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  1. 普遍的リスク対策 乙守栄一
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第39回 行動を起こさないリスク

普遍的リスクマネジメント

乙守 栄一氏

このようなテーマを記載することに至った経緯として、足元から日本を危うくする現象が見るに堪えず、危機感を抱いたためです。前向きな行動を起こさず、批判・批評ばかりで足元をすくい、後は流れが良ければ甘い汁を吸おうと待ち構える、こういう日和見主義が世間一般、非常に蔓延っています。一見、平和というこの麻薬に侵された感覚を持ってしまった日本人。不透明な時期が故に、新しいことを行なうことに蓋をする文化が根付いてしまった日本。確実にアジア各国から遅れをとっています。

物事を決めることに時間をかけすぎるが故に、チャンスを逃し、後で後悔をする。もしくは貴重な情報を貴重と思わず、提供してしまうが故に、本当に大事なインテリジェンス(情報)が他国(他者)に流れてしまっています。

平和の定義が世界各国と日本が異なることを日本人は頭の中に持っていません。日本人の持つ平和の定義は戦争がない「常態」を意味します。しかし、日本以外の国は平和(Peace)を「戦争が休戦している間」を意味します。つまり、日本以外の国は戦争がある事が「常態(普通)」であり、何かしらの緊張感がいつもあるということです。平和ボケ、という言葉が使われる所以がここにあります。

日本で美徳とされる“協調性”がこの日本独特の平和感覚であると誤解する人が何と多いことでしょうか。協調性とは進むべき目的に向け、目標を定め、前向きに如何なる手段で進んでいくかということを指すべきところが、ここにネガティブ目線が挟まれてしまっているのが、日本の組織の灰汁たる所以です。わかりやすく言うと、やらない理由を探す、何が重要かを弁えずローカルな手順やルールに縛られてしまい、手順を踏まなければ前に進められない。石橋を叩きすぎて、石橋の耐震性を揺るがしてそのまま放置をしてしまうパターンが如何に多いことか。その結果、ちょっとした揺れに石橋が耐えられず、組織が無意識の中で崩壊してしまうケースは枚挙に暇がありません。

会社組織には設立理念があります(一部、理念がない会社もありますが)。その理念に沿うか沿わないか曖昧な人たちが大勢を占めてしまうことの危うさは、事業を行なう組織責任者にとって土台を揺るがしかねません。昨日は賛成していたことに対して、今日は反対をする、変えてはならない理念を平気で変える一貫性の無い組織には、人は信用も信頼もしてもらえません。これは信用信頼情報という、侵してはならない情報改ざん(情報セキュリティリスク)に他なりません。情報セキュリティとはITを中心に考え、対処していれば良いと考えられがちですが、根本はこのように人とヒトとが数々の情報を通して結びつきを強化し、作り上げられていく信用信頼情報、これが崩されることで壊れているビジネスがどれだけ多いことか。機会ロスと一言で片づけて良いものではありません。なぜ、機会ロスが起きたのか?その原因対策こそ、本当の意味での“情報(Intelligence)”セキュリティ対策なのです。そうです、今の情報セキュリティ対策の根底は性悪説がベースラインとなっているために、人が前向きになれないのです。

今起きている人事面とIT面での情報セキュリティポリシーの分断、ここがリンクすることで組織の反映は必ずやプラスに機能することは間違いありません。社員一人ひとりが組織の理念をきっちり腑に落とし、行動すれば、情報コントロールは自発的に機能していきます。少なくとも内部犯行としての不正は未然に防ぐことはできます。その結果、生産性の向上、売上増進は自ずと結果として付いてきます。

呉越同舟と言う言葉があります。仲の悪い、意見の合わない者同士でも、同じ境遇に居れば互いに協力をしあって目的に向かって行動を共にする、という故事です。この言葉は今の不透明なご時世に非常にマッチした言葉になっているのではないでしょうか。多様性が求められて時代だからこそ、組織理念の共有と信用信頼情報の確立、これが事業永続への道標だと考えます。

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