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  1. 普遍的リスク対策 乙守栄一
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第30回モラルハザードによる信頼関係崩壊

普遍的リスク対策

ヒューマインド 乙守栄一 著

今、巷の世界ではモラルハザードに満ち溢れています。規律の喪失、道徳感の欠如ともいわれる事態に見舞われ、そういう世界でのビジネスが平気で罷り通っています。日本古来、お天道様が見ているよ、と言われて、悪いこと・道理に外れたことをすると必ず天罰が下ると親親戚・隣近所の人から良く言われたものです。しかし、天罰を罰とも感じない感覚のマヒした人たちが今の日本を謳歌していることも事実です。

契約書を取り交わしているにもかかわらずその契約内容に遵わない企業(社長)、部下に曖昧模糊な態度を取り、権限移譲をしていると言いながら実態は真逆で、契約自体を反古にさせてしまうケース。味方である側のメンバーが形勢不利となると道義を無視し、態度を急転させ、相手側に寝返るケース(詐欺的行為)。

自分さえ良ければそれでよい、自己中心的なケース。これらの人における共通ケースは何でしょうか?俗にいう“自分の欲望を叶えること”に対する執着が人一倍強い、ということです。
ある仕事の案件で発注者と受注者の関係を例に挙げます。通常、契約書を取り交わし、仕事の進捗・成果に応じて請求書を出し、期日までに振り込みがされるという当たり前のスキームがあったとします。当然、どういう成果を出すか、打合せや書面にて法人対法人の合意を取ったうえで仕事を進捗させていきます。打合せ等ではきっちり議事録を取り、確認を取って結果についても了解を取りながら進めていたにもかかわらず、当の仕様に全くタッチしない決裁者が突然登場し、出来が不満足、内容が違うと言い、それまでの合意形成を全く度外視し、支払いの遅延や支払いそのものを拒むケースがあります。

仕事を渡してやってるんだ、会社の金は代表取締役のモノと豪語する、まるで守銭奴のような対応を日頃行ない、ビジネスモラルの欠片もない実態が現に存在します。
声を荒げ、弁護士をも黙らせ、客だからと威張り散らす、そういう無茶を平気で通す独断と偏見の塊のような経営者も世にはまだまだ存在します。このようなケースはまだまだ序の口かもしれません。
そのような会社は大抵社員でさえモノのように扱い、頭を使わせるな(考えさせるな)と、人格を無視したような対応を社員に対して取っています。

信用、信頼という原点に立ち返った時、真の意味で何が信じることの起点になるでしょうか?それは最終的にどういう局面に陥ろうが、自己責任だということです。自分を信じて、結果をそのまま受け入れる。結果がどうあれ、自分が正しいと判断した場合、そのとおりの行動をとる。「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」、負けにははっきりした理由が存在するそうです(負けとは思い通りに行かないことも含みます。)。何か事がうまく運ばない大きなリスク因子が目の前に存在している、臭いがするという直感についても、何かしら生命本能的に感じ取るセンサー的な能力も予防措置として必要なのかもしれません。

一見、世界的に見て平和な日本も、一方では訴訟問題で溢れかえっています。法に依存せずとも事前に事を治められるものは道義で解決する、というのが人とヒトとの関係性の原点です。社会通念上のルールとでも申しますか。弱者に対しては手を差し伸べましょう、たばこのポイ捨てはしない、等々、社会生活を送るうえでは当たり前のことができる世界がモラルそのものです。

リスクマネジメントの世界ではあまりにも有名な窓割れ理論。ニューヨークのジュリアーニ市長が当時荒れていたニューヨークの街を割れている窓をなくすことは勿論のこと、街をきれいにする取り組みを行なったところ、街の治安が良くなったそうです。

欲望むき出しの人を如何に駆逐するか?とはいっても、人を変えようとしても変えられず、本人に気づかせなければなりません。まだまだ日本を謳歌するモラルハザード。当たり前のように通用していた道義が当たり前に通用する、そういう世の中に少なくとも身の回りに関係する方々だけでも想いを共有し、モラルハザードのない世の中を少しでも広げていく活動に皆さんも取り組んでみませんか。きっと有効な議論ができ、気分の良い状態が長期間続く“幸せ”に繋がります。

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