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  1. 普遍的リスク対策 乙守栄一
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第37回都市機能と人口減について

普遍的リスクマネジメント

乙守 栄一氏

表題からは何か都市政策論の記載が始まるのかと思われる方もいらっしゃるかと思いますが、そうではありません。とある経営者の方から伺ったあるキーフレーズにある種、ショックを覚えました。「都市は、ヒトを消費する」というフレーズでした。当初は身心疲弊がもたらす都市機能の弊害かと想定していたのですが、そうではなかったのです。

再生機能を失った都市が昨今の人手不足の煽りで、地方の人口をどんどん食っている、という実態があるという意味を指している、というのです。

地方が疲弊する、確かに人口の流出入をコントロールすることに、各自治体は手を変え、品を変え努力しているところもありますが、所詮絶対的な出生率が年々下がっている根底を変えない限り、根本解決にはならない事情があります。人の奪い合いが国内で発生している限り、外国人労働者に頼らざるを得ない、暫定対処に訴える以外に解決策がないのが現状です。

本質的にはこの再生不能になった都市機能のもたらす背景に、相当数の複雑な背景が絡んでいると思われて仕方ありません。沖縄をはじめ、地方の出生率は大都市に比べて総じて高い状況です。とはいえ、地方が経済的に豊かかというと格差は歴然としてあります。

冒頭申し上げた身心疲弊する労働者が多いことも一因として大きく上げられると考えています。国の掲げる働き方改革そのものは間違ってはいませんが、得てしてこのキーワードにたいして、単純に生産性を上げればよい、という短絡的な発想に終始していないか?と言う点です。AIの導入、RPAの導入、世のITベンダーはここぞとばかり勝機を見出したかのように営業攻勢をかけています。しかしながら、本質的な解決をしていないばかりに、無駄なIT投資に終わらざるを得ないことも目に見えています。

では本質的な原因は何か?旧態依然に“拘る”経営陣、管理職の思考性(嗜好性)です。もう高度経済成長はとっくの昔に終わっています。旧来の終身雇用制にしがみつき、後は定年まで「無事に逃げ切るだけ」のことしか考えていない経営者、中間管理職が蔓延っている限り、この根底は覆りません。

この旧態依然の体質が多くの無駄を産み出しています。こういう人たちが“働き方改革”というキーワードをここぞとばかり振りかざしても、目に見えた有効な“働き方改革”の発想領域を思考回路上に確保できているかというと、まったくもってあり得ません。号令をかける方がこのような思考回路である限り、有効な手段は得られません。会議が多い、時間がかかる、決定権がない中途半端な中間管理職の指示によりやらなくても良いことを多分に実行させられ、挙句の果てには中間管理職の上司の一言ですべて実行したことが無意味になってしまう、大企業にありがちなこのピラミッド構造の弊害。これらが総じて無くならない限り、真の都市機能再生はあり得ません。

人間は自分の身に危険が迫ると防衛本能が働きます。この危険は決して物理的なモノだけではなく、精神的なモノであってもそうです。今の時代に必要な基本観に合っていない人が上層部に君臨し、実のない決裁権を振りかざしている限り、本当の意味での働き方改革は実行できません。このような人種の人は改革を行なう意見に対しては総じて潰しにかかります。こういう旧態依然の人の割合を如何に減らすか?これが、大いなる働き方改革の第一歩です。

決してデジタルに頼るな、という話ではありません。しかし、いくらAIやロボットが台頭してきたところで、所詮仕事は“人間”が主導であることに違いはありません。

一方で考えることをあきらめた人はAIやロボットに今後、使われていく身になります。味気なくありませんか?人として生きている意味、ありますか?

シンギュラリティの世も間もなくそこまで来ています。2045年、人工知能が人間の頭脳を超える時、あなたはどう生きがいを見つけますか?

都市の再生機能がない、当たり前です、生きがい、生きる甲斐がないために、子孫繁栄にならないのですから。生きにくい世の中に子孫を残したいと考えますか?土台考え方の根底が間違っています。

ある意味、欲望も大事です。なぜなら活力源になるからです。生き甲斐は幸せに直結します。ヒューマインドで最も大事にしているポイントでもあります。マクロな改革なくして働き方改革はあり得ません。サラリーマンが副業を行なうことも当たり前の時代になってこようとしています。無駄なことを無駄と言える、そしてそれらをしっかり受け止められる組織こそ、これからの時代の勝ち組になっていくと考えます。

皆様のご意見、如何でしょうか・・・。

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