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平川 博  

第4回「家電製品の安全対策

 ※前回の連載配信時に第4回と記載し配信いたしましたが、正しくは第3回、今回が第4回となります。この場をおかりし誤記をお詫び、訂正を申し上げます。

1.相次ぐ家電製品のリコール

 消費者庁の平成26年6月11日付「お持ちではありませんか? リコールが行われている台所用機器」と題する報道発表資料では、以下のように記載されています。


 平成25年度に消費者庁に寄せられた、リコール製品による火災や重傷等の重大製品事故の報告のうちの約4分の1(30件)が台所用機器によるものです。

  平成25年度にリコールが行われている台所用機器で火災等の事故を起こしたものは、下記の14製品です。約310万台のリコール対象台数のうち、約180万台を超える製品が未対応のままになっています。リコール製品は、そのまま使い続けると火災等の重大な事故を引き起こすおそれがあり、大変危険です。御自宅等にリコール製品がないか再度確認し、お持ちの場合は使用を中止し、製造・輸入事業者による回収・無償修理等を受けてください。
 
 また、長期使用製品安全点検制度の対象となる9品目の製品をお持ちの方は、お客様情報を該当する製造、輸入又は販売事業者に登録してください。登録すると、適切な時期にこれら事業者から点検通知が届きますので、点検を受けましょう。台所用機器では、ビルトイン式電気食器洗浄機が該当します。
                                 記
1.電子レンジ
(1)株式会社千石が輸入し、岩谷産業株式会社が販売した電子レンジ
(2)小泉成器株式会社が輸入した電子レンジ
(3)三洋電機株式会社が製造した電子レンジ
2.電気冷蔵庫
(1)シャープ株式会社が製造した電気冷蔵庫
(2)LG電子ジャパン株式会社(現 LG Electronics Japan 株式会社)が輸入・販売した電気冷蔵庫
3.電気こんろ(キッチンユニット用を含む)
(1)富士工業株式会社が製造した電気こんろ(サンウエーブ工業株式会社(現株式会社LIXIL)の小型キッチンユニットに組み込まれている電気こんろ)
(2)日立熱器具株式会社(現 日立アプライアンス株式会社)が製造したキッチンユニット用電気こんろ
(3)松下電器産業株式会社(現 パナソニック株式会社)が製造した電気こんろ(日立化成工業株式会社(現 株式会社ハウステック)、松下電工株式会社(現パナソニック株式会社)、及び松下電器産業株式会社(現パナソニック株式会社)のキッチンユニットに組み込まれている電気こんろ)
(4)【倒産】株式会社萬品電機製作所が販売した電気こんろ
4.食器洗い乾燥機(卓上型/ビルトイン式)
(1)リンナイ株式会社が製造し、クリナップ株式会社、タカラスタンダード株式会社及びリンナイ株式会社が販売したビルトイン型食器洗い乾燥
(2)松下電器産業株式会社(現パナソニック株式会社)が製造した卓上型食器洗い乾燥機
(3)TOTO株式会社が製造した卓上型食器洗い乾燥機
5.IH調理器
(1)株式会社永泰産業が輸入し、株式会社テスコムが販売したIH調理器
6.電気ケトル
(1)株式会社グループセブジャパンが輸入・販売した電気ケトル


2.事故原因の類型別事故事例
(1)設計上の欠陥
「『上面操作一口電気こんろ』及び『複数口電気こんろ』の事故の再発防止に向けた抜本的対策について」と題する経済産業省のニュースリリース(平成19年7月31日)では、以下のように記載されています。


小形キッチンユニット用電気こんろ協議会(以下「協議会」という)では、小型キッチンユニット用電気こんろにおいて、体や荷物がつまみ(スイッチ操作部)に触れてスイッチが入り、電気こんろ上や周囲に置いてあった可燃物が発火する事故が発生しているため、これまで無償改修を行ってきていますが、従来対象としていた一口電気こんろの他、上面にスイッチがある電気こんろ及び複数口をもつ電気こんろにおいても、同様のスイッチ構造により同種事故が発生していることが判明しました このため、当該電気こんろについても改修対象として、抜本的な改修計画、改修対象機種・台数及び事故件数について本日公表し、8月1日より無償改修を行うこととしました。


 この事例は、電気こんろに身体や物が接触することにより意図せずにスイッチが入る構造になっていて、そのために発火事故が起きていることから、通常有すべき安全性の欠如(製造物責任法上の欠陥)があると認められるものと考えられます。

