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第19回 謝罪時の服装で失敗しないようにするためには?

しばらく女性政治家が続きましたので、今回は男性、企業について一緒に考えましょう。よく言われるのですが、企業の方は「政治家の事例は自分達には参考にならない」、行政の方は「企業の事例は自分達の参考にならない」。いえいえ、人がする失敗は、業界、業種は問わないのです。「自分達は違う」といった考え方そのものが思考停止の前兆です。どんな事例からも学び取る姿勢、「自分だったらどうするか」「なんでこうなったのか、原因は何か」と自分事化する、深く考えることがリスク感性を高めます。では、始めましょう。

服装には意識の緩みも出てしまう

日産に始まった無資格検査の報道が長引いています。事の発端は、2017年9月18日の国交省による抜き打ち検査。ここで無資格検査が発覚。9月29日、管理部門と広報部長による説明と謝罪があり、従業員によって新車を検査していたことを発表しました。10月2日には社長による謝罪会見にて、121万台250億円のリコール費用発表。続く10月18日には、問題発覚後も無資格検査が続いていたことを発表。10月25日、追加リコール30車種、3万8000台を発表。

私が最初に接触したのは9月30日の報道。記事を読む前に飛び込んできたのは、謝罪している写真。その姿に驚き、「これは大変、広報部は、社長に適切なアドバイスしていなかったのね。グローバル企業が大恥かいてしまう、気の毒」と思ってキャプション見たら、その姿は広報部長でした。「なんと、、、、社長が会見しなくてはならない内容なのに、広報部長が頭下げている。社長を説得できなかったのかしら」

そんなことを考えてフェイスブックでコメントをしようとしたら、報道機関から、どう見ていますか、という質問が来ました。複数の記者とのやり取りをコラージュで再現します。

記者「石川さん、大衆紙記者の僕でもわかりますよ、あの会見まずいって。ひげくらい剃ってこいって正直思いました」
石川「ううーん、ひげはこだわりや宗教があったりするので私はそこは触れません。問題は、ネームホルダー外さず、真夏でもないのにネクタイ着用せず、おまけにストライプシャツに、上着ボタン外していたことです。今時珍しい失敗です。しかも世界的企業ですからとても残念」
記者「名門企業がこれでは、、、、日本企業は大丈夫なんでしょうか。国交省の役人は怒っていました。三菱自動車を救ってやったというおごりだ、と彼らは感じたそうです」
石川「なるほど、官僚はそう受け取ったのですね。考えられるのは、とりあえず説明に行ったら、記者に責められて謝罪会見になってしまったということ。撮影も予定外でまさかの展開となってしまった。ただ、たとえそうであったとしても、無資格検査の説明なのですから服装はチェックする必要があったでしょう。いや、でも時系列でみると、発覚から10日ありますから、時間がなかったとはいえませんね。やはり意識の緩みが服装にも出てしまったとしか見えない。残念ですが」

紺のスーツ、白シャツ等揃えておこう

記者「研修やってないのですかね。謝罪の服装って基本中の基本ですよね。僕ら仕事柄、謝罪することも多いので、気をつかっています。基本教えてください」

石川「昨年自動車業界で危機管理広報のセミナーやりましたよ。広報担当者集めて。謝罪は紺にすること、シャツは白、ネクタイは光沢感、ストライプを避け、遠目で無地に見えるネクタイ。靴は黒の紐靴。新社長就任したら、一通りそろえておくこと。もちろん、広報部スタッフも」

記者「黒じゃだめなんですか」

石川「黒は冠婚葬祭。紺、濃紺がビジネスでは公式感があります。でも、意外と持っていない人は多いのです。実は私も3年前に揃えました。無地の紺なんて地味で学生服みたいに見えるからいやだなあ、と思っていました。でも、謝罪では必要だと考えて、夏、冬用に揃えました。慣れると、この紺が案外いい。とても落ち着いた雰囲気を相手に与えると実感しています」

記者「レクチャーされても揃えなかったということですね」

石川「一度聞いたくらいでは正直なかなか身に付きません。最低3回は聞かないと人はアクション起こしません。外見リスクマネジメントを提唱していますが、体験会などやってみての実感です。コミュニケーションはやらないとわからないように、非言語コミュニケーションはなおさらです。皆、自分は出来ているとおもっているのです。直接自分に向かってアドバイスされないと、直撃されることを数回繰り返したり、失敗したりしてようやく行動します。私もそうでしたから(苦笑)。経験者は語る、です」

<参考>
日産リコール情報
http://www.nissan.co.jp/TOP/ANNOUNCE/1710/index2.html?rstid=20140314rst00000100

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