第4回 ビジネス系開発に求められる要素技術(ITスキル)
私は経験30年程のコンピュータ技術者で、ここ2~3年程はインドをナレッジアウトソーシング先にしたビジネスを行っていました。それ以前の10 年程のミッションは技術開発におけるプロジェクト管理でした。その中でプロジェクト進行上でのリスクで最も大きな問題に人材としての開発技術者の確保があり、更にはIT以外の方々がIT開発系の人材の特徴に対する知識を、全くと言っていい程理解していない事実を痛感していました。この事を「コミュニケーションリスク」として捉え改善の為の解説をいたします。
1.ビジネス系開発に求められる要素技術(ITスキル)
一口にビジネス系開発と言いますが、文字通りビジネスを行うのに必要な業務をこなす為のシステム開発全般を意味します。更にエンジニアは「基幹系システム?」、「情報系システム?」等と言葉を使い分けています。ザックリとでも言葉の意味を理解していただければ、ITエンジニアの会話が理解しやすいと思います。
① 基幹系システム
基幹系(きかんけい)システム、聞きなれない言葉だと思います。
要するにコンピュータ化する業務内容で直接業務に関わる部分です、一般的には販売管理、在庫管理、人事管理等を含みます。使用するユーザーも、事務系、営業系と特定の業務になれた方が扱います。
② 情報系システム
こちらはもっと聞きなれない言葉だと思います。上記の「基幹系システム」で入力された情報はデータベースへ格納されますが、そのデータベースの内容を分析して、役に立つ情報を生成したり、特定業務を支援する為に、必要な情報を提供します。
ITエンジニアが「~支援システム」等の呼び名を使うのは、情報系システムに含まれる場合が多いです。
③ まずここでエンジニア全般で好んで使われる言葉である、「要素技術」という言葉について確認してみます。
本稿第2回目「開発種別と求められる要素技術」で取り上げたのは技術開発全般での基本技術として説明しました。同一の内容で恐縮ですが、比較の為に再掲載します。
・技術開発全般での要素技術
ここでいう要素技術とは、あるシステムや製品の技術開発をする場合に必要な基本技術を意味します。
たとえば、インターネットの画面から入出力を行うビジネスアプリケーション開発では、インターネット技術、データーベース技術、クライアント&サーバの知識、ネットワーク技術、サーバー側アプリケーション開発技術等に細分化されます。
④ ビジネス系アプリケーション開発に絞った場合の要素技術とはどの様な説明になるでしょうか?ここ数年での傾向として開発メンバーに求められる要素技術の内容がネットワークセキュリティーへの対応能力の観点からも変化しています。
・ビジネス系アプリケーション開発での要素技術
目標として開発するシステムや製品の技術開発をする場合に必要な基本技術という意味までは同じですが、ビジネスアプリケーションでの要素技術では、言語ベースや、簡易言語での開発能力だけではなく、Web系アプリケーションでのリスクの判別と対策能力が加わります。
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2.開発言語ベースや、簡易言語での開発能力
ITエンジニアが良く使う言葉で開発言語なる表現があります。ここでは多少の誤解を恐れずに大胆に分類してみます、おおよその特徴が解れば良いと思います。
ここでは皆様の予想に反して?、COBOLとか4GLとかの説明はいたしません。現在の開発の特徴は、ユーザーが操作する部分がインターネットの画面である場合が多くなっています。そのような事情から業務システムの開発でも、効率的にインターネットの画面ベースのプログラム開発が可能な言語が使われるようになりました。今回はその様な用途に使われて、割合よく聞かれる言語と特徴とまとめてみました。
【表1:開発言語の種類と特徴】
No. |
開発言語の種類 |
特徴 |
1 |
Perl:パールと呼びます |
インターネットの画面で動作するプログラムを作成できる言語として古くから使われており実績のある言語です。
主にUnixと言われる基本ソフトが動くコンピュータで使われます。 |
2 |
PHP |
上記のPerl言語と同じ特徴を持ちます。専門書籍や技術情報も多数存在して、エンジニアの確保は容易です。 |
3 |
Java |
この「Java」開発という言葉も良く聞くと思います。これは単なる開発言語だけではなく、業務システムを開発するのに必要な様々な機能を総合的にサポートしているのが特徴です。この様なものを統合開発環境とか、開発プラットフォームという場合もあります。割合に手軽で、高機能なので良く使われます。 |
4 |
ASP |
こちらはWindowsで有名な米国マイクロソフト社が提供している、統合的な機能をもつ開発環境の一部分を指します。特徴はWindows上で業務アプリケーションを開発するにはとても都合の良い機能を多数、もっています。ここ数年、使われる頻度が高くなりました。 |
エンジニアとの会話で、「私は~言語の開発経験が豊富だ!」などという場合によく出てくるキーワードの一部として、大胆に簡略化?してまとめてみました。
