産業法務の視点から
平川 博氏
1.夏の風物詩
新年を迎えて間もない本年1月11日に、早くも「夏の風物詩、花火大会!8月開催の見どころな全国花火大会を紹介」と題する記事が、「エアトリトップ」というサイトに掲示され、一度は見ておきたい全国の花火大会が、以下のように紹介されています【引用者註:写真省略】。
■夜景を楽しみながら贅沢に!神奈川新聞花火大会
「神奈川新聞花火大会」では、みなとみらい21の夜景をバックに打ち上げられる花火を楽しむことができます。直径480mにもなる2尺玉が見どころで、関東最大級の花火ともいわれていて圧巻です。臨港パーク前の会場から打ち上げられるので、見る角度によっては海上に花火の雨が降り注いでいるような、ダイナミックな光景を目にすることができる、なんとも贅沢な花火大会です。毎年流行の音楽と共に花火が打ち上げられるので、音楽も楽しめる距離で観覧してみてください。
■関西では知らない人がいない!?みなとこうべ海上花火大会
兵庫県の神戸港一帯で打ち上げられる「みなとこうべ海上花火大会」では、尺玉はもちろん仕掛け花火も見どころです。毎年、神戸港を取り囲むようにたくさんの人が訪れるこの花火大会は、異国情緒あふれる街・神戸の夜景と共に夜空に咲き誇る大輪の花を楽しむことができます。打ち上げられる花火そのものはもちろん、色とりどりの花火が水面に反射して夜空がカラフルに輝いて見える美しい光景は、一度は見ておきたい景色のひとつといえるでしょう。
■テーマパークのような美しさ!ふくろい遠州の花火
静岡県の原野谷川親水公園で行われる「ふくろい遠州の花火」は、全国から選抜された花火の名人が競う全国花火名人選抜競技大会「8尺玉2発とスターマインの部」が見どころです。選び抜かれた名人だからこそ打ち上げることのできる、貴重な花火を間近で見ることができます。さらに、全長200mを超える大仕掛け「空中ナイアガラ」では雄大な富士の山が目の前に現れ、ほかでは見ることのできないテーマパークのような花火が打ち上げられます。
■諏訪湖に響き渡る「音」も楽しんで!諏訪湖祭湖上花火大会
長野県の「諏訪湖祭湖上花火大会」は、1949年に開催されて以来、毎年多くの人々を魅了する歴史ある花火大会です。大会は2部構成になっており、第1部では競技花火を、第2部では大規模なスターマインを楽しめます。
この花火大会で楽しめるのは、鮮やかな花火の美しさだけではありません。
会場となる諏訪湖は周辺を山で囲まれているため、花火が破裂する「音」が山々に響き迫力満点です。
■広大な敷地ならではの花火!長岡まつり大花火大会
「長岡まつり大花火大会」は、日本三大花火大会のひとつともいわれていて、新潟県長岡市にある信濃川河川敷で2日間にわたり行われます。さまざまな種類の花火を楽しめる大会ですが、なかでも直径650mにもなる信濃川に降り注ぐ滝のような正三尺玉や、幅約2kmにもわたり打ち上げられる復興祈願花火フェニックスが見どころです。信濃川という広大な河川敷での開催だからこそ打ち上げることができるフェニックスは、ほかではなかなか見ることができないでしょう。
■幻想的な世界が目の前に!宮島水中花火大会
世界文化遺産や日本三景のひとつにもなっている宮島での「宮島水中花火大会」。水中から打ち上げられる扇型の花火の光に大鳥居の影が浮かび上がり、幻想的な雰囲気を楽しめます。この大会の見どころは、なんといっても100発もの水中尺玉です。数ある水中花火のなかでも、これだけ大規模な水中花火が打ち上げられるのは宮島水中花火大会だけといわれています。…(中略)…
■西日本最大級の花火大会!筑後川花火大会
「筑後川花火大会」は福岡県久留米市で行われる、西日本最大級の花火大会です。18,000発打ち上げられる花火のなかでも、2会場で同時に点火するナイアガラでは、会場から大きな歓声がわき上がります。また、400店以上もの露店が出店されるので、久留米ならではのB級グルメなどを味わいながら花火を楽しむことができます。
(https://www.airtrip.jp/travel-column/19222)
