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第1回 IT事業継続のエキスパート集団! ニュートン・コンサルティング   (2010年1月10日更新)
第2回 ネット上の風評リスクを「見える化」! 株式会社ガーラバズ  (2010年2月10日更新)
第3回 レコードマネジメントのスペシャリスト集団 データ・キーピング・サービス  (2010年3月10日更新)

第3回
 
レコードマネジメントのスペシャリスト集団 株式会社データ・キーピング・サービス

今回は、レコードマネジメントのスペシャリスト集団として37 年間の実績を持つ( 株) データ・キーピング・サービスを訪ねました。最近では、オフィス内の記録・情報の整理・ファイリングのみならず、コンプライアンスや対外的な説明責任を果たすために必要な証跡管理という観点から、企業における記録・情報管理の重要性が一段と増しています。代替のきかない情報資産をどのように管理していくべきか、レコードマネジメントの現状についてお伺いしました。

(RMCA会報誌『RISK MANAGEMENT AGE』2009年9月号より転載)

★関連リンク
・企業サイト  http://www.dks.co.jp/
・レコードリスクマネジメント研修コース  
  http://www.rmcaj.com/_rmca/guide/authorization/rrem_k.html


データ・キーピング・サービスについて
当社は第一勧業銀行(現みずほ銀行)の伝票・文書類の管理を目的として、1972年に設立されました。当時の創業者は、レコードマネジメントの重要性をいち早く見抜いており、銀行の書類のみならず一般事業法人の書類もターゲットに事業を始め、以来約40年間専業でこのビジネスに携わっています。

現在の業務内容としては、お客様の機密情報や重要情報を、最適な環境で安全に保管・管理することが主なサービスです。契約書や図面などの紙媒体からマイクロフィルム、レントゲン、映像テープといったアナログ媒体、CD・MO 等の電子媒体まで、あらゆる形態の情報をお預かりしています。

当社のセールスポイントは『信頼』です。当社には、私を含め多数の銀行出身者がおります。銀行では、契約書や手形などの重要書類に触れる機会があり、銀行員は絶対に代替が利かない書類保管の重要性について、徹底的に教育を受けております。当社にはそのDNA が染み込んでいるのです。

また、当社には自衛隊出身者も多数在籍しています。主に格納センターと呼ばれる、機密情報を保管する現場で働いています。情報漏洩の一番の原因は人的ミスであると言われていますが、どんなにセキュリティが強固な施設といえども、そこで働く人間のモラルに緩んだところがあれば、リスクは高いと言えます。そういった意味では、自衛隊出身者のモラルの高さは非常に信頼できると自負しています。ある社員は、「我々は今まで自分の命を賭けて国民の命を守ってきました。現在は同じ緊張感を持って、お客様の大事な情報を守っています。」と私に語ってくれました。このモラルの高さは他社にはない当社の大きな強みだと思います。

 
センター概観
 
ファイル棚

 

記録情報管理の必要性
ここ6、7 年でレコードマネジメントの重要性は急激に高まってきました。大きな要因の一つに、エンロン事件をきっかけとしてアメリカでSOX 法が施行されたことが挙げられます。私は当社に来る直前まで、みずほ証券の副社長を務めておりましたが、その際、みずほフィナンシャルグループがニューヨーク市場に上場しておりました。実は当時米国SOX 法対応の責任者を務めておりまして、私自身リスクマネジメントにはあまり詳しくない段階から手探りで始めたわけですが、様々な対策を講じていく中で経営者として社内を見つめ直す非常に良い機会になったと実感しています。

最初はコストがかかることに抵抗もあったのですが、何か不祥事が起こってしまった時の損害などを考えていくと、事前にリスクコントロールの対策をとった方が良いことが分かりました。それに加えてリスクマネジメントや内部統制の整備によって、実は業務の効率化も進むなどプラスの面が出てきて、これは積極的に取り組んでいくべきだと強く思うようになっていきました。日本の社会はあうんの呼吸で常識を作り上げてきましたので、ビジネスにおいても目に見えるルールで行動を制御するということに関しては、かなり抵抗があると思いますが、グローバルな競争社会ではそうも言っていられません。適切なルールを導入すれば仕事もしやすくなり、逆に組織の活力も高まると思います。

お客様からの声
最も多いのは、自社スペースの有効活用ができるというものです。どうしても溜まってしまう書類は、とにかく文書箱に入れてオフィスの片隅に積上げておく、社内書庫に入れっぱなしというのが現状です。それらを当社にお預けいただくだけで、自社スペースが想像以上に空いたというのはよくある話です。あるお客様では、そういった文書箱の占有スペースが100 坪近くあり、実は1 坪6 万円も賃貸料を払っていてかなりのコスト削減につながったという感謝の声も頂いています。

ただ、外部に預けると必要になったときにすぐに取り出せないのではと懸念するお客様もいらっしゃいます。当社はご依頼いただければ、翌営業日には指定の箱をオフィスまでお届けいたします。また、検索サービスや電子化サービスを併用して頂くことで、ご依頼後すぐに必要な情報をご覧頂くことも可能です。

