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第8回 避難訓練について

BCPにまつわる話

千葉 賢治氏

今回は、企業における避難訓練について書いてみたいと思います。
皆さんの会社では、どのくらいの頻度で避難訓練を行っているでしょうか?
年に一度?年に2回?もしかしたら0回? さすがにそれは無いと思いますが…。

消防法によれば
第八条 学校、病院、工場、事業場、興行場、百貨店(これに準ずるものとして政令で定める大規模な小売店舗を含む。以下同じ。)、複合用途防火対象物(防火対象物で政令で定める二以上の用途に供されるものをいう。以下同じ。)その他多数の者が出入し、勤務し、又は居住する防火対象物で政令で定めるものの管理について権原を有する者は、政令で定める資格を有する者のうちから防火管理者を定め、政令で定めるところにより、当該防火対象物について消防計画の作成、当該消防計画に基づく消火、通報及び避難の訓練の実施、消防の用に供する設備、消防用水又は消火活動上必要な施設の点検及び整備、火気の使用又は取扱いに関する監督、避難又は防火上必要な構造及び設備の維持管理並びに収容人員の管理その他防火管理上必要な業務を行わせなければならない。(消防法より)
という法令があります。

大手企業では、当然と言えば当然なのですが、中小企業も例外ではありませんよね。
法的義務はなくても会社や従業員を守ることは会社の義務だと思います。

避難訓練の重要度

皆さんはこんな言葉をご存知でしょうか?

「訓練で出来ないことは、本番でも出来ない」、
「訓練は本番のように、本番は訓練のように」

この言葉からも避難訓練の重要性が理解していただけるのではないでしょうか?
もう一つ大切なのは、策定したBCPに基づいた訓練であることです。
そうじゃないとせっかく作ったBCPが無駄になってしまいます。
BCPを従業員の方々に浸透させるうえでも重要ではないでしょうか?
そんな訓練を行うことで、従業員の当事者意識も上がっていくと考えます。

では、どんな訓練がいいのでしょうか?
従来の避難訓練といえば、訓練の統括者が指揮をとりプログラムに沿って行うのが一般的。まず参加者にプログラムの説明を行った後、シナリオ通りの予定配置につき、シナリオ通りの放送を待ち…という企業が多いのではないでしょうか。
しかし、シナリオ通りの避難訓練では、基本的な避難行動や担当毎の役割など最低限の確認は出来ても、想定外の対応力を向上させることは出来ません。またマンネリ化によって、緊張感や当事者意識のない避難訓練になってしまいます。

避難訓練は、限られた業務時間を使って実施するもの。参加者に飽きられてしまったり、専門性が低かったりと、さまざまな問題が生じたまま見直しを行わないのは、大変もったいないことです。
私がお勧めする訓練は、シナリオ非提示の訓練です。
実際、災害が起きた時には、なにが起きるかわかりませんよね。
想定外の事態に備え、対応力を培ううえでもシナリオ非提示の訓練は大切です。

ここ何年か、あちらこちらで地震や風水害が発生しています。
どこで災害が起きてもおかしくありません。
大切な従業員やそのご家族、苦労して成長させてきた会社を守る為にも、
最低年1回の避難訓練を行っていただきたいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。

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