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第1回 IT事業継続のエキスパート集団! ニュートン・コンサルティング   (2010年1月10日更新)
第2回 ネット上の風評リスクを「見える化」! 株式会社ガーラバズ  (2010年2月10日更新)
第3回 レコードマネジメントのスペシャリスト集団 データ・キーピング・サービス  (2010年3月10日更新)

第1回
 
IT事業継続のエキスパート集団! ニュートン・コンサルティング株式会社

昨今、企業が抱えるリスクは多様化し、より高度で誠実かつ効率的なマネジメントが求められています。 そうした動きの一環として日本にもJ-SOX(金融商品取引法の一部)による管理が義務付けられるなど、 実際の業務運用の方法構築や形式化なども早急に求められていると言えます。今回は、企業の抱えるリスクマネジメントに関するコンサルティング業務を、英国でのノウハウと経験を軸に行っているニュートン・コンサルティング㈱を訪ねました。

(RMCA会報誌『RISK MANAGEMENT AGE』2009年11月号より転載)

代表取締役社長 副島 一也

★関連リンク
・企業サイト              http://www.newton-consulting.co.jp/
・情熱コンサルタント宣言ページ http://www.newton-consulting.co.jp/company/consultants.htm
・BCM-ITSCM研修コース   http://www.rmcaj.com/_rmca/guide/authorization/bcm-itscm_k.html

 

リスクマネジメントのノウハウを元に英国から逆進出
ニュートン・コンサルティング株式会社は2006 年11 月に日本で設立いたしましたが、その前身は英国に本社のあるNEWTON Information Technology Ltd です。英国で10 年かけて培ったリスクマネジメントのノウハウを元に日本でのサービスを開始いたしました。

英国での会社設立の背景
ニュートン・コンサルティングの英国本社NEWTON Information Technology Ltd は1998 年2 月、英国のロンドンにおいてその活動をスタートしました。日本人と英人が4人ずつ、合計8名からのスタートでした。

当時は、英国を中心に欧州に進出してくる日系企業のシステム化が進み、IT ソリューション全般のサポートに対するニーズが高まっている時期でした。多くのビジネスマンが自分のe-mail アドレスを持ち始め、日本語と英語両方が使えるパソコン環境が求められるようになっていたのですが、当然現地企業にはそのサービスは提供できません。そこに目をつけたのがNEWTON IT です。金融機関や総合商社、メーカー、あらゆる業種のネットワーク環境を日本語・英語双方でサポートし、サーバーやPC 等の商品販売を中心にした商売を展開しました。また、2000 年問題や大手都市銀行の統合化対応などで順調にビジネスは伸びて行きました。

NEWTON グループ

 

英国でビジネスをおこなうということ
私自身は、大学卒業後、日本アイ・ビー・エム(株)に勤め、法人営業として多くのお客様のご支援をさせていただいておりました。しかしながら、昔から自分自身でビジネスをやってみたいという思いが強く、入社8年目に入ったころIBM の先輩の縁があってNEWTON の立ち上げに参加しないかという話に大変興味を持ち、IBM を退社し渡英しました。

初めての海外でのビジネス、しかも企業の立ち上げにワクワクしながら業務に没頭しました。ほとんど社内の仕組みが無いところから色々な仕組み仕掛けを立ち上げ、ビジネスを作っていくことに本当に魅了されたものです。しかもそこは明らかに外国で、当たり前ですが、いろいろな人種の様々な考えの人たちに囲まれ、日本では思いもしなかった新たな発見が日々あったものでした。渡英後、程なくして私は現場を統括するダイレクターに就任し、日本人・外国人半々の11カ国の人種の人たちの所属する部隊を指揮することになりました。また、2006 年には代表取締役社長に就任し、一心不乱に英国でのビジネスに取り組むこととなりました。

さて、英国でのビジネスに話を戻しますと、前述しました通り、設立からしばらくは環境に恵まれたこともあって、ビジネスは倍々で順調に伸びて行きました。ところが、大手都市銀行の統廃合が終了するころから、環境は一変していきました。大の得意先であった銀行の数が減り、しかもハードウエアやソフトウエアを中心とした物販のビジネスはDELL などのメーカー直販体制の普及などにより利益確保が困難なビジネスモデルへと変化しつつあったのです。我々はこれまでと違うエリアのビジネスモデルの構築を迫られる状況となってきました。

英国で注目されたリスクマネジメント
こうした時期に逆に必要とされ、当社が新しいビジネスの柱と位置づけたのがリスクマネジメント関連のコンサルティングビジネスです。英国では当時から企業はセキュリティやBCM(事業継続マネジメント)、コンプライアンス、J-SOX 対応などのリスクマネジメントへの対応が求められ、日系企業も例外ではありませんでした。その分野で、現地スタッフや監督官庁との対応は英語で、日本人マネジメントとの対応は日本語で行うサービスの需要がだんだん増えてきたのです。我々はコンサルティングの部隊を立ち上げ、本格的にそのビジネスを拡大していきました。

