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第63回 目に見えない物事の拡がり

我々は人と会ったとき、まずは外観から判断してしまいがちです。第一印象は3秒で決まるとまで言われます。就職時などは服装や髪形など、身だしなみをきっちり整えることを否応がなく、世間から躾けられてきました。目に見える物事はまず目を通して映像として脳に入ってくるため、ヒトの脳は自分の好みに合う、合わないという直感にどうしても働きかけてしまいます。物事についても、人の目に見える、またそこを補完する音で聞こえる、嗅覚などが合わさり、物事の第一印象、その後の印象を形成していきます。

しかし、見えない物事はどうでしょうか?人を見かけで判断してはならない、という言葉も耳にします。物事についても、この見えない物事を拡げるためにこれをどう把握するか、または把握してもらうかが大きなカギを握るケースによく遭遇することがあります。

見えない物事をどう理解してもらうか、そのうえでどう納得してもらうか。このカギを握ることに大きく3つのパターンがあると考えられます。

一つ目は見えない物事を如何にビジュアル化して理解を促進させるかというテクニックです。概念をイメージ化(映像やパワーポイント等での図示)することで、人の理解を手助けする工夫を行なう手段です。

二つ目はその人が持つ人柄です。人間性とでも言いましょうか、味方を得るポイントをその人が備えているかどうかです。

三つ目はヒトとの関係性の構築です。「ヒトは6人とつながれば世界中の人とつながることができる」、「どのような優秀な万能な人でも人間が深い付き合いを行なうのは一生に200人が限界である」と言います。とはいいながら、全ての人と均等に主体的に関係性を構築することなど時間的にも物理的にも不可能ですし、たとえできたとしても薄い関係性のまま終わってしまうことは当然のことでしょう。関係性のない(薄い)人の言うことは殆ど聞き流されるか、偶然嗜好が一致していない限り、目が向けられることは殆どありません。したがって、空気の流れのごとく気づかれずに通り過ぎてしまいます。如何に聞く耳、見る目を持ってもらえる人を増やすことができるかがカギを握ります。

このような中、大きく関係性を拡げる手立ては、インフルエンサーの活用が有効です。ある程度名を成し、世間への影響力がある一定以上存在する人のことをインフルエンサーと言いますが、このインフルエンサーはそれ相応の自分に向くファンが付いています。この人の言うことなら間違いないと、ファンがある意味即断即決してしまう権威を所持しています。このインフルエンサーとの繋がりはある意味、強力な味方となります。一人が千倍、万倍という勢力を味方につけることにもなります。

これまでも考えることや気づきを得ることの重要性を伝えてきました。ただ、無関心のことを考えることや気づきを得るという労力を割くほどヒトは時間もパワーも持ち合わせていません。インフルエンサーに固定のファンはある種、磁力のごとくインフルエンサーの発信することに対して同調します。少なくともこのファンは見る目を向けてくれます。目に見える物事は勿論、目に見えない物事であっても、ファンは自身の思考回路を働かせて理解に努めてもらえます。

目に見えない物事はアイディアであったり、ビジネススキームであったり、中長期の視野であったりと様々です。これらを視覚的に訴えた映像や図解した資料をもとに、構築した人間関係、さらにこれらの人の中にインフルエンサーがいると、その先に繋がる人との間接的な繋がりが大きな味方になります。

YoutubeやSNSなど、つながりのない中で「見えない物事の拡がり」を実現される方もおられます。それも一つの拡げ方ではあると考えます。ただ、インターネットはあらゆる相手とつながるが故のリスクは付き物です。一つ間違うと風評はあっという間に拡がり、その時の被害の大きさと機会獲得の大きさは表裏一体です。リアルが故の人の繋がり、何かあればその先の人が見えているという点の確実さはあります。見えない物事の特性を捉えて、どういう形で人とつながっていくかを選択することで、効果とリスクのバランスを図ることが大切ではないでしょうか。

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