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  1. 普遍的リスク対策 乙守栄一
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第64回 強い想いが引き寄せる機会/リスク

先日、いつも通勤で使うJRの運行が止まっていました。少しばかり時間に余裕を持って出たつもりが、回復の目処が立たない状況。どうすべきか?私鉄への振り替えを検討してほしいと南側改札は阪神最寄り駅へ向かう大行列。迷わず北側改札へ、阪急回りで行く発想へ切り替えました。しかし、待って並ぶも一人前までは10分以上タクシーは来ない状況。後ろに並ぶ人と行先でいっしょであれば相乗りするための声がけをしてあげようと考えていたところ、やっと一台が到着。前に並ぶ人が一緒に相乗りしませんか、私へ逆に思わぬ掛け声をいただきました。車内ではよもやま話をしつつ、駅で御礼をお伝えし、別れました。 想いの連鎖は何らかの形で通ずるところがあると感じた日でした。

これは想い続けたことが違う形で出た結果ですが、さらに想いを強く伝播させるために、言い続ける、発信し続けることでさらなる効果を高めます。良い例が広告宣伝です。伝えたいことを人の目、耳に入りやすいメディアを通して自然と脳裏に入る形にする方法です。企業側はこれを強く推進します。効果的な手を尽くせば、想いもグローバルにですら伝播する時代です。

繰り返し繰り返し、言い続けることで、やがて時機を得て届くべき相手に願いが届きます。言い続けることの大事さ、どれだけその行動力、忍耐力が続くか、ある種持久戦を伴いますが、その結果が集大成を産むと考えます。

しかし、願い(実施すること)を一つに絞り、集中してこそ成就するものだという人が日本では大半です。旧来はそれでよかったのですが、現在はテクノロジーの進化は短期間で目覚ましく進展し、何年後かにはなくなる職業はどれとどれ?というように、予測が出る時代になっています。なくなると予想されている職業にこれから焦点を絞り、わざわざ目指すというリスクを背負っていく時代ではないことは明白です。AIやビッグデータが、これまで人が時間をかけて培ってきた成果を一瞬で出してしまう時代です。IT化はペーパレス化とイコールのように叫んでいた時代はとっくに過ぎ去ってしまっています。

とはいえ、一つのことを集中することが意味を無くしてしまったわけではありません。魚の目線で考えるならば、タイムリーに、これまでに増した集中度をもって対処する必要があるということです。すなわち、20年前には同じ一日かけてやっていたことを、今ならば一時間で行なわないといけない時代になったということです。

ヒトは生まれるとき、一人ひとりが一つの封書をもって生まれてくるといいます。それを「使命」というそうです。しかしながら、生まれてくるとともにその封書に書かれた内容が見えなくなるそうです。一生を掛けてその使命を探し出す、見つけ出す旅が「人生」であると。この「使命」「封書の内容」に沿わない行動を「想い」として強く願っていた場合、それは必ずしも真の引き寄せの対象とはならないということです。

強い想いが引き寄せる、ただし、使命に則ったものでなければならない。エゴに満ちた想いであればそれはエゴに満ちた流れ(リスク)を引き寄せ、結果的に自身の想いに繋がらない結果になってしまいます。想定通りの結果になったとしても、何かしら物足りなさを感じてしまうことでしょう。

自分自身がどういう使命をもって生まれてきたか?私はこれを自己理念と置き換えて表現しています。使命、自己理念とは何なのか?追い求め、追い続け、その結果、本質を極めるということに繋がります。

令和の時代、いよいよ多面的な時代になってきました。企業はより一層複合的な面を求めざるを得ない状況になってくるでしょう。強い想いが何に起因しているか、とことん本質を極め、「使命」「封書の内容」に少しでも近づける行動を自身が日ごろから行なっているか、今というVUCAの時代には必要な人生航路の進め方ではないでしょうか。

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