コロナ禍により、一部の労働者にテレワークが浸透し始め1年になります。毎日の通勤がなくなり、仕事中は自宅に籠ってしまうと、必然的に活動量が減ってしまう。また仕事とプライベートのオンオフが付きにくくなり、夜まで仕事をしてしまったり、食欲もないのに気づくと飲んだり食べたりしてしまう。など、運動不足や生活の乱れが懸念されています。その中で、わかりやすい変化の現れに「体重」があります。
某企業の2019-2020年健診結果(n860)から、コロナ禍の影響が健診にどのように反映されるのかを調査しましたのでご紹介いたします。
・体重が増えた人の割合はどのくらい?
さて、予想してみてください。同じ食事をしても運動不足が続けば代謝が下がるので、体重は増えます。また自宅にいるということは、食べ物や飲み物がすぐ手の届くところにあり、好きなタイミングで飲んだり食べたりもできます。こうしたテレワークの環境下では体重が増えた人は、何割ほどいたでしょうか。
予想といかがでしたでしょうか。「増えた人の方が多い」と予想しませんでしたでしょうか?少し、意外な結果でした。しかし、この結果を見て、自分や周りの人に聞いてみると確かに「維持しようとしている」「むしろ痩せた」など、の声も聞かれました。自粛が始まり「気を付けよう」と思い、食事の量を調整したり、運動を取り入れたり、早めに手を打った人もいたようです。痩せた人からは、「動かなくなった分、食欲もなくなった」「食べる時間がない」などの声もあり、またこれも別の意味で心配です。ただ全体の数字を見ると、維持できている人が多いので安心ですが、増えた人の増え幅を見ると、「肥満街道まっしぐら」の人も散見されます。つまり、体重を維持できる人=自己管理能力が高い人と、低い人の二極化が懸念されます。
・内臓脂肪と皮下脂肪の違い
同じように、腹囲の変化も見てみました。この結果では、女性の方が3cm以上増えた人の割合が多くなっています。
腹囲は、内臓脂肪・皮下脂肪の変化を表します。内臓脂肪は内臓周りにつく脂肪のことで、カロリーの摂り過ぎやお腹周りの筋肉量の低下により、重くなった内臓を支えきれなくなってしまうため、お腹が前に「どん」と突き出てくるのが特徴です。一般的には男性の方が付きやすいといわれています。一方、皮下脂肪は皮膚の下にある脂肪のことで、「つまめる」脂肪のことです。皮下脂肪には体温を保つ働きや、妊娠をしたときに赤ちゃんを守るクッション代わりにもなるため女性の方が付きやすい脂肪です。お腹だけに付くのではなく、腕や太ももなど全体に丸みを帯びてくるのが特徴です。
今回の結果から、女性は体重の変化は少ないのに腹囲の変化があるということは、筋肉量が減って脂肪に置き換わっていることも予想されます。家事と育児、仕事の合間に運動の時間を確保することがなかなか難しい状況の女性が、テレワークになり、唯一の運動であった通勤がなくなり、極端に動かなくなってしまったことが懸念されます。
健康診断の結果には、数値の変化だけでなく、生活習慣を見る問診項目があります。コロナ禍での運動不足が懸念される一方、通勤がなくなった時間で、新たに運動習慣ができた人もいるようです。次回は、問診項目の中の「運動習慣」について調査した結果をご紹介したいと思います。