武道からみる青少年の成長リスクマネジメント
極真空手師範-東京本部長 杉原政則 著
昇級試験を行いました。内容は筆記と実技です。
特に杉原道場では「心の在りよう」を重視しますので、どれだけ道場訓を理解し日常生活に生かそうとしているのかを大切にしています。
小学生ですから本質的な「心のありよう」をすぐに実践することは難しいのですが、記憶に残し心に刻み根となってくれればよいと思っています。
子供たちの回答少し抜粋して掲載します。
質問は「教わったことをどんなことでも書きなさい。」です。
▶「力は自分のためでなくほかの人たちに使うことを努力したいです。」
▶「いじめやケンカは人生に必要ない。」
▶「むかむかしている人は弱い。」
▶「弱い人には優しく全力でせっする」
▶「無敵とは敵がいないこと」
▶「相手を突き飛ばさないで人とつながる。」
▶「本当は優しいことが強いのに、なんでアニメなどは怒りが強いのか?」
その他、黙想に関してや、身体的側面においては「軸」「バランス感覚」「足裏(MP間接/リスフラン関節)」など多くのことが書かれておりました。
相律為水
相律為水(あいりついすい)とは、武道のみならず人生の極意で、相手の自律に干渉せず、相手中心の動作を、私が水の如く自在に行うという意味です。
水は相手の形を変化させずに器を満たします。
剣豪・宮本武蔵の五輪の書にも記載されています。
相手の存在そのものには一切の干渉はせずに自律的に動いていただき、時空間のみ私が形成するありようです。
場と流れ以外は一切触りません。
しかし水の流れは相手の姿をままにして目的地に導きます。
場が整えば「気持ちよく」流れるでしょう。
この感覚を身につけることが稽古として重要です。
武道の技とすれば、このありようが整えば簡単に崩し技がかかるでしょう。
教育や子育てとすれば、子供を理想の方向に導けるでしょう。
相手の姿・形に触れる干渉や強制は一切必要ありません。
怖い顔も、大きな声も、罰も一切必要ありません。(叩くは論外)
むしろこのノイズが子供の道を曲げてしまいます。
子供に反抗期はありません。
親や教育者の様々なノイズが反抗を作っているのです。
私たち指導者のありようが「相律為水」であれば、そこに反抗の余地はありません。
道場では親御さんの為の学びの場も設けています。
私も未熟ものですが、子供たちの未来のため、
「きっとこうに違いない」
「これがよさそう」
などの曖昧さはさけ
「これで間違いない」
「これが絶対にただしい」
という固定観念を排除し
指導者自身が常に新鮮に学んで学んで検証して、さらに学んでいくことが大切と自分に言い聞かせています。