(2)製造上の欠陥 「パナソニック株式会社が製造したノートパソコン用バッテリーパックのリコールが行われます(製品交換)」と題する経済産業省のニュースリリース(平成26年5月28日公表)では、「1.事故事象及び再発防止策について」「(1)事故事象について」という見出しの下に、以下のように記載されています。


 パナソニック株式会社が製造したノートパソコン用バッテリーパックについて、当該製品から出火し、周辺を焼損する事故が発生しました。消費生活用製品安全法第35条第1項に基づき報告された重大製品事故は2件です。
(管理番号:A201300737, A201300782:いずれも「ノートパソコン」として公表しています。)
この他、日本で購入したノートパソコンを海外で使用中、同様の事故が1件発生しています。
 当該事故の原因は、現在、調査中ですが、当該製品のバッテリーパックの製造上の不具合により、バッテリーセルが異常発熱し、出火に至ったものと考えられます。


 これら3件の事故は、いずれも人的被害には至っておりません。
また、この事例では、製造上の不具合と出火との間に因果関係があることが認められることから、製造物法責任法上の欠陥に該当するものと思われます。

(3)指示・警告上の欠陥
2011年11月に発行された『生活安全ジャーナル』第12号(製品評価技術基盤機構(通称NITE)発行)に掲載されている「NITE データベースにみる『製品自体に問題があり、使い方も事故発生に影響したと考えられる』事故」という記事(生活安全ジャーナル編集事務局、4頁以下)では、事故原因区分B4(表示又は取扱説明書の不備で使い方も事故発生に影響)の事例について、以下のように表形式で記載されています。

事故事例 電子レンジ加熱式ゆたんぽをレンジで加熱後に寝室に持って行く際に破裂し、 2人が内容物でやけどをした。
事故原因 過剰加熱による破裂ではあるものの、 取扱説明書の加熱時間等の注意表示が十分ではなかったことから、 事故に至ったと考えられる。

(http://www.nite.go.jp/jiko/journal/journal_vol12.pdf)

 この事例では、取扱説明書の記載が不十分であったために火傷という人身被害が発生していることから、製造物法責任法上の欠陥に該当するものと思われます。

(4)誤作動

 消防科学総合センターが発行している季刊誌『消防科学と情報』NO.90(2007年秋号)に掲載されている「電気こんろ誤作動での出火」(火災原因調査シリーズ(46)コンロ火災)という記事(大阪市消防局)では、居住者の留守中に何らかの原因でスイッチが入ったために起きた火災について、製品自体に異常は認められなかったが、機種は異なるものの同一メーカーの電気こんろが電気ノイズにより誤作動を起こしているという情報を手掛かりに「電気ノイズによる影響試験(電気的ファストトランジェント/バーストイミュニティ試験)」を実施されました。その試の結果に基づき、「5 出火原因」及び「6 終わりに」という見出しの下に、以下のように記載されています。


以上のように調査、実験及び試験を実施した結果、焼き箇所が電気こんろ付近であり、他に火源となるものが無いこと、居住者が外出時までの間に消し忘れや、電源ボタンの接触による出火は時間経過から考えられないこと、無人の状態でも電気ノイズの影響により電源が入ることが確認されたことから、居住者が外出し無人となった部屋で、電気こんろが電気ノイズにより電源が入り、こんろ上に置かれた樹脂製水切りかごに着火し出火したと考えられた。
 現在、私たちの生活に電気は欠かすことができないものとなっており、ありとあらゆる場所に様々な電化製品が用いられている。それらの電化製品からは大小様々な電気ノイズが発せられ、それにより誤作動を起こす可能性を秘めていることが今回の事例で判明した。


 この事例のように、製品自体に欠陥がなくても、電波や電気ノイズのほか、雷や高温多湿な気候等の外的要因、更には厨房や浴室のような高温多湿になりやすい空間での使用により、誤作動が起きる場合があります。

(
5)誤使用
2006年7月に発行された『生活安全ジャーナル』第2号(製品評価技術基盤機構(通称NITE)発行)に掲載されている「誤使用について」という記事(生活安全ジャーナル編集事務局、3頁以下)では、家庭用電気製品(略称「家電製品」)について、以下のように記載されています。


