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  1. 普遍的リスク対策 乙守栄一
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第101回 バイアス理解による行動リスク対策

人は見掛けで判断してはならない、と良く耳にすることがあります。見掛けで判断する典型例としては、目から入ってくる情報だけでモノの数秒で相手に対する印象の大部分が決まってしまうということでしょうか。俗に言われる第一印象といわれるものです。

髪の毛を染めているから、髭を生やしているから、派手なマニキュアをしているから、髪の毛がボサボサだから、と数々の目から入る強烈なインパクトの情報で我々の脳は相手を印象付けてしまいます。個々人の脳からこれらの印象付けを取り去ることは極めて困難です。

第一印象を構成させてしまう側にも当然、解決すべき点はあるのかもしれませんが、あくまでも第一印象として感じてしまう側の思考回路の仕組みを理解するだけでも大きな意味があります。人間特有の数々の見え方、感じ方、これらを総じてバイアスと言います。

これらのバイアスに覆われた世界で我々は生きていかなければなりません。バイアスが原因だということを知って行動することと、知らないまま行動することでは大きな違いを産みます。逆にバイアスの仕組みを知っていれば、バイアスそのものを味方にすることもできてしまいます。

バイアスの仕組みはかなり幅広くかつ奥深いため、ここでは端的に脳が勝手に解釈してしまう第一印象、という点を取り上げてみました。一旦思い込むと、そこからなかなか抜け出せない、まるでトリックに掛ったかのような感じです。よくあるのは、一旦覚えた語呂が頭から離れず、それをどうしても毎回毎回繰り返してしまいます。人の名前や地名などの言い間違い等が該当するでしょうか。幾ら訂正しても、治すことは困難です。言い方を変えるならば、自分の最初の思い込みは極めて正しいという自分の脳の解釈が強いということでしょうか。ここに自分自身が気付かない場合、拘りが強すぎる、柔軟性がない、という問題のある性格面として現れてきます。

自分自身の性格を意識できている場合、このバイアスをしっかり把握できているということです。バイアスを把握できていると対処がしやすくなります。すなわち、バイアスを取り払う活動を起こしやすくなるため、自分自身の問題を改めようという“気づき”に繋がります。

バイアスの数々の特性を知り、それらが自分にとって、あるいは相手にとってどう当てはまっているかを分析し、バイアスへの対処法を構築することは人間関係、ビジネスを構築していくうえでも非常に有益です。考え方の深さを養う要素がここにも隠れていました。

世の中の情報は、メディアによる一方的なモノの見方からしか報道されない場合、大抵の人はそれを唯一の正しい情報として取り込んでしまいます。それを唯一の情報として取り込むか取り込まないかで、考えていく方向性が入り口で大きく分岐します。唯一の情報として取り込まない場合、他にも解があるのではないか?事実が隠れているのではないか?それはどういう根拠で表に出てこないのか?等々、いろんな角度からモノの見え方、考え方が広がります。

そのモノの見え方、考え方が正しいかどうかは結果論でしかありません。しかし、自分の思考を巡らせることで出た結果であれば、一定の納得感はあり、それは次回に必ず活かすことができます。偶然の結果とは全く異なります。造語的に言うならば、バイアスを溶かしていくための作業工程、それが考えることの一つのプロセスに通じるのではないかということが今回の仮説です。

脳が勝手に犯してしまいがちな解釈に陥らないための具体策が、バイアスを溶かすための数々の手段に隠されている気がしてなりません。脳は思考を司る中心部です。その思考を司る脳の癖をバイアスと定義できるならば、その脳の癖を知ることで、常日頃起こす行動そのものもスタイルが変わってくると考えられます。脳の癖(罠)にはまらないように、時として味方に付ける、行動リスク対策を皆さんも取ってみませんか?

(株)シー・クレド
代表取締役 乙守 栄一

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