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  1. 普遍的リスク対策 乙守栄一
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第70回 人望力を活用したリスクマネジメント

人や組織は色々なトラブルや悩み、問題点などを抱えています。そのような中、どのようにしてこれらを解決していくでしょうか?自分一人で解決できるものについてはトラブルや悩み、問題点には至っていません。しかしながら、これらはどのようにハンドリングしていくものかを考えた時、やはり人の手助けが必要となってきます。

人への手助けを依頼するとき、身内ならば自分や相手のことをお互いに周知しているため、容易く依頼することはできますが、一方で見ず知らずの人や関係性の薄い人に対して物事を依頼するには多少なりともハードルが上がるものです。時として時間給でお願いするケースも出てくるでしょうし、何かを相手がする代わりに私はこれを担うという交換条件的なことに至ることもままあるでしょう。仕事となれば何かしら事務的にならざるを得ないケースも多々あります。

農家や漁村では、近所付き合いの延長線上で、今日良いトマトが収穫できたのでお裾分け、大量にアジが上がったのでお刺身用にお裾分けなど、普通に人とヒトとが親しくなれる関係性が容易に構築できる環境にあります。都会では容易に隣近所の人たちと接点を持つことなどは大きく機会を減らしました。三世代家族から核家族化が進み、今は単身世帯が増えてきています。より一人を満喫する環境下、このコロナ渦でさらに一人で過ごす巣ごもり時間が増えてきています。都会ではよく人に疲れる、と言います。どっちを向いても人またヒト。ある意味ストレスフルな環境下で過ごすがゆえに人付き合いも希薄になりがちなこともよく理解できます。

このような底流がある中でもやはり、リーダーシップを発揮し、組織を束ね上げていく人は少なからず存在することも事実です。では、このリーダーシップを発揮する人はそれに付いていく人がいるということです。なぜ、このリーダーシップを発揮する人に付いていくのでしょうか?リーダーシップをとる人が社長だから致し方なく?それとも付いていかないと自分にとって損害を被る恐れがあるから?理由はさまざまあります。

さらに分解能を上げていきましょう。リーダーたる人をあなたは尊敬していますか?それとも尊敬していませんか?尊敬していないリーダーに付き従うならば、それはストレスフルな環境以外の何物でもありません。しかし、尊敬できる人がリーダーならばどうでしょうか?ストレスフルなことは少なくとも感じないはずです。何故なら付き従う側のテイストが高いからです。では何故尊敬できるのでしょうか?

単に人気のある人だからでしょうか?知識豊富で論理だっている人だからでしょうか?何れも尊敬できる一要素かもしれませんが、全体要素にはなり得ません。したがって真から望まれたリーダーではないのです。真のリーダーは真実に基づき、的確に選ばれ、望まれた人です。すなわち人望力のある人です。

では人望力のある人とはどういう人のことを指すのでしょうか。端的に言うならば人から尊敬を受け、信頼される人のことを指します。決して人気というような表面的なことではありません。尊敬を受けるとはどうすればなれるのでしょうか?一朝一夕という訳にはいきませんが、人徳を備えるということが基礎となります。しかしながら、人徳を備えるとはあくまでも個人の資質となります。人徳を備えた人が行動してはじめて人望が生まれます。

組織の中で力を合わせて数多くの難問に当たっていく、それはこの人に付いていけばまずは間違いないと思える、それがベースライン(人徳)であり、自ら私心を顧みず行動をする人こそ人望力の備わった人となります。

組織の綻びは、不安や不信感を持つ人たちの割合が増えていけばいくほど脆くなっていきます。今の日本に置き換えた時、トップが人望のある人ならばどれだけ政治がまともに動いていただろうというセリフがそのまま当てはまる現代、混迷をさまよう時だからこそ求められる人望厚き人による舵取り。SNSで好き放題発言しまくる人たちが多いご時世、その根底にはこのような人望力のある人の出現を求める願いが潜んでいます。変化を拒む旧来勢力も大いなる抵抗勢力であることには違いありません。しかし、人望力のある人が立つだけで協力する人たちが挙るこの目に見えない力は、不透明なご時世にこそ大いなる力を結集する“リスクマネジメント”を実現する大きな要素となるのではないでしょうか。

人徳を備え、行動力を伴う人を増やす教育と修行の機会、これをリカレント教育の一環として学ぼうとする意識の人たちをどのように増やしていくか、喫緊の課題です。

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