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  1. 普遍的リスク対策 乙守栄一
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第81回 原点回帰が危うい今の日本人へのリスク対策

弱腰日本、不正横行日本と世界から揶揄され、やっと一人ひとりが気付き出し、日本が生まれ変わるために、旧き良き時代のコンセプトに戻ろう、というスローガンが叫ばれています。これは一見美しく聞こえます。しかしながら、全世界に進出し、為替差損や海外のローコストに頼って業務を進めてきて産み出した利益の源泉はもうまもなく無くなろうとしています。GDPそのものの地位低下、30年間給与水準が下がっているという事実から考えると、日本に生産拠点を戻そうという動きがそれを証明しています。それに準え、古来より言い含められてきた、お天道様は日々の行動を見ている、行動は紳士たれ、という一つの徳という点から見たとき、ここが完全に抜け落ちた日本人が世代間を超えて多いという事実に気づきませんか。人は鬱憤が溜まっています。何故でしょうか?将来が不透明だからです。

組織という中に属しているだけで、優越感に浸り、その組織の理念はどこへやらの上目線で人を見下すサラリーマンの何と多いことか。開いた口も塞がらないレベルで、創始者も生きていれば嘆くであろう、態様の隷属民(社畜)の多さにはもはや付ける薬はありません。一部でも哲学たる根底を持っている人が中にいれば救われるものの、そのような人をも洗脳、駆逐してしてしまうぐらいに増殖してしまった隷属民(社畜)の勢いはもう止められません。ポリコレ的にみても、突き進むところまで突き進み、やがて崩壊するレベルにまで突入しない限り、このような意識の変容は期待できません。

一つのきっかけとして、現在も続くパンデミックの動きが契機になるかとも考えましたが、結果は却って悪化の加速度を上げてしまいました。人との接触を断ち、巣ごもり生活が推奨され、出かけることも儘ならない常態の下、これらの暗黙ルールに従わなければすぐさま非難轟々の非国民扱いを受けてしまいます。何も自分で考えられず、徳という概念の欠片もない隷属民(社畜)の団結力は凄まじいものがあります。人の意見は自分の意見、右から左へ単純にノンポリで人に伝える伝播力は、真っ当に考える人の意見をも軽く踏みにじっていきます。

要するに今、生きている日本人においては、旧き良き日本に戻す土壌(精神的インフラ)は残っていないといっても過言ではありません。

よく比較される時代として明治維新があります。同じ横並び主義は当時からもありました。では、現在と何が違うか?それは明らかに次から次に出てくる異端児(例えば、薩長土肥の信念熱き人財)の比率の差です。先の師が非業の死を遂げようとも、その意思を継ぐ志を持つ人が入れ替わり立ち替わり出てきました。その魂の事業継承とでも言いましょうか、その結果、国難に何度も合いながらも見事に数々の動向の変容を見事に見極め、短期間で近代化へと推し進めた一つの結果でもあります。当時は目指すものがありました、西洋近代化という目印が。

しかし、現在はどうでしょう。目指すべきものはありますか?東京オリンピック?終わればそのまま静かな状態。大阪関西万博?これもどれほど契機を及ぼすか?さほどインパクトも感じられません。巨大イベントに引きずられるだけで、果たして中身はどうなのか?海外から技術・情報・精神を吸い取るだけ吸い取られ、空ければセミの抜け殻状態。日本の産業も日本人の精神・魂も残念ながら本質は吸い取られてしまいました。手先の器用な日本人、そこが売りであったところが、某医療手術器具の操作資格について、誰一人日本人は保有できず、中国人が多勢を占めていると言います。

原点回帰という原点が失われてしまった今の日本。どうすればよいでしょうか?ここは謙虚に海外から見えている今の日本の姿に気付くところからスタートするしかありません。日本へ留学したいとあれほどあこがれの的であった日本。最近はどうでしょう?コロナ渦という事情を除いた2,3年前の時点でも、美しき精神を持つ日本から現地に返った外国の人たち、口コミでは決して良い評判は得られていません。いつまでも日本人は技術立国日本、美しい魂を持つ日本と夢想(美しい誤解)をしているのでしょうか。セミの抜け殻である今の状態にまず、気づくところから入りませんか?それを気付くには海外の動き、見る目を真摯に受け止め、その根底の意識改定をできない限り、未来はありません。偏狭な島国にならぬためにも、今一度客観的な目線を持ちませんか?

京都府立医科大学特任教授
株式会社シー・クレド 代表取締役
乙守 栄一

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