2.秋の花火大
近年は夏だけでなく、冬でも年末から年始にかけて(特にクリスマスや大晦日に)花火大会が開催されるようになっていますが、本年2月末に、産経ニュースで「多摩川花火、今年から10月開催に 昨年は落雷…天候不安定な夏を回避」(2018.2.27 16:45配信)という見出しの下に、以下のように報じられました。
川崎市と東京都世田谷区は、毎年8月に多摩川両岸の河川敷で同時に開いている「多摩川花火大会」と「世田谷区たまがわ花火大会」を今年から10月開催に変更することを決めた。豪雨などで天候の不安定な夏を避けるためとしている。
両花火大会が荒天のため中止となった昨年は、世田谷区側の河川敷に落雷があり、花火を見るため来ていた9人がしびれなどを訴えて病院に搬送された。
今年は10月13日に開き、開始時間を1時間繰り上げ、午後6時からとする。例年通り、両岸で計約1万2000発の打ち上げを予定している。
(https://www.sankei.com/life/news/180227/lif1802270036-n1.html)
このほかにも、「乗換案内のジョルダン」というサイトの「季節特集」「花火大会特集」というカテ中、「10月の花火大会」と題するウェブページによれば、本年10月に以下の花火大会が開催される予定です。
13日 第17回こうのす花火大会(埼玉)
20日21日 第41回浦添てだこまつり(沖縄)
27日 第36回調布花火(東京)
(https://sp.jorudan.co.jp/hanabi/calendar_10.html)
3.花火大会の事故
(1)爆発事故
花火は火薬という危険物を大量に含有しているので、爆発事故がつきものです。主要な花火大会での人身事故を一覧表にすると、以下のようになります。
年 月 日 | イベント名 | 概 要 |
1982年8月14日 | 焼津市海上花火大会 | 作業員1名重傷 |
1982年8月18日 | 佐和田花火大会 | 作業員1名重傷 |
1985年8月14日 | 宮島水中花火大会 | 作業員1名死亡 |
1987年8月2日 | 豊田祭り花火大会 | 作業員3名負傷 |
1989年8月2日 | 山下公園花火大会 | 花火師2名死亡、7名負傷 |
1996年8月15日 | 阿賀野川花火大会 | 観客35名負傷 |
1999年8月27日 | 古賀市納涼花火大会 | 観客16名負傷 |
2001年7月20日 | 名古屋みなと祭花火大会 | 作業員2名負傷 |
2001年8月2日 | 長岡まつり大花火大会 | 花火師1名負傷 |
2001年8月4日 | 酒田花火ショー | 観客8名負傷 |
2001年8月4日 | 岡崎観光夏まつり花火大会 | 観客1名負傷 |
2001年8月16日 | 本宮市夏まつり | 観客6名負傷 |
2002年7月27日 | めまんべつ観光夏まつり | 観客2名負傷 |
2002年8月12日 | (旧)出雲市の花火大会 | 観客2名負傷 |
2002年8月14日 | 道新十勝川花火大会 | 観客1名死亡 |
2003年6月5日 | 熱田まつり | 作業員2名負傷 |
2003年7月20日 | 浦添てだこまつり | 観客1名負傷 |
2003年7月27日 | 豊田おいでんまつり | 観客1名負傷 |
2003年8月2日 | 越谷花火大会 | 観客1名負傷 |
2003年8月10日 | 矢部川物語花火大会 | 消防団員1名負傷 |
2003年8月14日 | 夏まつりMINO花火大会 | 作業員1名負傷 |
2003年8月16日 | 黒坂納涼まつり | 花火師1名死亡、観客1名負傷 |
2003年8月16日 | 前沢夏まつり花火大会 | 観客1名負傷 |
2003年8月23日 | かつれんまつり | 観客2名負傷 |
2003年9月6日 | 古戦場フェスティバル大花火大会 | 観客1名負傷 |
2003年11月8日 | まつり山陽2003前夜祭 | 花火師2名死亡、2名負傷 |
2004年7月24日 | うわじま牛鬼まつり | 消防団員1名負傷 |
