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  1. 産業法務の視点から 平川博
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第74回 進化する料理の宅配専門店

1.はじめに
新型コロナウィルスの蔓延防止策として講じられている外食や会食の制限や自粛要請により、飲食店業界は減少した顧客を呼び戻すために、持ち帰り(テイクアウト)や配達(デリバリー)に重点を移しています。そして規制が厳しい飲食店(レストラン)に代わって宅配専門店が増えています。

ところが、我が国では、出前や仕出しという商慣行があり、電話で注文すると自宅に寿司やそば等が届いたり、職場やイベント会場に弁当やオードブル等が届いたりしています。

今やネットで宅配専門店を検索すると、選ぶのに苦労する位、店の数が多く、メニューも豊富です。レストラン街でどの店に入るか決めるのと同じような感覚で、スマホの画面で店探しを楽しんでいる人も多いでしょう。

2.仕出し弁当の草分け
(1)西原屋(千葉市)
千葉市の西原屋は、慶応2年に館山市で寿司店として創業し、以来150年余り、総合フードサービス企業として成長を重ねて来ました。

弁当事業は、同社HPの「弁当事業」と題するウェブページでは、以下のように記載されています。

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昭和45年、西原屋は時代に先駆けていち早く弁当の製造・販売事業に着手しました。東京日本橋に給食センターを開設した当時は1日3000食。その後次々と拠点を広げ、現在では都内3店舗(日本橋、佐賀、武蔵村山)と千葉店(千葉鉄鋼業団地)において、1日2万食の弁当を製造し、企業・団体の昼食に、また会議や研修会、催事などに幅広くご利用いただいています。いずれも無店舗の宅配専門として、ご指定の場所にお届けし、容器の回収にお伺いします。各店では無線機を備えた配送車を常時稼動させており、万一数量の不足があった場合でもすぐに対応できる配送システムを備えています。

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(https://nishibaraya.co.jp/bento/)

2.「旬彩弁当 菜の香」(豊田市)
「旬彩弁当 菜の香」HPの「会社概要」と題するウェブページでは、「旬彩弁当『菜の香』とは」という見出しの下に、以下のように記載されています。

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「旬彩弁当 菜の香」は愛知県豊田市で創業45年になる宅配弁当専門店で、「お弁当で人の心を結び、皆様の幸せを広げます」をモットーに日々営業に取り組ませていただいております。

「旬彩弁当 菜の香」では、容器包装等の見栄えにこだわることはもちろん、食材は他では手に入らない新鮮な生鮮食材をふんだんに使い、徹底した衛生管理に気を配りながら、職人による手作りで作っております。

食材・容器にこだわった「お料理」と、30万件以上の配達実績があるスタッフだからこその「サービス」を、お客様にお届けできるように心掛けており、ご利用いただいたお客様には必ず満足していただくために日々努めております。

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(https://nanoka-obento.com/about/)

3.宅配ピザの登場
「Trace」というサイトの「Vol.61 ‟西洋風お好み焼き”の時代も? ニッポンにもピザがやって来た!!」と題するウェブページでは、「宅配ピザの登場でバイクの歴史に変化が」という見出しの下に、以下のように記載されています。

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ファミリーレストランや1970年代のファストフードブームの影響で、ピザは外食の必須アイテムとして徐々に浸透します。そして、日本初の宅配ピザが1980年代に誕生したことにより、アメリカさながらのビッグサイズのピザがより身近になりました。

1970年代初頭には、アメリカのピザハットが上陸していたものの、当時は配達ではなく、本場と同じようなレストラン形式がメイン。1985年にドミノ・ピザが上陸し、日本初の宅配ピザチェーンであるピザーラが2年後にスタートしたことが、日本のピザ人気に拍車をかけることになりました。ちなみにこのピザーラ、1982年に公開された映画「E.T.」で主人公たちが食べる宅配ピザに創業者が感銘を受けたことが、事業進出のきっかけだったそう!

