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第51回 「世の常を知る大切さ」

普遍的リスクマネジメント

乙守 栄一氏

「歴史は繰り返す」というフレーズを耳にされたことがあるかと思います。ヘーゲルの弁証法でもよく知られたフレーズです。物事を真上から見たらぐるぐる回っているにしか過ぎないことでも、真横から見た場合、らせん状に上昇・発展しているという事実です。

日本においては平安、鎌倉、室町、そして安土桃山時代にかけて、条件の良い土地を如何に獲得するかが主目的で、戦に明け暮れた時代でした。時代が乱れ、時の政権が変わり、一瞬平和になったとしてもまた、土地絡みや年貢絡み等、乱れとなる要因が勃発すると戦が始まるという繰り返しでした。

しかし、戦の手段は変化していきます。時代を経て刀、弓矢から鉄砲を活用した戦へと高度化しています。

今、国際的にみても中東、中国、朝鮮半島など、時局として予断を許さない状況と報道されています。しかし、これは定点観測で見ているだけに過ぎず、過去に遡ったとき、情勢はどうであったかを確実に検証する必要があります。

今存在する国の過去がどうであったか?ずっと続いていた国かそうでないか?どこかの国に併合された経緯はあるのかないのか?これらを分析整理したとき、はじめて明らかになることがあります。それは、その国が持つ風土であり、文化(国民性)です。

風土や文化とは、人にたとえて言うならば「性格」であり「気質」と言い換えてもよいでしょう。企業にたとえて言うならば「社風」に該当するでしょう。

歴史を辿ったとき、どういう積み重ねで今に至るか、これが大いにカギを握ります。なぜ、この国はこのような振る舞いをするのだろう?なぜ、この企業はこのようにいつも煮え切らない対応を取るのだろう?なぜこの人はいつもニコやかに過ごせているのだろう?すべては過去からの積み重ねです。時間は消える、という人がいますが消えることはありません。国、企業、人それぞれに対して、総称して云うならばそれぞれの「癖」として残っていきます。

「経験値がモノを言う」というフレーズからも、時間とともに培ってきたものですから消えることはありません。伝承されていきます。

国でさえ、企業でさえ、人でさえ、どうい「癖」があるのかを知りたければ、歴史、生い立ちを知ることです。

歴史、生い立ちは言い方を変えるならば、結果の積み重ねです。一つひとつの事象が積み重なり、今に至る。「一日一生」という言葉の通り、積み重ねです。「今が大事」、その今の積み重なった状態が未来になるからです。

この感覚がわからずに過ごす一生、理解して過ごす一生、180度人生の満足度が違います。「死して人生悔いなし」、本能寺の変で命を落とす前に熱盛を待った信長の心境、この時間の積み重ねを思い返し、舞ったのではないかと想像に難くありません。

タイトルにある「世の常を知る」とは、「歴史を学ぶ」さらに言うなら「歴史から学ぶ」ということでしょうか。

有識者は言います。「論語から学ぶところは現代に通じる」と。論語に限らず古典、偉人伝、あらゆる歴史から学ぶことはできます。

ただ、無目的に学んでも自分にとって価値あるものに転化はできません。どういう目的で、何を知らねばならないか、ここの命題があってはじめて歴史から学ぶことに意義が生まれます。リベラルアーツを学ぶための本質は、この命題を自分に合ったものとして見つけることに他なりません。リベラルアーツの目的の一つに、考え方の軸・幅を増やすことは当然ですが、多面的に学ぶことでこの歴史の情勢を多角的に捉えるための素養であることにも繋がっていくことでもあります。

私も今を振り返り、これまでの経験値と被る要素を書籍の文面に見つけたときの感動はある種の「歴史から学ぶ」ことを実感した(腑に落とした)瞬間となっています。潜在意識が顕在化したとでも言いましょうか、必要なタイミングで必要なことが得られる貴重な機会、「出会うべくして出会う」この積極的なアプローチ、皆さんも活かしてみませんか?生きる上でのリスクをオポチュニティ(機会)として捉えることで、人生を謳歌できることでしょう。

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