第7回 電子回路設計開発に求められる要素技術(ITスキル)
私は経験 30年程のコンピュータ技術者で、当初の10年間程は電子機器の回路設計と、それに付随してのソフトウエア部分の開発を担当していました。このような分野を特に「組み込み系」と呼び、一般のビジネス系のアプリケーションと区別します。
その時の経験でプロジェクト進行上でのリスクで最も大きな問題に人材としての開発技術者の確保があり、更にはIT以外の方々がIT開発系の人材の特徴に対する知識を、全くと言っていい程理解していない事実を痛感していました。この事を「コミュニケーションリスク」として捉え、改善の為に今回はハード開発に携わる人材についての解説をいたします。
1.ハードウエア開発技術者の持つ要素技術を理解するのもリスクコントロール
ITの技術開発は何もソフトウエアの開発だけではありません。製造業での開発現場に近い職場でIT以外の仕事をなさっている方々には、特に解りづらい会話が聞かれることと思います。正しい認識はリスクコントロールの基本!の原則にしたがい、その中でも設計技術者に関することを今回は整理してみました。
☆微妙な意味の違い
殆ど同じ意味に使われていますが、微妙な違い?も理解しておきましょう!
① 組み込み系
最近になってよく聞くようになったと思います。元々は機器に組み込まれたコンピュータ用の制御ソフト開発の意味で使われ始めました。携帯電話用のソフトも含んでおり膨大な需要が見込まれています。
② 制御系
元々は工場の工作機械の制御の意味で使われ始めました。工場全体を制御する場合は「メカトロ制御」の表現を使う場合もあります。最近は「組み込み系」と同様の意味で使われる場合もあります。
③ ファーム開発
電子回路(ハード)と制御ソフトの合成語で、プリント基板に装着されるROM(プログラムを内蔵できる読み出し専用のメモリー)に組み込む為のプログラム開発の意味です。
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2.電機製品の開発工程での開発手順
最近の電機製品では、ハードウエア部分の電子回路設計だけでは製品は完成しません。通常はコンピュータが内蔵されていてその部分のソフトウエアの開発も並行して進められます。
(1) 製品の企画
製品の概要が決められ、製品の全体像が計画され、電子回路部分、ソフトウエア部分がブロック分けされます。この段階にも上流工程として、電子回路設計技術者、ソフト開発技術者も参加します。
(2) 並行設計?
① 製品本体部分:洗濯機なら洗濯機の本体部分の設計
② 電子回路部分
③ ソフトウエア部分
最近では開発期間が短く、① → ② → ③ の順番ではなくて、①~③ の同時作業で設計が進められます。
(3) 試作品の作成
プロトタイプという呼び方をする場合もありますが、①~③ について、一応動作するものを作成して、細かい手直しをします。
(4) 量産機の設計
① 製品本体部分:不都合部分の調整を行い、場合によっては安い部品に入れ替えて量産品とします。
② 電子回路部分:不具合部分の事を電子回路でも ”バグ” と呼び、”バグ”を修正して完全なハードにします。
③ ソフトウエア部分:同様に ”バグ” を修正して完成します。
*おおよそ、このような手順で電機製品の開発は行われます。
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3.製品種別により求められる要素技術
一口に電子回路設計技術者と言っても、大きく6種類に分類され、それぞれ特徴があります。
ただし、一般には大学の電子工学科等で、これらの全ての基本知識を学んで、あとは個人の興味の深さや、得意分野の違いから専門が決まってきます。一般には、一人の電子回路設計技術者が下記の2~3分野の得意分野を並行して持っています。
① アナログ回路設計技術者
② パルス回路設計技術者
③ デジタル回路設計技術者
④ 低周波回路設計技術者
⑤ 高周波回路設計技術者
⑥ 電源回路設計技術者
*それぞれの内容と特徴は【表1:電子回路設計技術者の種類と特徴】をご覧下さい。
【表1:電子回路設計技術者の種類と特徴】

【注意】
毎回恐縮ですが、ここで取り上げた情報は必ずしも政府外輪団体等の調査した正規のものばかりではなく、筆者個人の経験と感覚に基づいた情報も使用している事をお断りしておきます。 |
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■筆者より
この連載も今回が最後となりました。相変わらず「本稿はIT以外の方を対象としたコミュニケーションリスク軽減が目的。。。」等と宣言しておきながら、堂々と?「要素技術」等とITエンジニアの言葉を使っている記事を読んでいただき感謝しております。人材に関するリスクコントロールは対象が人間であり、最も難しい分野であることを認めつつも、新たにプロジェクトコントロールに係る様になった方々はもとより、IT以外の方々で自分の周りで行われているIT開発のメンバーの構成とスキルの関係を理解したいと考えている方々の「コミュニケーションリスク」改善にたとえ1%だけでもお役にたてればとの思いでお送りいたしました。多少なりともお役に立てれば幸いです。
先月もある講演会後のパーティーの席上で、読者の方から、お声掛けいただき大いに励まされました。その時にいただいたご要望と、以前別の読者の方々からいただいていた次回作のアイディアも含めて真剣に検討中でして、RMCA編集事務局へ提案したいと考えています。またお会いできれば幸に思います。 |