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  1. 普遍的リスク対策 乙守栄一
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第90回 観ることの習慣付けによるリスク対策

日本においてもやっと新型コロナの感染症分類が2類から5類への引き下げが2023年5月8日を境に実施されることとなりました。それを待ちきれないかのように、ここ最近の海外からの観光客が軒並み、来日しています。京都の祇園界隈も大きなスーツケースをゴロゴロ転がし、歩道を歩くにもまっすぐ歩けないほどの混雑ぶりです。外国人観光客の多さはここ数年、目にすることのなかった光景です。彼らの目的はそれこそ「観光」です。

そもそも、この観光の語源ですが、古来中国の『易経』にある「観国之光、利用賓于王」から端を発し、「その国の光を観る」ということが由来となっています。その国がどの程度人徳があって、政治がまともであるかといった結果によって、その国を訪れた人が繁栄ぶりを観る(感じる、印象を持つ)ということです。古来、古墳時代は大陸からやってきた使節団に対し、国家の威容を見せつけんがため、難波の海から当時の都の大和に至る道中、巨大な古墳を築き、圧倒したと言います。さぞ使節団はその光景を当時の中国の王朝に持ち帰り、刺激的な印象を伝えたことでしょう。

上記から察するとおり、「観る」と「見る」は大きく意味が異なります。観るということは触れ合い、学び、遊ぶ、何かしら体験、経験を伴うものと解釈できます。これらの体験、経験を通して得られるものは刺激であり、その刺激が強ければ強いほど印象に残り、脳裏に刻み込まれ、本人の気づきとしてしっかり定着します。

「観」という字をさらに分解してみます。この左側の部分は元々「雚(カン)」という字になります。この旧字体を紐解くと、「口」という字を二つ並べ、その下に尾の短い鳥を意味する部首「隹(ふるとり)」があります。この「隹」は古代鳥占いでも利用された神聖な鳥であったコウノトリを意味するそうです。「雚」は目の周囲の赤いコウノトリを象形文字で表し、右横の部首「見」は大きく見開いた人の目を表しています。これらを解釈すると、コウノトリのように大きく目を見開いて「よくみる」、これが「観」の元々の意味になります。まさに鳥の目で物事を見るという表現にも通じるところがあります。

いまの日本、来日する外国人にとってはどのように映っているでしょうか?光(繁栄ぶり)を感じてもらえているのでしょうか?15,6年前の中国上海、5年前のミヤンマー、それぞれ私が訪れたときは現地の「人」に勢いが感じられました。なんともいえぬ巨大な「渦」が巻いているという表現がぴったりくるかもしれません。そのような「渦」がこの両国には蠢いていました。この渦に巻かれるが如く、現地の人の動きにはエネルギッシュ、ダイナミックさを伴っていました。

それに反し、バブル崩壊以降、日本の失われた30年の元凶はなんといっても、尻すぼみ管理主義でした。横並び主義が当たり前で来た日本国民は、総じて失われた30年を尻すぼみ管理主義の餌食となってしまいました。個を出すと出る杭は打たれる主義で組織から放り出され、挙って尻すぼみ管理主義が最良の生きる道であると、日本人の大半が何気なく風見鶏風に判断して突き進んでしまいました。普通に物事を「見」てしまったことが要因です。日本人の精神状態と行動は今や「レミング(鼠)」の集団行動により、海に飛び込んでいくシーンと同じです。

「見」から「観」へのシフトチェンジ、今こそ行なうべき時です。このことに気付ける人、行動できる人だけでもシフトチェンジが必要です。現在の日本の国内法では、海外から無条件に土地物件の売買が出来てしまう状況で、「観」が出来ていない人が大半であるがため、北海道などはかなり虫食いの状態で土地が買われてしまっている状況と聞きます。日本の内側から海外の植民地化が進んでいるといっても過言ではありません。その買い取られた土地の水や日本産の農作物が勝手に日本から海外に流出する、地場には還元されない、日本人が「主」であるべき地が「従」にならざるを得ない状況が進行しつつあります。

まずは足元の状況を「観る」ことから着手することが、日本の活気を取り戻すベースラインになると考えます。みなさまの足元の状態は如何でしょうか?揺るぎない状態でしょうか?今一度、「観」ることをお勧めいたします。

株式会社シー・クレド
代表取締役 乙守栄一

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