この他、BCP 対策としてのデータの遠隔地保管やエコロジーに配慮した廃棄文書のリサイクルなど、お客様それぞれのニーズ、課題にあったソリューションを提供しています。

 
データ庫①
 
データ庫②

 

レコードマネジメント業界の今後
当業界の最大の特徴は、我々の管理している機密情報は唯一無二のものであるということです。つまり、お預かりしている物が、破損や紛失してしまった場合、弁償するので新しいものを買って下さい、ということでは済まないということです。そういった重要な情報は非常に管理が難しいのです。書類は火事になったら燃えてなくなってしまいますし、テープなどの磁気媒体は温湿度の微妙な変化で読み取れなくなってしまうこともあります。大事な機密情報だから、社外に出したくないという考えもあるかもしれませんが、逆に大事だからこそ専門家に任せるという意識がここ3 ~ 4年は一般的になってきたように感じます。

現在の情報記録媒体の主流は紙ですが、今後はエコロジーや効率性の観点からデジタルへ移行していくでしょう。電子媒体と紙では、保有できるデータ量が圧倒的に異なります。また昔と比べると、データの作成手段自体が、紙と鉛筆ではなくコンピュータになったのですから、電子媒体の拡大は誰しもが予想できることです。

ただし、紙が無くなるということもないと思います。まず、法律の運用に於いては、紙の証拠能力は他の記録媒体に比べ、圧倒的に強いとされています。紙には改ざんの跡が残ってしいます。現在の警察の科学捜査では、紙による改ざんはほぼ100%判断可能とのことです。しかし、電子媒体については痕跡を残さない改ざんをすることができると言われています。また、デジタル化されたものは媒体の劣化により突然消失したり、データを読みとる機械そのものが廃盤になったりするなど、長期的な保存・再現性の高さでは紙媒体の方が優れているのです。

いずれにしても、これからのレコードマネジメントは、フィジカルな媒体の管理とデジタルデータの管理をシームレスに実現する方向で発展していくと思っています。当社としては、最先端の対応ができるように、世の中の流れを敏感に察知しながら、お客様のお役に立てるサービスを絶えず提供していきたいと考えています。

 

サービス内容
当社のサービスは、コンサルティングサービス、文書保管管理サービス、データ保管管理サービス、電子化サービス、D&R( 文書廃棄&リサイクル)サービス、サプライ用品販売とレコードマネジメントに関わるものは全て提供しています。最近ニーズが高いのは、データ保管管理と電子化です。

まずデータ保管ですが、バックアップテープをお預かりすることが多いです。都心より30km 以上離れた遠隔地で、セキュリティの充実した倉庫で保管しております。磁気媒体専用車両による定期的なデリバリー、緊急時の24 時間対応を行っておりますので、BCP 対策としてご利用いただいているお客様もいらっしゃいます。また、デジタルデータの管理についても、既に文書管理ソフトのご紹介を開始しておりますし、ASP・SaaS の仕組みを活用した本格的なオンラインバックアップサービスもリリース間近です。

電子化では、書類整理の観点から依頼をされるお客様がいらっしゃいます。紙文書の保管スペースの削減を目的に電子化しCD やハードディスクに収めたり、長期保存用にマイクロフィルムに変換したり、業務の効率化を目的に電子化したデータを文書管理ソフトで利用したりと、様々な目的・方法でご利用いただいています。

記録・情報管理に関することであれば、何でもお気軽にご相談下さい。


レコードマネジメントサービス概要

<情報管理のチェックシート>

1. 経営理念や経営ビジョンを従業員全体が共有できる機会が設けられている。
2. 他部門から独立した監査部門が設置され、牽制機能が発揮されている。
3. 機密情報を取り扱うエリアへの来訪者の入退室管理を徹底している。
4.「ナレッジマネジメント」という言葉を熟知しており、業務遂行上、常に意識している。
5. 情報セキュリティに関する研修や教育を定期的に実施し、その効果を発揮している。
6. 個人情報や機密情報の安全管理を担う、情報管理責任者が選任されている。
7. 部門内の風通しが良く、業務上必要な情報や知識の共有がされている。
8. 重要情報へのアクセス権限が明確に規定されている。
9. 業務に関しての決裁権限や分掌規定が明確に定められている。
10. 業務に関する多様化が推進されており、また、手順書が整備されている。
11. 災害発生時においても、重要情報の消失を防ぐ対策が講じられている。
12. 事故発生時に情報が関係者に正しく伝達できるよう、報告・連絡・相談ルートが確立されている。
13. 従業員間において、IT技術を活用した情報の提供・収集・交換が可能な体制が整備されている。
14. 関連会社や業務委託先に対する管理規定等が整備され、相手方の情報管理体制の把握も可能である。
15. 業務手順書の見直しやシステムメンテナンスを定期的に実施している。

チェックシートに関する詳細は「http://www.dks.co.jp/management/index.html」をご覧下さい。

(取材・編集:RMCA事務局)