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  1. BCPにまつわる話 千葉賢治
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第25回企業がやるべき感染症対策の重要性

感染症対策は、各個人がおこなうことが大切ということはもちろんですが、企業においても次のような理由から非常に重要であるといえます。

企業の社会的責任
企業が被災等によって、事業継続ができなくなるとどのような影響があると考えられるでしょうか。
たとえば、生活インフラなどの公共性の高い事業、生活必需品を供給する事業などの活動が停止すれば、市民生活そのものが成り立たなくなってしまいます。また、近年効率化を目的に分業化・外注化を進めてきた企業では、原料の供給、組み立て、輸送、販売など、いずれかが停止しただけで、事業継続が困難となってしまいます。

経済への影響
新型コロナウイルスによって経済活動が停止してしまった中国でいうと、実質GDPが低下し、経済への悪影響が表面化しました。また近年、製造業のみならず、インバウンドや輸出による中国経済への依存度を高めてきた日本経済への影響も色濃く出ている状況です。

社員の行動教育も企業の責任
もしも自社の従業員が感染症に罹患し、通勤で公共交通機関を利用するなどして感染を広げてしまうことになれば、その企業は社会的責任を大きく問われることになり、イメージ低下の可能性が考えられます。そこで、企業が心がけなければならないのは、日頃から従業員に対して感染症予防のための教育をおこなうことです。また、「万が一発熱が続く場合には会社に報告の上出社しない」などの行動ルールの策定・周知も必要になります。

高まるBCPの必要性
企業の被災は、その企業だけにとどまらず、社会や他社にも広く影響を及ぼしてしまうことが想定されます。そのため、企業にはどのような事態が起こったとしても、事業の継続もしくは早急な復旧が求められているのです。こうしたことを踏まえ、企業にはBCP(事業継続計画)策定の必要性が高まっています。

また、有価証券報告書にBCPやコンティンジェンシープラン(緊急時対応計画)などの取り組みを情報開示する義務があることは皆さんもご承知の通りです。

防災対策とBCP
BCPは「Business Continuity Plan」、すなわち事業継続計画のことです。内閣府が発行している事業継続ガイドラインでは、自然災害や感染症、テロ、大事故、サプライチェーンの途絶などが発生したとしても事業を中断させず、仮に中断したとしても早急に復旧させるための方法や手順等を事前に計画したものを意味します。

日本では、大地震などの自然災害の経験から、防災対策についてはすでに策定している企業も多くあります。防災対策では、主に人命や資産の被害を最小限にとどめることに重点が置かれていますが、BCPでは従来の防災の考え方に加えて、事業継続という考え方を追加して取り組みを考えることになります。

BCP導入と教育・訓練
感染症そのものへの知識やエチケット、予防方法などの基本的公衆衛生の知識を教育すること、感染した場合にはどのような行動を取るべきかの周知は必須です。
また、策定したBCPをもとに訓練を実施し、結果に応じて内容を改定していくことも必要です。

事業を脅かすリスクは多様化し、すべてを完全に網羅しておくことはできませんが、今考えられるリスクからBCPを策定し、改定も含めた運用を始めることは重要です。そして、策定したBCPは、寝かせておいても意味がありません。最低年に一度は見直しをすることは言うまでもありません。
最後まで読んでいただきありがとうございました。

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