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  1. 普遍的リスク対策 乙守栄一
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第47回 組織にいる立ち位置を見つめる

普遍的リスクマネジメント

乙守 栄一氏

大抵の人は会社員、教職員、公務員等の組織の中で、仕事に従事している、もしくは経験してきたことのある人だと思います。今の組織、もしくは当時いた組織において、ワクワク感というものは存在していたでしょうか?

ワクワク感とは何か?人によっては「楽しい」と一言で思われるかもしれません。私の場合、ワクワク感とは仕事を通じて「自分自身に価値をもたらす」ことを通じて得られる高揚感と定義しています。

今、手元にある担当している仕事に対して、皆さんは自分自身にとって価値づけを出来ていますか?自分にとって望ましくないことでもそれを担当する人がいないと会社は成り立たないという人もいらっしゃると思います。しかし、担当している職務が望ましくないということを自認している限り、組織の他のメンバーへその想いは伝染し、やがて部署、更には組織全体に蔓延してしまいます。それが組織の低活性化を産み出している源泉であることを組織に従事するすべての人にとって、どの程度腑に落とされているでしょうか。

目線を上げる、ということで価値が見えてくるということを言われる方もおられますが、経験上、その視点は急に言われたところで実践できるものではありません。自分にとって望ましくない仕事の要因としては、退屈であること、もしくは苦手なことに分別できるかと考えます。

退屈であることとは、仕事の内容に飽きてきてしまっていることが挙げられます。手順も決まって、自分でなくても誰でもできる仕事と自認してしまっている状態です。もう一つの苦手なこととは、仕事の内容が性格的・性分的に元来合わず、いざ担うと生産性が大きく低下してしまう状態です。

仕事の内容が退屈である場合、その仕事を脱する手立てを実行すればよい、と一言では簡単ですが、組織のことを考えた場合、人手不足の現状を鑑みると抜け出せない心理的抑制(遠慮)も働いてしまいます。同じ仕事の価値づける方向を変えてみる手があります。例えば、マニュアル通りに行なう仕事を、手順を変えて行なう(業務フローを見直す)ことで生産性が20%上がります、という提案を行ない、実践した結果、そのとおりになったということで組織にアピールできる目標値を立てることもあり得ます。ただ単に日々の仕事を時間内に終えるというだけでは退屈になることは至極当然です。この退屈となっている要因に自ら“変化”を与えるということで、飽きを発生させない新たな価値作りに繋がります。

一方、仕事の内容が苦手である場合、それは日々、ストレスフルな常態に晒されていることに違いはありません。それを脱却するにはどうすれば良いでしょうか?苦手な作業をさらに要素分解することです。例えば“営業することが苦手”と一言で表現したとします。“人前に出ることが苦手”なのか“人と話すことが苦手”なのか、将又“初めての人にアポイントを取ることが苦手”なのか苦手な要素はさらに細分化されます。“人と話すことが苦手”であるならば、“メルマガ等を作成し、メール送信を行なう”ことであれば、割とすんなりできる、ということもあるかもしれません。新たな自分自身の得意分野を見出すことができるかもしれません。苦手な部分を黙っておくのもストレスです。正直に周りにさらけ出すことも時には必要です。すべて何でも熟せると自分自身をオブラートに包むことは不要です。得意なことは得意な人に任せることが最も生産性が上がります。逆に相手が得意でないことは拾って自分自身の仕事とし、自分自身の得意分野の幅を広げることも忘れずに。持ちつ持たれつの世界ですので。

一人ひとりのワクワク感の醸成、これが沈滞ムードの組織を活気づける大きなウェイトを占めます。何も顧客は外部だけではありません。総務部門の人であれば社内の人がお客さまと捉えて仕事をすれば、世の中働く人はすべて、お客さまありきの仕事です。言わずもがな、ワクワク感醸成の前提は“美点凝視”です。決してヒトの欠点、粗探し、罵る等を行なうようなネガティブな要素を組織に持ち込まない、これが組織運営上の最低限のルールです。組織衰退リスクを避ける意味でも、社内の風土醸成は欠かせません。

組織にいる自分自身の立ち位置の前後左右上下を見渡した時、どういう関係性があるか、一枚の人間関係フローを作成し、整理してみることで日頃、携わる自分の仕事がどのように影響しているかが可視化できます。新たなポイントが発見できるかもしれません。お試しいただければと思います。

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