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3.ハッキング防止技術を持ったWeb系アプリ開発
最近のアプリケーション開発では、インターネットの画面を通じて、色々な業務をこなす形式が大部分となりました。
① Web系アプリ
今までの業務アプリケーションでは、ユーザが使用する側のPCへ、専用のプログラムをセットして、そのプログラムを起動して専用画面を操作して業務をこなしていました。
ところが、ユーザ数が数百人、数千人となると、其々のPCへ専用プログラムを導入しなければなりません。各種調整や確認作業まで含めると膨大な時間を消費します。更にプログラムの不具合があると全てのPCに対して同じ操作が必要となります。
ところが、インターネットの画面から操作可能なアプリケーションだと、ネットワークに接続されたPCと、インターネットが使える環境があれば直ぐに業務ができるわけですから、コスト削減が可能となります。
このような構成をとるアプリケーションをWeb系アプリケーションと呼びます。
② セキュリティーの問題
Web系アプリケーション、良いことばかりではありません。基本がインターネットを使用するものですから、当然不正侵入といったセキュリティーの問題が発生します。
「あらかじめ正しい知識を持つことはリスクコントロールの基本!」ですので、Wen系アプリケーションのセキュリティー問題をここでも大胆に2つに分けて説明します。
・Windowsへの攻撃
Web系アプリを動かすPCは通常ネットワークに接続されて、しかもWindowsで動作するのが一般的です。直接PCのWindowsへ不正侵入して、データの改ざん、ユーザが気がつかない内に、何とWebサイト(インターネットのホームページを送信する仕組)を作成したり、やりたい放題の事をやられます。
原因はWindowsのセキュリティー上の欠点をついての攻撃ですが、最近はマイクロソフト社の努力で欠点を補う修正プログラムが提供されていますので、こちらの可能性は下がっている様子です。
・インターネット画面からの攻撃
部外者でも見れる業務アプリケーションの画面や、インターネットからの各種サービス画面から、専門のテクニックを使って情報発信元のサーバと言われるコンピュータへ、想定外の動作をさせる攻撃があります。
今後この様な被害が増えると予想されますが、技術による攻撃は、技術で対応可能なのも当然です。
対策として、セキュリティーに強いWeb系アプリケーションを設計、開発する事は可能です。
③ 要員の確保
ハッキング防止技術を持った要員は、これからもっとも求められる種別のエンジニアですが、どう確保すれば良いのでしょうか?、この分野は歴史も浅く、たしかに確保は容易ではありませんが、多くの開発メンバーの全員がこのようなスキルを持っている必要があるかと言えば、そうではありません。
問題点をまとめ、対策となる部分の技術標準を作成して、サンプル的なプログラムパターンを準備すれば済むので、一つの開発プロジェクトで一人でも間に合う筈です。
その一人を確報する方法ですが、経験知識のある方が極めて少ない状況ですので、Web系アプリケーションに詳しい方で、ネットワークの基礎知識のある方を選択して、情報を集め、分析研究すれば割合短い時間でも一応の知識は得られると考えます。要するに手配すると同時に、既存のメンバーから候補者を選んで教育する、というのが筆者からの現実的提案です。
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■筆者より
本稿はIT以外の方を対象のコミュニケーションリスク軽減が目的。。。等と宣言しておきながら、堂々と?「ビジネス系開発に求められる要素技術」等とITエンジニアの言葉を使っている記事を読んでいただき感謝しております。
人材に関するリスクコントロールは対象が人間であり、最も難しい分野であることを認めつつも、新たにプロジェクトコントロールに係る様になった方々はもとより、IT以外の方々で自分の周りで行われているIT開発のメンバーの構成とスキルの関係を理解したいと考えている方々の「コミュニケーションリスク」改善に1%だけでもお役にたてれば幸いです。
【注意】
ここで取り上げる情報は必ずしも政府外輪団体等の調査した正規のものばかりではなく、筆者個人の経験と感覚に基づいた情報も使用している事をお断りしておきます。 |
★今後の予定
5.OS、システム系開発に求められる要素技術(ITスキル)
・知られざる開発の実際!
・ハイリスクな開発の実態
・開発技術者に求められる要素技術
6.組み込み系開発に求められる要素技術(ITスキル)
・正しい認識はリスクコントロールの基本!
・現在と今後数年のマーケット規模を理解するべき
・今後の日本での開発規模拡大と人材不足リスクを意識していないのは日本人くらい
→インドからのアプローチと問題点
7.電子回路設計開発に求められる要素技術(ITスキル)
・ハードウエア開発技術者の持つ要素技術を理解するのもリスクコントロール
・製品の全開発工程でお仕事の手順
・製品種別により求められる要素技術
-アナログ回路設計技術者
-パルス回路設計技術者
-デジタル回路設計技術者
-低周波回路設計技術者
-高周波回路設計技術者
-電源回路設計技術者
以上毎月1回、残り3回でお送りします。 |