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第102回 マウントを取ることの実態とそのリスク対策

SNS発信が盛り上がって早20年あまり、その時代に応じたSNSの提供元が表れ、一世を風靡してきました。SNSの主流が年代と共に変化する実態はありますが、大きくは個人主体として情報を発信するツールとして大きく利用されてきたという実態があります。現在では企業や組織体でも自社のサービスを宣伝するツールとしての使う向きもありますが、原則は個人主体による発信ツールとして今も進化を続けています。

このSNS進化の大元は何でしょうか?投稿内容の事例として、夏休みを利用し、軽井沢へ避暑旅行に出かけてきました投稿、成田空港のゴールド会員専用ラウンジでNWへ出発する時間までテレワーク作業中投稿、深夜遅くまで仕事をして今タクシーで帰る、疲れた投稿等々、皆さんにとって一度は目にしたことのなる内容ではないでしょうか。これらの投稿に対して繋がっている友達の輪からどれだけ“いいね”数を貰えたか、という数で自分自身の満足度指数が上下することに一喜一憂することも人によっては大いにあるでしょう。

SNS進化の根源は、発信者が承認欲求を満たされたい想いが隠れています。自分自身の近況を語り、それにどれほど賛同し、コメントが返ってくるか?それによって一つの精神的な安定をもたらすことは言わずもがなです。承認欲求の原点は、自分がある領域においては秀でていることをアピールする狙いがあります。それを露骨に述べるか?何かの表現に忍ばせて密かにアピールするか、それはその人の才能に大きく依存する部分はあります。表現を変えていうならば、「マウントを取り方」と密接に関係しています。

SNS内の世界に限らず、社会全体においてもマウント合戦は日々行なわれています。数々の会話の一つひとつをより細かく分析すると、その内容一つひとつの会話の裏には、密かにマウントを取っていると感じる部分が垣間見られます。町の井戸端会議一つとってもそうです。過去より日常生活にマウント合戦は存在していました。

このマウントに対して、あからさまに表現するタイプの人もいれば、違和感なくそっと忍ばせて伝えるという術で表現する人もいます。後者のタイプが成功者というのは自明です。

日常生活において、多様な局面においてマウントを取られることを強いられることで、精神的負担に感じる人が非常に多いことも事実です。これを裏返すと、心にもないことで“ゴマを擦る”、出世のためには致し方ない、結果ストレスを溜めてしまう、こういった負のサイクルで人は精神的に病んでしまうことがどれだけ多いか、平成令和と渡る時代は特に顕著に出てきていると言わざるを得ません。

戦後食べることも大変だった時は承認欲求以前に生きるための欲求、生理的欲求がトップに来ていました。その後時代と共にマズローの法則にあるところの高次元の欲求が支配するようになってきているのが今の時代です。この承認欲求の上に最高次である自己実現の欲求があり、もっと成長したい、自分らしく生きたいという想いが強くなってくるという要素がありますが、ちょうどいまの日本はこの端境期に当たるのではないかと見ています。

承認欲求という“高次”の欲求が支配する時代に一人ひとりが置かれている、という実態が理解できれば(注:納得する必要なない)、一人ひとりの満足度を上げてあげるだけで相手が心地よい想いをする、それだけで自分の味方(ファン)になってくれます。ゴマを擦るという表現には当てはまらない、言い換えれば客観的に寄り添う(伴走する)、という表現が合っているかもしれません。人はこういうことで認められたいのだ、と一人ひとりの特性(性格)を理解できれば、自ずと打つ手は見えてくるはずです。

その昔、接待の鬼と呼ばれる人がいました。接待される側の心地よさをどう満たすかを心得ており、決してそれをひけらかさない、見返りも求めない、その場を静かに去る、傍から見れば物凄く紳士であり、その結果ファンも付いていました。皆さんの周りにこのような接待の鬼のような人は居ませんか?

認められたい、だからアピールする、確かにその立ち位置は必要で、マウントそのものを完全否定するものではありません。しかし、人間関係なくして人は生きられない、ならばその相手をどう心地よくするかという客観的な視点に立ち返ることができれば、気の合う合わないにかかわらず、相手を自分の虜にする秘策がこのマウントを取らせてあげるテクニックに隠れているのではないかと感じざるを得ません。相手の人がどういうマウントの取り方をするタイプの人かを理解したうえで、それを分析することで、色々な人との接し方の幅ができるのではないでしょうか。決して悲観する必要はありません。

株式会社シー・クレド
代表取締役 乙守 栄一

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