 「誤使用や不注意による事故」の過去3年間(平成14年度~平成16年度)の品目別ワースト5では…(中略)…家庭用電気製品では電気ストーブや配線器具(延長コード)がワースト5に入っている。…(中略)…「電気ストーブ」の事故は、「石油ストーブ」の事故事例と同様に乾かしていた洗濯物がストーブ上に落下して火災になったもの又は就寝中に寝返り等により布団等が接触して火災になったと考えられる「誤使用や不注意による事故」が多く含まれる。…(中略)…
 平成16年度に収集された事故情報について…(中略)…収集件数が最も多かった「①家庭用電気製品」の事故原因をみると、「製品に起因する事故」は443件と全体(584件)の約76%を占め、「誤使用や不注意による事故」と考えられるものは35件で全体の約6%程度である。…(中略)…平成13年度~平成15年度における…(中略)…家庭用電気製品の事故件数の約3割が誤使用や不注意による事故であり、いずれの年度も50歳代における誤使用や不注意による事故件数が最大となる傾向がある。


(http://www.nite.go.jp/jiko/journal/journal_vol02.pdf)

3.安全対策

 安全対策は、事故の原因によって異なります。そこで家電製品の事故原因の各類型について、安全対策を考察することにします。

(1)設計ミス
 設計ミスが安全性の欠如に直結する場合は、欠陥商品として製造物責任が問われることになります。そのようなことにならないよう、企画の段階から、安全性の確保や強化を明記し、利便性や経済性、美観だけでなく、安全性を高めることを目標に掲げることが肝要です。この目標に向かって、製品の仕様を決めて行くことになりますが、経済産業省が平成25年7月に策定した「製品安全に関する流通事業者向けガイド」では、「2―1 製品のリスクアセスメントの実施」という見出しの下に、「主体的に製品の企画・設計・生産に関与する流通事業者は、製品の企画・設計・開発段階でリスクアセスメントや試作品の検査・試験等に関与して、製品の安全性を確認します」と記載されており、メーカーと流通事業者が安全性の確保で協力することが期待されています。 また、設計ミスにより不具合が生じた場合に重大事故が起きないよう、フェール・セーフ機能を備えた製品を開発することが望まれます。

(2)製造ミス
  製造ミスも、設計ミスと同様、安全性の欠如に直結する場合は、欠陥商品として製造物責任が問われることになります。そのようなことにならないよう、原材料の調達から出荷に至るまで、品質管理に万全を期すことが肝要です。製造ミスの類型で多いのは、異物混入と機能や形状の不良品ですから、この2点に重点を置いて品質向上の設備投資と品質検査を行うことが望まれます。

(3)経年劣化
 経済産業省の「製品安全ガイド」というサイト中、「消費生活用製品安全法改正について」と題するウェブページでは、「長期使用製品安全点検・表示制度」という見出しの下に、以下のように記載されています。


 平成21年4月1日、長期間の使用に伴い生ずる劣化(経年劣化)により安全上支障が生じ、特に重大な危害を及ぼすおそれの多い9品目※1)について「長期使用製品安全点検制度」が設けられました。本制度は、これらの9品目の製造又は輸入事業者に加えて、小売販売事業者、不動産販売事業者、建築事業者、ガス・電気・石油供給 事業者などの事業者、さらには消費者等、それぞれが適切に役割を果たして経年劣化による事故を防止するための制度です。
 また、経年劣化による注意喚起表示の対象となる5品目※2)について、経年劣化による重大事故発生率は高くないものの、 事故件数が多い製品について、消費者等に長期使用時の注意喚起を促すため「長期使用製品安全表示制度」が設けられました。
※1)屋内式ガス瞬間湯沸器(都市ガス用、LPガス用)、屋内式ガスふろがま(都市ガス用、LPガス用)、石油給湯機、 石油ふろがま、密閉燃焼式石油温風暖房機、ビルトイン式電気食器洗機、浴室用電気乾燥機
※2)扇風機、エアコン、換気扇、洗濯機、ブラウン管テレビ


(http://www.meti.go.jp/product_safety/producer/shouan/07kaisei.html:経済産業省〉製品安全ガイド〉事業者のみなさまへ〉消費生活用製品安全法改正について)

