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  1. 普遍的リスク対策 乙守栄一
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第71回 主観が巻き起こす脅威とそのリスク対策

「チームプレイ」という言葉はあらゆる局面で出てきます。ノーアウト一塁、次のバッターは一塁ランナーを二塁へ進めるため、バントを行なうケースがあります。これは自分を犠牲にしながらも得点の可能性のあるランナーを活かすための行為です。犠牲バントともいいます。チームが勝つために点が入る確率の高い攻撃鉄則があり、言い方を変えれば客観的なルールというか、王道が存在します。

これは仕事における「プロジェクト」でも同じです。「プロジェクト」を成功に導くためにプロジェクトメンバーは、それぞれ与えられた役割を着実にこなすことが求められます。ゴールが決まっていることに対して、如何に成功裏を修めるかが「プロジェクト」の目標であり、ターゲットとなるわけです。これも客観的なプロジェクト独自のルールの範囲内でメンバーは理解して行動します。

しかし、これが途端に主観が中心になると、「チームプレイ」「プロジェクト」は一挙に破綻に向かいます。自分の打ちたいように打つ、ランナーが一塁にいても一発ホームラン狙い、主観で自分のことしか考えない局面。往々にして内野ゴロなどでゲッツーを取られてしまうケースも存在します。「プロジェクト」も同様です。我が物顔で自分基準、俺流を貫くことで何の基準もない中、ゴールだけを目指せと言われても、生産性は悉く悪く、無駄を多く産み出します。時間の浪費など最たるものです。

主観が強い人がリーダーシップを取ると基準というものがなく、プロジェクトメンバーを混乱に陥れてしまいます。組織で仕事をした経験が少ない人、またそういう下積み生活を経験してこなかったプレイヤーには非常に多いパターンです。言い方を変えるならば全体を見渡す能力がなく、「プロジェクト」を走らせてしまう。「プロジェクト」の的外れなアジャイル化とでも言いましょうか、失敗すればその時点で、主観で何事も独断と偏見で物事を采配してしまい、一貫性が保たれない状態となります。政治の世界でもよく耳にするケースです。

会社など組織にある人事部はこのようなイレギュラーが発生しないように、社員教育を行ないつつ、行動指針などを常に示しながら、適性と本人の希望も参照しつつ、組織に人を配置していきます。徹底して組織の輪を乱さないように一定の縛り、牽制を取りつつ、仕事を廻しています。部署には適材適所、役割がこういう時に発揮されていることが非常に顕著に見えてきます。

主観中心の人が「プロジェクト」のタクトを握ると、それに巻き込まれたメンバーは精神的にかなりのストレスを抱えることとなります。これは健康経営と謳われる中では最も脅威になります。

仕事の成功は段取り八分と言います。この段取りが出来ていない時点で「プロジェクト」は失敗なのです。

では、そのリスク対策はどうすればよいのでしょうか?最も良い対策はそういう主観むき出しの人をリーダーに据えないということです。人は強制的に変えられるものではありません。本人が気づくしかありませんが、主観の強い人にとってはそういう気付きすら機会はやってこないのが常です。

ここでは少なくとも、自分が主観の強い状態になっていないかをチェックする対策をここに挙げます。ここまでの話に共感を持っていただける方にのみ打てるリスク対策10か条です。
1.主観的なリーダーの上位者へ越境し、その事情を訴え、対策を打診する
2.常に鳥の目(高い目線)、魚の目線(時系列の目線)で起きている事象を見つめる
3.同じ視点の仲間を探し、事象を共有することで自分の正当性を客観的に確認する
4.主観的なリーダーの元から離れられるならば、極力早く離れる
5.主観の強い人は往々にして攻撃的。Iメッセージでの会話(私を主語にする会話)をする。Youメッセージでの会話はNG(Youを主語にすると相手が聞く耳を持たなくなる<攻撃的になる>)
6.メールやSNS等、文面でのやり取りに終始しない。不毛なだけである
7.趣味等息抜きできることを探し、On、Offのメリハリをつける
8.メンターを見つける
9.論理的に論破できる(体力/精神力がある)のであれば、事務的に(感情的にはならずに)淡々と正当性を主張する
10.腹立たしくなったときは6秒間、間を置く(冷静になるため)

…アンガーマネジメント要素あくまでも私個人として考える10か条です。一つでもこの10個の対策から適応できそうだと共感いただけたら幸いです。

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