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  1. 普遍的リスク対策 乙守栄一
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第40回 自由と責任

普遍的リスクマネジメント

乙守 栄一氏

「自由」と「責任」という、一見相反しそうな言葉ですが、自由という言葉から何が連想できるでしょうか?そもそも自由という言葉に抱くイメージとして、「何をやっても良い」「何の制限も束縛もない」「気ままに何でもできる」等、非常に個人にとっては喜ばしいことのように聞こえるかもしれません。しかしながら、自由という言葉を、左記のとおりの意味に対して逆説的に見るならば、「何も考えない」「事を起こさない」「流れに身を任せるまま」、結果として「何もしない」という危険性を孕んでいます。「何もしない」ということは「何も進まない」ということになるためです。今の日本の停滞を象徴しているかのような状態です。

今こそ、この自由という言葉の定義を捉え直す必要が出てきています。日本の土地、家屋が虫食い状態で海外から無差別に買われていく状況が続き、日本が他国に侵食されかねない状況が刻一刻と近づいてきています。自由だから何をやっても構わない、気にくわないことが起きればすぐに「ハラスメント」と訴える、SNSで流言齟齬を流すなど、モラルハザードが飛び交うこのご時世。自己中心的な人が増えてきただけでは済まされません。そこまで単純な話ではないのです。

戦後GHQにより、ヒトは楽をすることを教育として施されてきました。娯楽により、日本人の精神状態が骨抜きにされ、娯楽という楽しみがなければ生きていけない一種、中毒症状のような状態に国民の大半が仕立て上げられてきました。楽しみという状態は長続きせず、楽しみ=幸福である、と誤った価値観を抱いてしまっています。流されるまま生きる、この実態に真の意味で頭を使って考える、というプロセスが根こそぎ抜けてしまっているのです。

考え方を忘れてしまった日本人、考え方を知らない日本人、考え方を教えられていない日本人、いろんな境遇の言葉が当てはまりますが、この“考え方”を知らない日本人が“自由”という言葉を使い出すこと自体、無免許で人生を生きていることと同じで、非常に危険な状態です。

考え方とは本来どうあるべきかという“定義”を踏まえた自由、これこそ本来の責任ある自由になるのです。冒頭にも触れたとおり、責任と自由と真逆のイメージを連想してしまいますが、要するにこういうことです。

今の自由とは、決められた環境下(学校であれば教育カリキュラム、会社ならその中での規律等)での自由です。ふとした疑問であっても質問をすることを良しとしない、言われた通りに行動する、流されるままを良しとする風潮、出る杭を打つ風土等、これでは考える自由、環境をつぶしてしまっていることに他なりません。戦後70年を過ぎ、考えることを置き去りにしてきた人が三世代にわたり人口の一定割合を占める中、真っ当な考え方のできる/考え方を教えることのできる人が圧倒的に不足しています。

お伝えしたいのは、考える自由を人々に広げなければならないということです。ただ、自分で考えることを、自分だけで閉じて考えるだけでは限界があります。そこは、人とヒトとが正しいコミュニケーションをとることで、新たな気づきを得ることができます。一種のアハ体験とでも言いましょうか。正しいコミュニケーションとは、相手の話していることをじっくり聞く、聞くことで疑問が沸き、そこから質問をすることで自分が気づくことになります。質問するということは、聞いている内容が分からない(もっと理解したい)ため、自らの意思で質問内容が出てきていることでもあり、自ずと頭が働いているわけです。話を聞き、自分で問いを出し、語る、これらを繰り返すことが考えるということになります。自発的に考えることとは、納得性が増すことにも繋がります。その結果、考えて実践することには自己責任が発生します。自分が“由(よし)”とする、それが自由というものです。

このように自由という本来の意味に立ち返った時、責任と自由というものは、非常に深くリンクしていることに気づきませんか?自由という意味を本来の意味に捉え直せる人たちを増やしておく、この活動が日本復権のカギを握っていると考えても言い過ぎではないと考えます。皆さんのご意見は如何でしょうか。

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