また、アメリカの宅配ピザは自動車が使われることが多いものの、日本では3輪タイプのバイクがメジャーですよね。これは日本の交通事情を考慮して、ドミノ・ピザが宅配用にバイクメーカーと共同開発して生まれたものなんです。

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(https://www.ntt-card.com/trace/sp/vol61/special/page02.shtml)

4.宅配寿司の急成長
ネクストベリーHPの「宅配ビジネス最前線(コラム)」というカテ中、「第1回:快進撃を続ける『宅配ずし』!!」と題するウェブページでは、「本格的な全国展開を開始してから、わずか2年半で268店舗」という見出しの下に、以下のように記載されています。

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現在、宅配市場の中で、トップシェアの地位を確立しているのは「宅配ピザ」だ。…(中略)…しかし、日本の食文化のことを考えると、寿司がピザにまったく太刀打ちできないかと言えば、むしろ、その逆でピザを喰う可能性もある。

寿司は日本人にとって、古くから愛されてきた特別な食べ物であり、老若男女を問わず、幅広く年齢層に支持されている。「宅配ずし」としての商品力が高まれば、ピザを充分に抜き去る実力を秘めているといえる。

そのような状況の中、宅配寿司が長い間お客様に支持されてこなかったのは、単に「出前」が店舗営業の片手間で行われ、消費者の満足のいく商品・サービス共に提供されてこなかった点や、また「宅配寿司」では多くお店がファースト・フード感覚の商品開発を行ってきたこともあり、「便利だけれど、美味しくない」というマイナスイメージを消費者の間で定着してきた。

しかし「銀のさら」では、「本当に美味しいお寿司を、素晴らしいサービスでお届けすれば売れないわけがない」という強い想いを持ち、スケールメリットを活用したクオリティの高い食材の安定供給、研修センターにおける店長教育などの体制を整えたことにより、「美味しいお寿司」を「素晴らしいサービス」で全国のお客様にお届けすることが可能となったのである。

「商品力+サービス」が消費者に受入れられている大きな要因である。

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(https://www.nextberry.jp/column/vol01.html)

5.ゴーストレストランの急増
「ferret」というサイトの「ゴーストレストランとは?注目される理由、事例を分かりやすくご紹介」と題するウェブページでは、「ゴーストレストラン(ゴースト・レストラン)とは?」という見出しの下に、以下のように記載されています。

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ゴーストレストランとは、客席を持たずデリバリーのみで顧客に料理を提供する飲食店のことです。ニューヨークからはじまったゴーストレストランは、デリバリーのニーズを背景に日本でも開店するようになりました。この展開にとって重要な役割を果たしたのは、Uber Eats(ウーバーイーツ)などのデリバリーサービスが世に広がったことです。飲食事業者は、お店の中で料理を提供する事業形態にこだわる必要がなくなりました。

テイクアウトも店内で飲食をしない形態ですが、お店に顧客が訪れて料理の受け渡しをします。これに対し、ゴーストレストランは一切顧客と直接に関わることはありません。Uber Eatsのようなデリバリーサービス業者が顧客のもとに商品を届けてくれることで対面する必要がなくなるからです。店舗を用意し、顧客を迎え入れないだけで、飲食店にとって必要な時間やコストは大きく変わります。ゴーストレストランは、これまで飲食業の開業を考えていた人にとって、参入ハードルを大きく下げる画期的な業態と言えるでしょう。

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(https://ferret-plus.com/20648)

ところで、「Foodist Media」(食の世界をつなぐWebマガジン)というサイトで掲載されている「飲食店の新しいカタチ! 『ゴーストレストラン』の仕組みやメリットをおさらい」と題する記事では、「ゴーストレストランが増えているのはなぜ?」という見出しの下に、以下のように記載されています。

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■デリバリー代行サービスの普及
2016年に日本でもサービスを開始した「Uber Eats」のほかにも、「出前館」や「楽天デリバリー」といった、デリバリー代行サービスが増えている。かつては、宅配ピザや宅配寿司のように、デリバリーする人員を店舗側が用意しなければならなかった。しかし、デリバリーを代行するサービスが誕生したことで、デリバリーのコストが大幅に下がり、新たなスタイルの普及を牽引している。

■日本に根付く出前や仕出しの文化
ゴーストレストランと聞くと、新しいスタイルのようにも感じられるが、日本でも出前や仕出しといった飲食業の形態は古くから存在していたことを忘れてはならない。出前や仕出し文化があったからこそ、ゴーストレストランのようなスタイルもすんなりと受け入れられているのではないだろうか。

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(https://www.inshokuten.com/foodist/article/5617/)

6.結語
コロナ対策だけでなく、外出が困難な高齢者や傷病人にとって、料理の宅配サービスは、生活必需品と言って良いでしょう。顧客が減少しているレストラン経営者はテイクアウトやデリバリーを導入するようになっており、レストランと宅配専門店との公正な競争を通じて、より安くて旨い料理が届けられるようになることを期待します。

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