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社会保険労務士 毎熊 典子  

1回  働く女性を守ってくれる法律

フランテック法律事務所所属社会保険労務士の 毎熊典子です。
このコーナーでは、 社会保険労務士兼リスクコンサルタントとして
働く女性のみなさんに(男性にも) 知っておいていただきたい情報を
隔月で10回に亘り
ご提供させていただきたいと思います。
どうぞよろしくお願いします。

**********************************

第1回は「働く女性を守ってくれる法律」のお話です。

[これって、違法?]
さっそくですが、問題です!
次の職場における対応のうち、
法令違反はいくつあるでしょうか。

Q1 「総合職」は男性のみ、「準総合職」・「一般職」は女性のみと決められている。

Q2 遠隔地への転勤は男性のみが対象とされている。

Q3 女性の深夜業のみが就業規則で制限されている。

Q4 有給休暇を申請したら「パート社員には有給休暇はないよ。」と拒否された。

Q5 隣の席の男性社員が四六時中、猥談ばかりしてくるので困っているが、上司に相談しても全く取り合ってくれない。

Q6 職場結婚の場合は、女性が退職する決まりになっている。

Q7 社宅の入居資格が「妻帯者のみ」とされている。

Q8 妊娠したため育児休暇の申請をしたら、未経験の業務に配転されて基本給も下がった。

Q9 会社の都合で、一方的に育児休業期間を短縮された。

Q10 同居している親が倒れたため介護休業を申請したら「急な事なので応じられない」と拒否された。


答えは・・・「全部」違法です。
これらのような対応は 職場でありがちかと思われますが
実は、いずれも法律で禁じられているものです。
性の違いによって差別的な扱いをしたり
妊娠・出産等を理由として 女性に対して不利益な取扱をすることは
法律で禁じられています。

育児や介護の目的で休業することは
法律で認められている権利です。

パートやアルバイトにも
有給休暇を取得する権利があります。

また、事業主には、
職場におけるセクシャルハラスメントに対する
措置を設けることが
法律で義務付けられています。


【女性の就業率向上の必要性】

日本の労働人口は 1998年を
ピークに減少し続けており
この間に
男性雇用者は100万人減り
その一方で
女性雇用者は200万人増えています。

少子高齢化が進み
団塊世代の大量引退が迫る中で
女性の就業率の向上を図ることは
経済の持続的な成長のためにも
必要とされています。

しかし、現実には
職場における違法な対応や
仕事と育児・介護等との両立の難しさなどから
就業をあきらめてしまう女性も
少なくないと思われます。

価値観が多様化する中で
女性の生き方も多様化しています 。

いまは、女性が自らの意思で、
仕事や結婚、出産など
人生を選ぶ時代です。

一人ひとりが
自分のワークライフバランスにあった
働き方のできる社会の実現が
社会の持続的な発展を目指すうえでも
必要とされています。


【働く女性を守ってくれる法律】

こうした状況の中で
固定的な男女の役割分担意識を払拭し
女性が能力を発揮しやすい環境を
整えるための法整備が
徐々に進められています。

具体的には
労働基準法や男女雇用機会均等法、
育児・介護休業法などの法律に
働く女性を不当な差別的扱いから守り
女性の母性を尊重するための規定や
働く女性が社会で活躍することを
支援するための規定が
定められています。

働く女性のみなさんには、
困ったとき、迷ったときには、
どうか一人で悩まずに、
行政機関の相談窓口や、
弁護士、社会保険労務士などの専門家に
相談してみていただきたいと思います。
「自分らしく生きる」ことを
大切にしていただくためにも
「働く女性を守ってくれる法律」があるということを
忘れないでいていただきたいと思います。

 

 

 


執筆者:毎熊 典子(まいくま のりこ)
 フランテック法律事務所所属社会保険労務士。慶応義塾大学法学部法律学科卒。
NPO法人日本リスクマネジャー&コンサルタント協会 評議員・認定上級リスクコンサルタント、
日本プライバシーコンサルタント協会認定プライバシーコンサルタント。日本広報学会 会員。
主な著書:「電子メールのリスク管理」(共著、ビジネス法務2007年5月号)、
「自社従業員によるネット不祥事への労務対応」(ビジネス法務2011年10月号)他。