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  1. 普遍的リスク対策 乙守栄一
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第26回 ~センスを磨くことがリスク対策に繋がる~

普遍的リスク対策

ヒューマインド 乙守栄一 著

この服、あなたにとって色合い・形が非常に良く合っている、と言われたことはありませんか?また、このブランドの服、何かいつも気になる、と言うことがあるのではないでしょうか?私も某アパレルメーカーの社販に出かけたとき、真っ先に出かけるブランドコーナーがあり、自分の好みに合う服を見つけに行ったものです。

この雰囲気のような、実体のない感覚、これはいったい何なのでしょうか?これこそ自分自身が持つ感性になります。感性は受け手の話になります。
一方、積極的にある友人にとってこの服装が合うのか?ちょっと色合わせが所持するネクタイと合わないのでは?等々、主体的に自分自身が合う合わない、ということを見つけに行くために発揮する能力、これがセンスになります。

「センス」とは、水野学さん(クリエイティブディレクター good design company 代表取締役)の定義によると、「数値化できないものを最適化する能力」と言われています。数値化できるものとは、売上・利益、電気代等のお金に関するもの、ガソリン等の消費量など、コスト最適化と言われるような概念で日頃目にするものです。バランスを整えるものとでも言いましょうか。無駄を取り除くということもできます。数値があると、人は明確に判別できるので、目標に向けて活動しやすいことが言えます。

一方、センスのように、数値で表せないものは具体的に目標が定めにくく、どのように最適化してよいかが不明確です。この数値で表せない世界を最適化に導く、これが「センス」となります。

センスとは突拍子もないところから湧いて出るようなアイディアから成り立つものではありません。あるものとあるモノを組み合わせたもの、或いはあるモノから一部分を取り除いたもので構成したものなど、日ごろ目にするもの、聞くものからアイディアの源泉となるヒントを得るケースが多々あります。また、センスを要求されるその専門分野(たとえばインテリア、カラーコーディネート、ロゴデザイン等)において、何が王道なのかを理解するための知識を付ける必要が不可欠です。

センスが良いかどうかの基準は、第三者がその基準を認め、それが積み重なって集大成され、世の中に標準化された状態で出回っている感覚知のようなものです。

では、このセンスの良さが何故リスク対策に通じるか?
リスクとは発生確率とよく言われますが、これまで未経験でかつ発生していない事象を数値化することはできません。これまで発生したリスクを、経験値からその頻度を洗い出し、ざっくりと数値化することで発生頻度と影響度といった半ば客観的に表したものになります。したがって、今ヒヤリハットなど重大インシデントと呼ばれるものから日常に起きそうな細かい事象に伴うリスクの発生ネタまで、しらみつぶしに調査し、予防に努めることがISO31000では求められています。このISO31000を基準となった各ISO規格(ISO9000,ISO14000,27000等)の改定が骨格となっていることは周知のとおりだと思います。

数値化できないこの予防関係の発生リスクこそ、日ごろのセンスが発揮される極めて重要な要素になり得ます。リスクの発生する事象とは何なのか?常日頃から目にするあらゆる事象の中に、リスク発生の種が潜んでいます。その種を見つけることこそ、このセンスに委ねられる大きな能力になります。

数値化できないものを最適化する能力がセンスと先に述べました。まさにこのセンスを研ぎ澄ますことこそ、実態の伴わないレジリエンシャルなリスク発生に対して企業、個人が生き残るための大きな要素が詰め込まれています。

前述の水野学さんは書かれています。その道の「普通(王道)」を知ることこそ、センスを磨くことの鍵であると。その道を知らずして根拠を伴ったアイディアなどは出てきませんし、たとえ出たとしてもそれは短期間に崩れ去るものです。

中長期に役に立つリスク対策、たとえその道のスペシャリストではなくてもプロフェッショナルになることはできます。リスク対策には今まさに、このプロフェッショナルが求められています。そのカギはこのセンスを磨くことにより、リスク対策の素養が身に付けられます。自分なりにその道を理解し、腑に落とすこと、すなわちオリジナルの解釈力を身に付けることができて初めてプロフェッショナルになることができます。

センスを磨くことで皆さんもリスク対策の真のプロフェッショナルを目指してみませんか

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