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第91回 陰陽の意識醸成によるリスクマネジメント

「さかなの放流が自然形態を壊す」、この某新聞記事のタイトルを目にしたとき、何か胸にざわめくものを感じました。釣りが趣味の自分にとっては、恒例のように釣り連盟が主催となって稚魚を放流するニュースを、当たり前のように毎年目にしていました。しかし、この奥深い部分には人間のエゴが大きく入っているのではないか?釣りたい魚を増やしたいために放流、漁獲高が減ったためその魚種に限定して放流。しかし、その放流する先は自然そのもの、その一部分を人間都合で最適化してしまうことで、他でバランスが取れていた自然形態が壊れてしまう(自然に対する癌を人間が作り出してしまう)という事実。当たり前の論理でありながら、手前都合に捉えていた事実をあらためて突きつけられ、大きく気付かされることになりました。

ある一面にとって良いことをしている、その裏には必ず影なるモノが存在するという事実。陽が暮れれば闇が訪れ、また夜が明けて日が差す。人生そのものを生きている限り、陽の部分と闇の部分はバランスを取って存在します。

世の中、デジタル革命といって久しいですが、便利になることで幸せ感満載でしょうか?時間に追われ、余裕のない人生を送っていませんか?

コロナ渦でテレワークが当たり前となりました。出社せずに仕事できる点が楽で便利になりました。一方で、社員とのリアルでのコミュニケーションが減ったために、何か一体感がなくなっている気はしませんか?歩かなくなったことで、運動不足になっていませんか?

必ず物事には表と裏が存在し、良い面を見つめれば、その対局となる負の要素も必ずセットになって見えてきます。

人は幸せばかりを追いかける性分があります。不幸はストレス以外の何物でもない、出来れば避けたい、避けても誰かがそれを受け止めないと物事は進んでいかない、こういう中で種々多様な軋轢が生まれ、紛争が起き、物事が進まない、当たり前のように存在します。

殊にバブル崩壊以降、管理社会になると、人は新しいことを行なわない理由を一生懸命探し出しました。負の側面に触れないように、リスクヘッジばかりを行なうようになります。結果として技術開発は停滞し、盗られるものは盗られ、関係国に追い抜かされた真実(負の側面)に触れようともせず、結果として茹でガエル状態のまま30年以上が過ぎてしまいました。日本人は品性があって民度が高い、日本製のブランドが未来永劫続く、これらは美しすぎる誤解の賜物以外の何物でもありません。過去の栄光(良い部分)を引きずっている限り、何の進歩もありません。

一方、人間個人の定点観測に目を移したとき、善悪、幸不幸、悲喜と必ず相対する解釈が同時に存在します。例えば、仕事が順調に廻ってきている、しかしながら、趣味の釣りでは全く釣果が上がらない、というような感じです。対象が違う中であっても、何もかもが良くて、何もかもが悪いということは存在せず、プラスとマイナスのバランスが取れているということです。これも何かしら、目に見えないグレイトな力が働いてバランスがとれるようになっている気がしてなりません。

自然も自然でセルフコントロールする力が働いており、人間個人としても色んな思惑が絡むものの、セルフコントロールする力が結果として備わっています。

とはいっても、人には物事を良いこととして捉えたい心情は付いて回ります。それに対処する方法としては、「陽転思考」という考えに至ります。人にとってたとえマイナスに思える事象であっても、その側面をどう捉えるかでプラスと思える部分も必ず存在する、そのプラスを自分にとっては良いこととして捉えようという考えです。私事で恐縮ですが、釣果が上がらず連敗続きであったときの陽転思考は、家に帰ってからの魚を調理せずともよく、釣り道具の洗い物が少なくて済むという思考です。今、マイナスと思える事象をどう陽転できるか?なかなか腑に落ちないケースも多々あるかと思います。その時は鳥の目、魚の目で角度を変えて状況を捉えたとき、結果として陽転できる観方もできてくるのではないでしょうか。

これがプラス、マイナスという観点をそもそも置かない「空」という心境での過ごし方の一つにも繋がると考えますが、皆さんの「陰陽」からみた意識醸成の作り方には、どのようなものが存在するでしょうか?

株式会社シー・クレド
代表取締役 乙守栄一

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