度も繰り返し、慢性化してしまった状態とのこと。


ドライアイの目薬には「涙にはたらくタイプ」と「粘膜にはたらくタイプ」の2種類あります。症状に合わせて使用するものも異なるので、自己判断で市販のものを使うとかえって悪化してしまうこともあります。早めに眼科を受診して、自分の症状を的確に伝えて処方してもらうことが早めの治療法です。

症状 原因 作用
粘膜タイプ ゴロゴロ/痛い まばたきによる摩擦 粘膜の異常を改善する
涙タイプ 乾く/見えにくい 涙が安定しない 水分の分泌を促す

◆ドライアイについて正しい知識を知っている人の割合

「気づいて!涙液トラブル啓発委員会メンバー(参天製薬株式会社他共同グループ)」では、全国の20~69歳男女1000人に「コロナ禍における目の不調に関する実態」をインターネットにより調査した結果報告があります。
✓ ドライアイの症状として最もよく知られているのは「目が乾くこと」で全体の約8割
✓ ドライアイが慢性疾患であると認識しているのは約3割弱と認識が低い状況
✓ ドライアイは眼科で適切な診断を受ける必要があるとの考えは約6割
「涙の量が不足したり、涙の質のバランスが崩れることによって、涙が均等にいきわたらなくなる病気」
と正しく回答で来た人は1,000人中1人であったとのことです。

確かに、PC作業が長時間になれば「目が乾く」のはしょうがない、「誰にでもよくある症状」と、眼科に行かず、「そのうち治る」と、思い込んでいる人も多いかもしれません。しかしその安易な思い込みが、目にさらに負担をかけ重症化させてしまうことにつながります。

◆ドライアイを重症化させないために、知っているようで知らないこと
・大切なのは涙の質
ドライアイになると涙の質が悪くなるので、それを補おうとして涙の量が増えます。ここで「涙が出ているから大丈夫」と、思ってしまうと危険です。大切なのは「涙の量」ではなく「涙の質」です。質のよい涙は油分の膜が張っていますが、質の悪い涙は油分が足りないので蒸発しやすく、それによってすぐに目が乾いてしまいます。文字がかすんだり、読みにくくなってきたかも、と感じた時はドライアイのサインです。

・まばたきを何秒我慢できるか
近くのものを見れば見るほど、まばたき回数は半減します。景色を眺める時は1分間に約20~30回、本を読む時は約15回、PCの画面を見る時は約7~8回といわれています。まばたきを20秒以上我慢ができないとドライアイの危険信号と言われているので、自分でわかる一つの指標となります。

・目のゴシゴシはよくないこと
目の違和感やクセで、つい目をゴシゴシこすってしまうことはありませんか?目をこするという行為は、眼球に大きなダメージを与えています。特に目覚めた時は、目の表面が乾いているので傷つきやすくなります。目ヤニなどは指でこすり取らず、目尻や目頭からそっと水で優しく洗い流したり、濡れタオルなどでふき取るようにしましょう。

・朝起きて目が赤いとき
朝、顔を洗うときに目が赤くて驚いたことはありませんか?眠っている間は目を閉じているから目が乾燥しないと思われがちですが、睡眠中は涙が分泌されないため、かえって乾燥します。また、寝る前のスマホは特に目に負担がかかります。寝れば治る、目の疲労が回復するわけではありません。朝起きて目が赤いときは、前日からの負担がかかっているサインになります。

◆ドライアイに良い食べ物
ほうれん草には、目のダメージを防いでくれる抗酸化成分「ルテイン」が多く含まれています。
ルテインは油に溶けるので、炒めたり、ナムルのように油で調理したりしたほうが吸収されやすくなります。

・エビやカニ、サケなどの赤い海産物に含まれる抗酸化成分「アスタキサンチン」は、
眼精疲労や老眼の改善によいといわれています。

・涙の質を良くするには、「DHA(ドコサヘキサエン酸)」「EPA(エイコサペンタエン酸)」が多く含まれた
イワシ、サンマ、サバなどの青魚がおすすめです。逆に、酸化した油を使ったスナック菓子や焦げたものは
目の健康にもよくないので控えるようにしましょう

テレワークはしばらく続き、スマホではゲームや動画を見たり、知らずに目を酷使している時間が長くなっています。生活の中で一番休みなく使っているのは「目」かもしれませんね。そのわりにあまり意識もせずケアも行き届いていなかったのが、また「目」かもしれません。不調を感じてからではなく、普段からもっと目のケアについて意識していきたいものです。

【参考資料】
・大塚製薬デコボコアイ.jphttps://www.otsuka.co.jp/decoboco-eye/
気づいて!涙液トラブル啓発委員会

保健師が見る“今月のキーワード” 菊池希代江の最近記事

  1. 「生活リズムの変化」②運動と睡眠

  2. 「生活リズムの変化」①食事と睡眠

  3. 職域ワクチン

  4. 咀嚼力

  5. ドライアイ

最近の記事

2024年4月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  
PAGE TOP