やがて、日本本社や現地の監督機関へのリスクマネジメント対応を迫られる日系企業だけでなく、地元企業のリスクマネジメントのコンサルを獲得する機会も増えていきました。英国はリスクマネジメント先進国で、その需要が多岐に渡ったことが原因でしょう。今や英国経済の基盤となっている金融業界においては、英国FSA(金融庁) が大きな影響力を持っているのですが、FSA は非常に高いレベルのセキュリティ対応、BCM 対応を金融機関に求めます。また、英国ではテロやインフラの事故が多いこともあり、企業には平時からそうした脅威に対しての取組みが当たり前のように求められていました。

事実、当社がサポートさせていただいているお客様の中にもテロやインフラの事故などによりBCP を発動され、障害復旧用施設へ実際の業務を切り替えて非常時対応を行うことが度々ありました。こうした対応は待ったなしで行われ遅滞は許されないため、本当に緊張しながら対応したものです。そういう環境なので、リスクマネジメントは単なる座学ではなく実際に動く対応を考える必要があるということが常識としてあり、英国には専門の研究者も多く存在します。ISMS やBCMS の標準規格が英国にて生み出されていったのもうなずけます。

これは私見なのですが、私は歴史観から見ても英国人にはリスクマネジメントに関して一日の長があると感じています。日本人は、食料であるコメを得るためにしっかりした計画を立てて生産してきた農耕民族ですが、狩猟民族であった英国人は、事前の計画以上にその場その場での対応能力が求められてきたからです。この時期、私自身にとってもリスクマネジメントの考え方の進んだ英国で、現地の専門家達と真剣に議論しあう機会に多く恵まれたことは大変貴重な経験だったと実感しています。

日本での設立
英国に渡ってあっという間に7~8年が経ちました。そんなに長くいるつもりではなかったのですが、気がつけば英国でのビジネスにのめりこんでいたという感じです。ですが、そもそもいつかは日本で起業したいという思いと、英国で経験した最先端のリスクマネジメントの考え方は日本でもきっと役に立つという信念により、日本に会社を作る意思決定をし、2006 年11月に(株)NEWTON IT(その後ニュートン・コンサルティング(株)に社名変更)を設立しました。英国ではITソリューションインフラ全般、業務アプリケーション開発とリスクマネジメントコンサルティングの3 つを行っておりましたが、日本での業務はリスクマネジメントコンサルティング1本に絞りました。大きな資金を用意しなくても始めやすいという要素もありますが、競争の厳しい日本市場でより強みを発揮できるこのエリアに集中する狙いがあったからです。

また、当時はちょうど日本企業がJ-SOX に取り組まなければならない時期でしたが、需要に対して十分なコンサルタントがいないという状況でした。参入出来るマーケットがあると確信し、いろいろなサーベイを行いながら、このタイミングで日本に出て行こうと決め、その活動をスタートさせました。日本での会社設立準備のころから2年ほどは英国と日本を毎月行き来する生活が続きましたが、2008 年夏に日本の事業に専念することを決め、今は日本のビジネス拡大のために邁進中です。

ニュートン・コンサルティングサービス概要
ニュートン・コンサルティングサービス概要

 

JIPDEC BCMS 技術専門部会委員
設立当初はJ-SOX 対応を中心にビジネスを展開しておりましたが、日本でもいよいよBCMS(事業継続マネジメントシステム)への対応が本格化し、当社は早速その中枢に加わることができました。

日本におけるBCMS の第三者認証を立ち上げたいということで、JIPDEC(ジプデック:財団法人日本情報処理開発協会)がその検討をするための委員会として技術専門部会を作った際に、我々の英国でのBCM 構築支援活動や自社がUK パイロット認証プログラムに参加していることなどが評価され、専門部会委員としての参加要請を受けました。その後は専門部会のメンバーとしてJIPDEC のイベントで講演をさせていただいたり、BCMS ユーザーズガイドの執筆に携わったりと広範囲に渡って活動させていただいております。また、この委員会を通じて、いろいろな方々と知り合うことで急速に人脈が広がり、まだ設立間もない当社でも多くの企業様のお手伝いをさせていただくことが可能になったのは非常にありがたいと感じています。

こうして、当社のリスクマネジメントコンサルティングの柱として、J-SOX に続きBCM でのビジネス展開が走り出しました。

特に注目されるIT-BCP
BCM の取組みの中でも最近もっとも引き合いが多いのが、IT-BCP に関するご相談です。IT-BCP とは、IT サービスの継続性の確立のことを指し、BCM の対応の中でもIT とビジネス双方への理解・ノウハウが必要なことからサポートが非常に困難な分野です。

現在企業活動において、IT は無くてはならないものとなっているにも関わらず、まだ多くの企業ではITサービスが停止することを想定していないことがあるようです。しかし、IT サービスが停止する要素は沢山あり、実際にはそうした事件が多く新聞などでも報じられています。