 無数にある家電製品の内、長期使用製品安全点検制度の対象となっているのはビルトイン式電気食器洗機と浴室用電気乾燥機の2品目であり、長期使用製品安全表示制度の対象となっているのは、扇風機とエアコン、換気扇、洗濯機、ブラウン管テレビの5品目です。その他の家電製品は重大事故発生率も低く、事故件数も少ないことから、法規制の対象外となっています。しかし、すべての家電製品には寿命があり、遅かれ早かれ、経年劣化を避けられません。このような観点から、独立行政法人製品評価技術基盤機構生活・福祉技術センター次長の矢野友三郎氏が執筆した「経年劣化に伴う家電製品の事故」と題する論文(『予防時報』235号、日本損害保険協会発行(2008年10月)、36頁以下)では、「9.課題と提言」という見出しの下に、以下のように記載されています。


(1)行政と事業者の役割
 経年劣化に起因する危害は、特定保守製品に限らず起こりうることである。このため、国は事故報告公表制度によって得られた情報を収集し、その結果として得られる経年劣化に関する情報(例:どのような製品につき経年劣化による危害が生じるか、どのような材料が劣化しやすく、いかなる危害が発生しうるか等)を公表する(法第32条の21/既販品も対象)。
 そして、製造・輸入事業者は、公表された情報を活用し、設計や製品への表示の改善を行うよう努める(法第32条の22第1項)ことが必要である。例えば、他社が製造する同種の製品で、経年劣化による危害が発生したという情報が国から公表された場合に、それを生かして注意喚起表示を行うことが求められる。
 また、製造・輸入事業者、小売販売事業者は、経年劣化による危害の発生の防止に資する情報を収集し、収集した情報を一般消費者に提供するよう努力するよう努める(法32条の22第2項/既販品も対象)。
例えば、カタログに「この製品は○○年程度使用すると経年劣化による危害の可能性が多くなります」といった記載を行うことが求められる。

(2)リスクアセスメントの実施による安全確保
 現状では国の安全基準さえ守っていればよいとなりがちであり、新しい製品が出てきたときに、安全基準だけでは新技術に対応できない場合がある。
 このため、事業者は、危険源の存在を自ら認識して能動的に対応し、経年劣化による寿命末期においても、本質安全設計方策による本質的に安全性に問題のない製品や、保護装置(フェイルセイフ等)を備えた製品を設計して社会に提供することが、今後、ますます重要になると考えられる。

(3)生産物賠償責任保険と製品安全インセンティブ
 今日、事業者は、想定し得ない製品安全問題に対処するため、生産物賠償責任保険に加入しているところが増えてきている。
 この生産物賠償責任保険の保険料は、製品事故の頻度と事故の大きさにより決定されると考えられる。しかし、保険をかけるときは、製品の市場投入前であるだけに、事故リスクの見積もりによる保険料算定が難しい。

(4)製品安全文化の構築に向けて
 製品の経年劣化の事故の未然防止には、我が国の社会を構成する消費者、製造事業者・輸入事業者、販売事業者、賃貸事業者、修理事業者、設置事業者、エネルギー供給事業者等の関連事業者、学識経験者、行政機関等が、製品安全の重要性を強く認識し、一丸となって取り組む事が必要である。
 そのためには、事故を未然に防止し、事故が生じた場合であってもその被害を最小限に留め、その経験をさらなる製品安全の強化に活用していく上で、それぞれが役割を果たすことにより、我が国に製品安全文化を構築していくことが必要である。


(http://www.sonpo.or.jp/archive/publish/bousai/jiho/pdf/no_235/235.pdf:日本損害保険協会〉統計・刊行物・報告書〉刊行物〉防災・防犯リスク情報専門誌「予防時報」〉予防時報235号[PDFファイル、原書41頁])

(4)部品不良
  最近の家電製品はマイコンが組み込まれており、ユーザーはスイッチを入れ、パネルの表示に従って簡単な操作をするだけで、自動的に仕事を遂行することができるものが増えています。そのために、部品の中で電子部品が占める割合が高くなっており、その不良原因は複雑で、究明することが容易ではありません。
 また、開発段階では見つからなかったプログラム上のバグが、市販後のトラブル発生を通じて発見されることもあります。その場合は、プログラムの書き換えが必要となります。
 因みに、三菱電機の「半導体・デバイス」というサイト中、「光デバイス 信頼性情報」というウェブページで掲示されている「4. 半導体デバイスの故障解析」と題する文書では、以下のように記載されています。


