RMCA-リスクマネジメントの専門家による寄稿、セミナーや研修・講座などの情報

  1. リスク政策 千葉科学大学
  2. 25 view

第76回 自助の実践

リスク政策

千葉科学大学 危機管理学部 佐藤庫八教授

平成30年7月6日以降の西日本豪雨、それに続く変則的な過去にない動きをした台風12号を経験して、今更ながら自助の必要性を痛感している。
美智子皇后陛下が82歳のお誕生日に述べられたお言葉を思い出しています。
「自然の歴史の中には、ある周期で平穏期と活性期が交互に来るといわれますが、今私どもは疑いもなくその活性期に生きており、誰もが災害に遭遇する可能性をもっていると思われます。」(平28.10.20 産経新聞)

活性期にあることは、気象庁の関係課長及び気象予報士から繰り返し述べられている
「数十年に一度の・・」「過去の台風と違っています・・」などに表れている。

このように自然環境が大きく変わり、自然災害に伴う被害が甚大になっていく現状を見るにつけ、人間本来が持っている生存本能、野生を磨く必要があるのではないか。

危険を予知し、危険を回避し、生命を全うするように行動する、つまり自助を実践することが求められているのだ。

先日NHKのニュ-スで住民の避難の状況を視た(30年7月28日0635頃)。

愛媛県大洲市大川地区の住民20人は公民館に避難していたが、公民館の近くまで濁流が押し寄せ始めてきた。当初は公民館の二階に避難しようという声もあったが、二階に逃げても孤立してしまい逃げ場がないと瞬間的に判断し、公民館の脇に整備されていた山道を登って全員が無事に助かったとのことだった。

この山道は3.11以降整備を始め、お年寄りも歩きやすいようにと、3年前に簡易なコンクリート舗装したものであつた。この地区ではこの山道を使って定期的に訓練を行っていたそうで、それが効を奏したのである。まさに自助と共助の実践である。

内閣府が昨年11月に実施した「防災に関する世論調査」の結果が、今年1月に公表された。この中で自助・共助・公助の対策に関する意識調査が行われた。

問は、次のような内容であった。
「災害が起こったときに取るべき対応として、あなたの考えに最も近いものはどれですか。この中から1つだけお答え下さい。」

回答は、次の結果であった。
〇 「自助」に重点をおくべき         39.8%(21.7%)
〇 「共助」に重点をおくべき         24.5%(10.6%)
〇 「公序」に重点をおくべき          6.2%( 8.3%)
〇 「自助、共助、公助」のバランスをとるべき  28.8%(56.3%)

括弧内は平成25年12月の調査結果である。この4年間で「自助」が大幅に伸びてきている。ここ数年、毎年起きている集中豪雨、大噴火等を経験し、自助の必要性、重要性が浸透してきたものと思われる。
また、自助を促進するために各自治体は努力をしている。例えば、東京都は「東京防災」、「東京くらし防災」を発刊している。その他の自治体も地域の特性を踏まえた同様の手引書を配布して防災意識の高揚に努めている。
自助の意識、自助を行うための必要な知識と物の準備は大半の人ができているのでしょう。

しかし、肝心なことは行動することである。
例えば、避難所の位置を確認する、避難所まで自助用の物を持って歩いてみる、天気の良い日だけではなく、雨の日、夜間、早朝など歩いてみる。災害が起きるのは快晴の日には起きていないのだから天候不順な日を選んで動いてみる。
また、ハザードマップで危険と標示されている地域を見て回る。なぜこの地域が指定されているのか確認しながら歩き回ってみることである。
避難に際しては水平避難と垂直避難があるとされる。災害が発生した際に、避難所に行く水平避難が適切なのか、近傍の堅固な建物に逃げる垂直避難か、それはいつに状況による。それを決めるのはその本人である。
活性期に生きている私たちは、自らの五感をは働かすとともに、自らの足を機敏に動かし、あらゆる自然災害に備えことが必要と考えている。

リスク政策 千葉科学大学の最近記事

  1. 第76回 自助の実践

  2. 第75回 特別編 現在日本社会の特筆すべき状況

  3. 第74回対外的危機管理法としての国際法(その2)-武力紛争法-

  4. 第73回 クレーマーへの組織的対策について~その2~

  5. 第72回クレーマーへの組織的対応について

最近の記事

2018年12月
« 11月    
 12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
31  
PAGE TOP