既に対策をしている企業は、「止まらないようにする対策」を講じている場合が多く、これももちろん必要なのですが、IT-BCP では、どんな対策をしていても万が一止まってしまった際にどの様に対応するのか、ということを考えていきます。予想の範囲を超えたインシデントが発生した際でも事業を継続できる手法を検討し、予め決定しておくということです。

IT が分かるコンサルティング会社の強み
当社がこうしたIT-BCP のご相談を多くいただく背景には、当社のサービスの特長があります。リスクマネジメントのコンサルティングにおいて、IT ガバナンスの観点からのご支援ができるという点をご評価いただいていると考えております。

リスクマネジメントのサポートにおいては、もちろん全体の戦略立案、計画策定が重要なのは言うまでもありませんが、実際の現場ではIT 関連のスキルが要求される場面が多々出てきます。現在の企業活動とIT は不可分な状態にあり、企業活動について何か改善活動を行おうとすると、IT を考慮せずには進められないのが実情です。その点当社は前身がIT ソリューションコンサルティングをおこなっていたこともあり、IT スキルを生かしたリスクマネジメントコンサルティングをおこなうことが可能です。現在在籍しているコンサルタントもIT 専門分野で活躍してきた人材の比率が高く、IT とリスクマネジメントを融合させたコンサルティングサービスをご提供しております。

ただし、我々はIT というツールありきでソリューションを考えていくアプローチはいたしません。まず大切なのは、「企業にとって何をしなければいけないか」という要件をいかに明確にするのかということです。その上で、その要件に対して適切なIT 活用法は何なのかということを検討しご提案するというアプローチを取らせていただいています。

今後の取り組み:IT ガバナンスサービスの強化
現在伸びているBCM、IT-BCP に加え、今後はもう一つ、IT ガバナンスにおける運用管理に関するサポートを強化していきたいと考えています。

IT-BCP の構築支援を行わせていただくにあたって、平時のIT 管理に整理が必要なお客様に多くお会いします。いざという時どうするかという問題以前に、今の運用では止まってしまうリスクがあらゆるところにあり、効果的に管理されていない状態になっているのです。「IT の運用管理」というと、既にどの企業でも取組みがなされているという印象を持たれるのではないかと思いますが、実際には現在の運用管理にいろいろな課題を感じているご担当者様が多いのです。

IT運用管理の4 要素自社でITIL を利用した運用管理の仕組みを導入する場合、ITIL を勉強することは出来ても、それを参考にしながら実地で、自社での対応をどうしていくかはまた非常に難解なチャレンジとなるのが実態です。また、多くのIT ソリューションプロバイダーが運用管理プロダクトを販売していますが、どうしてもプロダクトを中心にしたアプローチにならざるを得ない側面も否めないのではないかと感じます。そういう意味では、実は本当に有効な運用管理を実現するコンサルティングをおこなっている企業は割りと少ないのではと感じています。

我々には、COBIT やITIL などを基準に運用管理システムの改善活動を進めてきたノウハウが数多くありますので、変更管理、構成管理等々、通常このように進めましょうという具体的な運用管理方法を、お客様のご希望や実情にあった形でご提案できると考えています。

平時の運用管理とIT-BCP の構築全般をとおして、お客様の企業をトータルにサポートしていくことができればと考えます。

情熱コンサルタント
こうしたサービスを提供するには、本気で「お客様の役に立ちたい」という熱い想いを持つコンサルタントが必要です。

そこで当社は社員の採用でも一貫した方針があります。必要な要件、与えられた課題に対し、その本質は何かを見極め、その解決のために貪欲に取り組める人材を採用しています。

今必要としている何かのスキル、たとえばBCMS やERM 構築経験を持っていることは確かに即戦力にはなります。しかし、十分にビジネス全般を理解して、やる気のある人材であれば、入社後の教育でこうした一つ一つのノウハウは必ず習得できます。それよりも日々移り行くビジネスに必要な要件への対応力の方が重要です。今までにやったことがあるとかないとかではなく、その時々で必要な要件に対して積極的に取り組める人材こそ我々の求めている人材です。

コンサルティングを実施するにあたって誰かが作ったメソッドに従って作業を進めていくことは多くのコンサルタントが出来ます。しかしながら次々に対応が求められる新しいソリューションへの取り組みの場合、そのメソッドそのものを発想し、開発しながら進めていく必要があります。これは非常にタフでプレッシャーの大きな取り組みであると同時に、お客様のために本当に役に立ちたい、という想いがなければ実現できないものだと私は考えています。

お客様の役に立つ、実際に動くソリューションを徹底的に追求する。それがニュートン・コンサルティングの情熱コンサルタントです。

これからも世の中で求められるリスクマネジメントに迅速且つ柔軟に対応し、より多くのお客様を真摯にサポートさせていただく。それによって、お客様企業の底力をあげ、日本をより強い国にしていく一助になれればと考えています。

(取材・編集 RMCA事務局)