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  1. 外見リスクマネジメント 石川慶子
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第9回 どうしたら信頼は高まるか、評判構築の5原則

「信頼できる人」「信頼できない人」といった言葉を日常的に私たちは使っていますが、具体的にはどういうことなのでしょうか。すぐに思いつくのは「嘘をつかない人」「すぐに対応する人」「親身になってくれる人」などでしょうか。では、評判のよい会社とはどのようなイメージでしょうか。「業績がよい」「よい商品を売っている」「社員の対応がよい」「不祥事がない」といったことでしょうか。

これを研究としてわかりやすくまとめた法則があります。1万件のデータを収集してレピュテーション研究をしたチャールズ・フォンブランが、信頼・評判を高めるには表現力が必要であるとし、その要素を明確にしたのです。表現力5つの要素とは、「顕示性」「独自性」「真実性」「一貫性」「透明性」。平時も緊急時にも通じる要素です。そのままではわかりにくいため、私なりの解釈を加えて説明します。

「顕示性」とは、わかりやすいこと。そもそも使っている言葉が難解であれば、意味が伝わらない。「言語明瞭意味不明」といった言葉があります。商品の良さを伝える際にもわかりにくければ相手に伝わりません。不祥事であっても、「それについてはお答えできません」とはっきりと発言しても理由を述べなければ、全くわかりません。

「独自性」とは、商品やサービスであれば、その会社独自のユニークな商品やサービスであること。不祥事であっても、その人らしい謝罪であれば許しを通り越して相手をさせてしまいます。山一証券倒産の際には、社長が「社員は悪くないんです!」と発しました。繰り返し語られる歴史に残る言葉となりました。

「真実性」とは嘘がないこと。牛肉偽装、産地偽装、耐震偽装など、業界全体が偽装していた事件の発覚は消費者の怒りを買いました。また、嘘を重ねると信頼は地に落ちてしまいます。これは外見リスクとも関連します。本当のことを話しているかどうか、報道陣もカメラもその人の目線、口元、手、足、態度、姿勢といった全体から感じ取るからです。笑みを浮かべながら深刻は話をしていると嘘に見えます。言葉と外見が一致していないと外見に本心が出ていると見るためです。

「一貫性」とは、言っていることが二転三転しないこと。ここは結構難しいといえます。人間の記憶は案外曖昧であったり、思い違いがあったりします。ましてや記者会見といったフラッシュを多く浴びる場ではなおさらです。このようなことを防ぐためにも文字化された資料の配布は有効です。特に時系列で話をする場合、時間や場所、人数など数字に絡むものは、客観性が高いため、報道陣は好んで使います。その結果、数字だけが一人歩きしてしまうのです。

「透明性」とは、タイミングやオープンマインドの姿勢です。「決まっていないことは話せない」「調査中だから話せない」といったコメントはよくあります。このように「ない」「ない」だらけの否定的表現は、印象が悪くなるばかり。同じ「言えない」でも、工夫が必要。「今は言えないが、〇〇の時点で話す」「調査は〇〇に終えるからその時点で話す」「今話せることは〇〇」。同じ意味でも話す意志がある、そのような姿勢を示せば印象は異なるのです。

同じ内容の説明であっても、表現が少し異なるだけでだいぶ印象が変わるのです。そして、言語、非言語トータルでの表現力が信頼・評判構築には欠かせないといえます。

関連する解説動画

【外見リスクマネジメント基礎講座】(石川慶子MTチャンネル、RMCAコラボ企画)
第9回目 信頼や評判を高める5原則
https://youtu.be/0uSPyLXWpD4

<参考図書>
「コーポレート・レピュテーション」(チャールズ・J・フォンブラン著 東洋経済新報社)

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