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  1. 外見リスクマネジメント 石川慶子
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第7回 鏡の中の自分を見て他者を想像してみると

自分の見た目を何とかしようと考えた際、皆さんならどのような行動をとりますか。自分自身とは何者なのか、と自分を知ろうとするのではないでしょうか。では、どのようにすれば自分に関する情報を得ることができるか。考えられる第一歩としては「鏡を見る」ことではないでしょうか。

プラント(1980年)は、「鏡の中に自己を獲得する、そして自己を見失う」と述べています。まるで禅問答のようですが、鏡を通して外見について多くの情報を得るが、他人が見るようには見ていない、したがってフィードバックをしてくれる他人に依存するしかない、というのです。これは、よくわかります。鏡の自分、動画の自分、写真の自分は全く異なる様相であるとつくづく感じて、一体どれが自分なのだろうか、と筆者自身もよく思うからです。考えてみると、そもそも自分のリアルな姿は一生見ることができません。鏡、写真、動画を通してしかわからないのですから。

筆者は毎月スマートに歩けるようになるためのモデルウォーキングレッスンを受けています。毎回レッスンの最後にビデオ撮影するのですが、動いている時に想像している自分の姿と実際のビデオに映っている自分の姿には隔たりがあると感じてはため息をついています。また、仕事仲間のスタイリストに会う度にファッションチェックをされるのですが、自分が良かれと思った組み合わせがちょっと違う、こうすればもっとよくなる、と直されることもしばしば。フィードバックの機会を得ることによって毎回気づきと学びがあり、感謝の気持ちが沸き起こります。このような客観的視点のフィードバックはリスク感性を高める訓練になると感じます。

クーリー(1902年)は他者が自分に対して形成していると思われる印象を通した自己知覚過程を「鏡映的自己」と呼びました。鏡の中の自分の顔・姿・服装に興味を持つ、なぜなら、その姿を他者がどう考えるか想像し(マナー、目標、行為、性格、友人、その他のこと)、不満や満足といった自己感情を形成する、と考えました。これは非常に面白くて、人は一人ではないこと、相手がいるからこそ「見え方」への配慮が必要であること、そしてそれにより、評判を獲得でき、自尊感情を満たすことを述べているのではないでしょうか。そもそも自分しかいなければ「見た目」そのものが無意味ともいえます。

では、自分とは1つなのでしょうか。パーソナリティの由来は「ペルソナ」つまり「仮面」です。シュレンカー(1980年)は、服装とパーソナリティについて5つの仮説をまとめています。「行動パターンや役割を表す」「役割の習得や学習に影響する」「個々人の行動に影響する」「その役割にふさわしいと思われるような服装を身につけようとする」「パーソナリティの手がかりになる」。つまり、服は何でもいいから着用していればいいわけではなく、本人が意識しなくても相手に対するメッセージになってしまう、ということです。

変幻自在であるのがパーソナリティでもあると考えると、パーソナリティは1つではなく複数あってもよい。自分はこうだから、と決めつけず、場面や役割に応じて外見においてもあらゆる可能性を追求することを負担やリスクと考えず楽しみに変換させれば人生はより豊かになりそうです。
関連動画

https://www.youtube.com/watch?v=w-kP2EjtBHs
鏡の中の自分を見て想像する

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