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  1. 普遍的リスク対策 乙守栄一
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第76回 茹でガエル組織に甘んじるリスクとその対策

昨今、就活を控えた学生や人事を見ていると、Web面接は当たり前、人事側もその人となりとを十分に検証せず、如何に何千という応募者から適性を見出すか、SPIなどの適性検査で篩いにかけて絞り込んでいきます。一方、学生側からは大手企業や役所ほど安泰、安定志向が如実に出ています。ブランドに憧れ、自分のやりたいことは二の次、憧れて入った会社が実態とはかけ離れていた、3年以内に30パーセントは辞めていくという、この一見、無駄が生じています。ただ、この30%の人に対して、私は敢えて大いに賞賛したいと考えています。対人関係が原因で辞める人もいるかもしれませんが、総じて何かに合わないと気付いたから、また、その会社にいたことで違う自分が見つけ出すことができたということで、次なる組織の扉をノックするということもあるでしょう。理由はともあれ、動くということの勇気については賞賛したいと考えます。

さて、残る7割の人たちです。大企業に残った人たちに顕著に表れるパターンです。大企業にはブランドもあり、それによる世間からの信用・知名度も抜群です。この大企業というブランドに偽善的にも憧れてしまい、離れられなくなってしまった人たちです。5年、10年、20年、同じ組織にいるとそれなりに地位も上がります。先進的なことをやり続け、何十年も伸び盛りの企業はそう数は存在しません。過去の栄光に拘りを持ち続けて、生きる人たちの集団にさて、何が生まれるでしょうか?PDCAというサイクルへの拘り、グルグル改善ばかりしていれば企業は成長していくという管理社会の渦の中に思考回路が置かれてしまうと、人間の脳は確実に退化していきます。

5年、10年、20年、同じ会社に所属し続けている人、その組織には未来がありますか?ベンチャー系は立ち上がったばかりでリスクも高い分、夢も大きいでしょう。DXやそれに関わる企業も新興系企業が多い訳ですから、それもこれからの技術としての先取りを行なうべく切磋琢磨しながら、成長していく分野だと考えます。

昭和戦後から大きく、高度経済成長の路線で伸びてきた企業、バブルという享受に甘んじてきた企業、そしてその後の徹底管理社会で評価を上げてきた企業、何か根本の歩みとして間違っていることに気づきませんか?1000年以上も続く金剛組のような寺社仏閣建築を生業とする伝統という職人技の技術を持つ企業ならいざ知らず、一つのことにしがみ付き過ぎた故に離れられない凝り固まった思考回路の人たち、ブランド企業がブランドだけを信じてしまうことの茹でガエル状態に陥っていませんか?黒と白を混ぜればグレーとなりますが、そこへ更に土留め色が合わさり、何とも言えぬ臭いを発する企業が数多存在しています。過去のブランド×過去のブランド=大過去の遺物に成り下がっていることは、世界に目線を移せばすぐにもわかることだと気が付きませんか?

若人たちに伝えたいです。あなたたちは何のために生まれ、今に至っているのでしょうか?そこを意識して人生、過ごしてみませんか?夢がないと言えばそれで人生を捨ててしまっていることになります。何か存在価値があって今の世に生を受けていると考えられませんか?

あなたは、どういうタイプの人間であるという診断をこれまで何回となく受けたことがあるかと思います。これらはユンクやフロイトの掲げる古い心理学に則って、あなたはどういうタイプだからこういう風に生きる方が良い、とたった16パターンのMBTIのシナリオからしか人生が選べないのが現在の適正診断ロジックです。これに振り回される人事戦略は既に過去の遺物です。今は、脳認知科学と言われるプリンストン大学のアインシュタインや左右脳分割理で1981 年ノーベル賞を授賞したロジャー・スペリーなどの碩学たちが挙って長年研究をされた、人の脳認知性向と行動予測のアルゴリズムが存在します。8192パターンにも人間のパターンをきめ細かに細分化されることで、今まで見えていた自分だけではなく潜在的な自分についても併せて示される診断ロジックが出来上がっています。もちろんAIの短所を補完したStrong AIやビッグデータを活用しての診断も兼ね備え、そのロジック・根拠はすでに完成しています。ある企業では離職率が常に5割あったところが、今は社員側がその会社に対してモチベーションを持ち、逆に離職率がゼロになっているという結果も出ています。これは企業側からのアプローチで組織改革に依る人事最適化を図ったことが要因です。もちろん、個人ベースでこの診断を活用することで、今のポジションが最適かどうかを見極め、今後の糧としてもらうこともできます。

人は失敗を繰り返しながら成長をする、という持論と相反することもありますが、目標があって失敗することと目標がない中暗中模索で何となく失敗なのかもと感じるのとでは全く意味が違ってきます。茹でガエル組織の中で煮立ってしまわないうちに自組織、ご自身の今の状態に気付いてみませんか。脳認知科学にご興味のある人はぜひお声がけいただければと存じます。

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