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  1. 普遍的リスク対策 乙守栄一
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第94回 撤退におけるリスクマネジメント

今の日本において、技術的、経済的な勢いは影を潜め、スタグフレーションに喘ぐ状況になっています。ハイオクガソリン価格もリッター200円を超える勢いであり、あらゆる物価が軒並み上昇しています。国際的な為替レートから見ても、対外的に円が弱くなってきています。欧米に旅行に出向いたときの物価の違いは顕著に現れ、旅行からの帰国時に見るクレジットカードの請求額にゾッとする思いをする人が後を絶ちません。国際的に見て日本の低金利は円を保有しておく理由には当たらないと世界の誰しもが見て感じている客観的な事実があります。戦争クライシスが騒がれる状況にあっても然りです。

失われた30年、日本は少子化の一途を辿り、日本人で構成する生産人口そのものは今後、減っていく一方です。生産人口は経済活動を廻していく動力源に他ならず、今の日本は内燃機関のVベルトそのものが伸び切って廻っていない状況といっても過言ではありません。

こういった周知の事実を目にしたとき、何故か陥っている一つの実態があります。それは限られたパイの奪い合いです。その時に必ず訊くセリフの一つ、それは「パイそのものが少ないためどうしようもない」と現実を嘆くセリフです。どうしようもない、と嘆くだけで終わる人が大勢を占めてしまっている実状があります。どうしようもなくても、それにしがみつくしか生きていけない、そういう発想がこびり付いてしまっている現状ではないでしょうか。

日本人には、今までやってきたことを辞めてしまうと落伍者というレッテルが永久に貼られてしまうという恐怖観念が付きまとっています。そのために、ギリギリまで粘ってしまって取り返しのつかない状態に陥ってしまって、自分で自分の首を絞めてしまうことにならざるを得ない人が多い実態があります。それは頑張ったら何とかなる、頑張りこそ美徳だ、報われなくても苦労してこそ美徳だ、と世代間を超えた擦り込みがそうさせてしまっています。横並び教育の大きな弊害がここでも出てしまっていると言わざるを得ません。

ここに提案します。今苦しんでいることからの「撤退」という行動を起こすことを。シュリンクしている市場、レッドオーシャンのなかでもがき苦しむことからのまずは自分自身の置かれた状況からの「解放」が必要です。ビジネス用語からすると「損切り」という言葉もありますが、私の言葉からすると、今の状況からの「見切り」と表現する方が合っていると考えます。

人口が減っていく中でどう歩んでいくべきか?一つのモデルは熟成した国家観の出来上がっている欧州の国々は一つのモデルになると考えています。EUという国を超えた連合組織はさておき、国としての独自事情、国土面積当たりを比較したとき、決して日本より人口が多い訳でもなく、それ相応のGDPを維持している事実を捉えたとき、日本の未来の参考になる動きはこれらの国々にあるのではないかと考えています。北欧諸国などは、冬は確かに夜が長く寒くても暖炉の火で暖を取る、夏は白夜の世界でここぞとばかりに日光浴に勤しむ、どこか忘れ去られた当たり前の生活観が垣間見られます。税金が高い事情とは反面、公共事業において教育無償化など無料のサービスが多いなど、生活における充実ぶりは目を見張ります。世界一幸福な国といわれるフィンランドも社会としてのWellbeingを国策として掲げています。決して人口が少ないから豊かな生活ができないと嘆くのではなく、人口減に備えた将来像を見据え、次世代国家の将来像を見据え、そこに適合した生き方とは何なのか?一人ひとりが考えることの一つに「撤退」という方向性も忘れてはならない考え方の一つだと捉えています。

1+1は3にも4にもなる、そういう時代とは真逆に、1+1は0.5や0.7となる時代に突入してきていますが、それはこれまでの路線で事業を継続するという前提に立っているからです。自然淘汰される前に撤退することで次なる自分自身の在り方を模索していく、そのためには自分自身、あるいは自分の所属する組織がどう歩んでいくべきか、熟考していくプランニングが必要となってくるのではないでしょうか。そのヒントは何でしょうか?探せば探すほど色々出てくるものです。皆さんもこの「撤退」の先にある自分の姿を追いかけてみませんか?

株式会社シー・クレド
代表取締役 乙守 栄一

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