1.故障解析の必要性
 故障解析は、故障品の調査を通じて故障に至ったメカニズムを明らかにし、設計・プロセスに対して迅速かつ正確なフィードバックを与えるために必要である。市場において、デバイスに要求される信頼性はますます高くなり、しかもデバイスの高集積化・大規模化も急速に進められているため、故障解析においても高度な技術が要求される。
 デバイスの信頼性を確保するためには、設計・プロセスの開発段階から信頼性を作り込むことが常識になっているが、製造工程や市場での故障発生は避けられないため、迅速な故障解析を実施し、対策を施して、故障の発生が繰り返されることを防止しなければならない。
 半導体デバイスは、ウエハ・アセンブリプロセスで100を越える加工工程を有し、使用される材料部品も多種にわたる。さらにデバイスが使用される環境も多岐にわたるため、故障解析には設計・プロセスを始めとする幅広い知識が要求される。

2.故障解析とは
 故障判定基準に基いて、対象となるデバイスが機能を失ったと判断したときから故障解析が始まる。故障は、完全劣化から機能の減少に至るものまで非常に幅広い。最近の電子機器システムは非常に複雑になり、単なる部品のみの故障ばかりではなく、システム全体のマッチング不良による故障も多い。故障解析では、これらの点に十分な配慮を払わなければ誤った結論を出して改善活動の方向を見誤ることになる。
 故障解析とは、故障内容をよく吟味し故障メカニズムを明らかにするため、適切な電気的・物理的・化学的解析技術を駆使し故障原因を解明することである。実際の故障解析では、解析作業に着手する前に故障発生当時の状況をできるだけ調べて故障内容を的確に把握することが必要である。特性値の変化内容、故障発生までの経過・使用された環境・ストレス条件・実装置上の問題点・人的ミスなどの分析が必要である。…(中略)…また、解析にあたっては故障品と良品を比較することも、問題の解決を早く見つける糸口になる。


(http://www.mitsubishielectric.co.jp/semiconductors/products/pdf/reliability/opt_hf20080717_4.pdf:三菱電機〉半導体・デバイス〉製品情報〉光デバイス〉信頼性情報)

4.結語

 
そもそも家電製品は不特定多数の消費者が使用するものであり、利便性や経済性は高まる一方ですが、そのために生命や健康が犠牲になるような事態が起きてはなりません。産業法務の視点から、企業という枠を乗り越えて産業社会全体を見渡し、一般消費者の目線で、より良く、より安い製品やサービスを提供するという事業目的を果たすために、何よりも安全第一という原則を貫き、産官学が連携して、誤操作に備えたフール・プルーフ機能や、事故発生防止のためのフェール・セーフ機能を強化すると共に、消費者に対して、適切な取扱い方法の説明だけでなく、製品ごとに耐用年数や製品寿命を明記して、消費者に対する的確な情報提供を行うことが望まれます。



【筆者:平川 博プロフィール】

昭和52年 中央大学法学部卒業
平成15年~19年 医薬品企業法務研究会の知財部会長
平成16年~19年 ヒューマンサイエンス振興財団の研修委員
平成17年~19年 製薬協の知財部会委員
平成19年 日本チバガイギー㈱退職、社労士開業
平成19年~23年 千葉県年金記録確認第三者委員会専門調査員として総務省で勤務
平成19年~現在 ヒューマンサイエンス振興財団の個人会員
平成22年~現在 行政書士登録、社労士と兼業で産業法務相談室開設
平成25年~現在 日本賠償科学会の会員 平成26年~現在 
NPO法人童謡文化を広める会の会員
平成26年~現在 一般社団法人産業法務研究会(産法研)の専務理事
平成26年~現在 特定非営利活動法人日本リスクマネジャー&コンサルタント協会の会員

【一般社団法人産業法務研究会(産法研)の概要】
1.設立の目的
①産業法務という概念の普及
②産業界が一丸となって法令遵守に取り組むこと
③産官学の連携 を推進することにより、産業社会の発展に寄与すること
2.主たる事務所 東京都豊島区池袋三丁目1番11号
【建物の名称】セレクトガーデン池袋.
【最寄りの駅】要町(地下鉄有楽町線)出口5番(祥雲寺方面)から徒歩1分
3.事業
(1)産業法務の研究を目的とする会合(以下「研究会」という)の開催
(2)産業法務関連の出版・頒布事業
①書籍(電子書籍を含む)の出版
②定期刊行物の発行
③ビデオ・DVD・映画の製作・頒布
(3)産業法務関連のセミナー開催
(4)産業法務関連の講演会開催
(5)日本産業法学会の設立
(6)産業法務関連の行事(シンポジウムやフェスティバル等)の催行