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第31回 見のあるコミュニケーション管理

普遍的リスクマネジメント

乙守 栄一氏

コミュニケーション、一言で皆さんは何を思い浮かべるでしょうか?仕事場での上司、部下との対話、離れて住む両親との対話、先生と生徒との対話等々、日々多くの場面が想像できることと思われます。
しかし、このコミュニケーション上で重要な落とし穴が一つ、存在します。単に会話をしていればよい、という他者同調型から出る“自分”としての発言が存在しないという点です。何故このような現象が出るのでしょうか?

人は認められたい、一人になりたくないなど、一つの生存本能としての欲求が存在します。この欲求レベルが強いと、他者同調、風見鶏現象が出てきます。また、集団としての構成比上、2;6;2の法則があり、6はこの風見鶏派に該当します。集団としての構成が大きければ大きいほど、“6(風見鶏派)”の影響は計り知れないものがあります。

コミュニケーション、デジタル大辞泉によると「社会生活を営む人間が互いに意思や感情、思考を伝達し合うこと。言語・文字・身振りなどを媒介として行われる」と記載されています。これを動物的・物理的な単純な表現に置き換えるなら、“シグナル”になります。

人はこのシグナルを受け取り、その信号の意味を解釈して、次なるレスポンスを返す、というこの繰り返し、これがコミュニケーションの実態です。人間は五感プラス第六感でこのコミュニケーションをやり取りします。やり取りできるチャネルが多いが故に複雑なニュアンスを読み取る術にも長けた人は長けています。人生経験の為せる業なのかもしれません。

時に2;6:2の“6(風見鶏派)”のパワーを、左右何れかの“2”に強烈な引力を掛けようとする外圧的意図操作が働くことがあります。マスコミ売上の競争に煽られ、仕立て上げられたシナリオに同調させられてしまう“6(風見鶏派)”。前後脈絡、すべて切り取られ、飛び飛びに配置された“単語”レベルの繋ぎ合わせで、全く異なる事象に置き換えられてしまうケースも後を絶ちません。下手な解釈を入れようものなら、それを新たな事実として捉えてしまう“6(風見鶏派)”が増殖していってしまい、事の真相は闇の中に消え去ってしまいます。

小さい頃流行った伝言ゲームに、最初の人にお題を渡され、何人先まで正しく伝わるか?というやり取りがあったのを想い出します。きっちり物事をイメージ通り伝えられるか否か(能力)で結果に大きく差が出ます。

時として“IT”もこのコミュニケーションの弊害を産みます。便利さに感けていつ何時でも“IT”をコミュニケーション手段の代替で全面的究極の信頼を寄せて使ってしまうと、コミュニケーションのエラーを引き起こしてしまいます。

では、正しく伝えるためにはどうすれば良いのでしょうか?答えは自分の“こころ”を持って伝えることです。他者の“こころ”を伝えるのではありません。他者と似通った意見に真に同調できるならば、自分の言葉に置き換えて伝える、決して伝書鳩ではなく自分の意思が入った言葉で語る、これが唯一の解決策です。

個人の想いは他人が強制的に変えることはできません。しかし、ヒトがこころを開いていることが分かるならば、そこに飛び込み、コミュニケーションを取る、そのことによって、相手の真の意見が出てきます。時には飛び込んだ結果、相手に気づきを与えることさえあります。相手が自分の意思で物事を解釈し、判断できてはじめて本当のコミュニケーションが成立します。

某大学の対応ネタでここ最近、ワイドショー、ニュースは取り立てています。敢えてこの解釈については触れませんが、一つの人対ひとの関係性が如何に大事か?常日頃、心の通ったコミュニケーションが取れているか?下手な引力が働いていないか?大きな教材がちょうど目の前に現れていることを、美点凝視で捉えてみるのも一つの気づきを得る良い機会かもしれません。

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