2004年7月30日 | まつりのべおか花火大会 | 観客1名負傷 |
2004年8月3日 | 遠賀川川開き飯塚納涼花火大会 | 観客1名負傷 |
2004年8月7日 | 藤枝花火大会 | 観客5名負傷 |
2004年8月8日 | 松山港まつり花火大会 | 観客1名負傷 |
2004年8月10日 | 本郷村天満宮夏祭り花火大会 | 作業員1名負傷 |
2004年9月12日 | 小松島港まつり花火大会 | 観客1名重傷 |
2005年4月12日 | 琉球海炎祭2005花火大会 | 観客5名負傷 |
2005年7月23日 | 一色まつり奉納花火 | 観客1名負傷 |
2005年7月31日 | 米子がいな祭花火大会 | 観客2名負傷 |
2005年8月3日 | 飛騨高山花火大会 | 観客1名負傷 |
2005年8月4日 | おんじゅく花火大会 | 観客1名負傷 |
2005年8月27日 | 大宮諏訪神社秋季祭典奉納花火 | 観客1名負傷 |
2005年8月27日 | 豊川手筒まつり | 観客1名負傷 |
2006年7月16日 | なかふらのラベンダー祭り花火大会 | 観客2名負傷 |
2006年7月29日 | 美作ふるさと祭り花火大会 | 観客1名負傷 |
2006年8月5日 | 足利花火大会 | 観客1名負傷 |
2006年8月13日 | 出雲神話まつり花火大会 | 観客2名負傷 |
2006年8月14日 | やんもの里花火大会 | 観客2名負傷 |
2006年8月15日 | たかぎふるさと祭り | 観客1名負傷 |
2006年8月16日 | 川内川花火大会 | 観客1名負傷 |
2006年8月19日 | おん祭MINOKAMO2006夏の陣 | 観客1名負傷 |
2006年8月26日 | 志賀高原大蛇祭の花火大会 | 観客2名負傷 |
2006年9月2日 | 釧路大漁どんぱく花火大会 | 観客1名負傷 |
2006年10月14日 | 土浦全国花火競技大会 | 作業員2名負傷 |
2006年12月3日 | 秩父夜祭り | 作業員1名負傷 |
2007年7月26日 | 足立の花火 | 観客1名負傷 |
2007年8月4日 | 海上花火大会(魚津市) | 台船操作員3名負傷 |
2007年8月5日 | 酒田花火ショー | 観客13名負傷 |
2007年8月5日 | 鹿児島県上屋久町花火大会 | 作業員4名負傷 |
2007年10月14日 | 龍勢祭り | 観客4名負傷 |
2008年8月4日 | 北日本新聞納涼花火 | 観客1名負傷 |
2008年8月14日 | かみ鳴瀬川大花火大会 | 観客1名負傷 |
2008年8月15日 | 津野町夏祭り | 観客11名負傷 |
2008年8月21日 | 石和温泉花火大会 | 観客1名負傷 |
2008年8月30日 | いせさき花火大会 | 観客14名負傷 |
2008年9月13日 | 炎の祭典(炎の舞) | 作業員1名負傷 |
2009年8月1日 | 江戸川区花火大会 | 観客3名負傷 |
2009年8月14日 | ひだ神岡夏まつり | 観客1名負傷 |
2009年8月14日 | 勝毎花火大会 | 観客4名負傷 |
2009年8月22日 | 婆娑羅花火大会 | 観客1名負傷 |
2009年9月9日 | 片貝まつり花火大会 | 観客2名負傷 |
2009年9月10日 | 観客2名負傷 | |
2010年8月7日 | 豊明夏祭り | 観客1名負傷 |
2010年8月15日 | 川尻精霊流し/花火大会 | 観客1名負傷 |
2010年8月15日 | 山の神の火祭り | 観客2名負傷 |
2010年8月21日 | 東仙台市協和会夏祭り | 観客1名負傷 |
2010年8月21日 | 伯方島花火大会 | 観客1名負傷 |
2010年8月26日 | 逗子海岸花火大会 | 観客6名負傷 |
2010年8月28日 | キンニャモニャ祭 | 観客1名負傷 |
2010年9月11日 | 鳩ヶ嶺八幡宮秋季例大祭 | 観客2名負傷 |
2010年9月11日 | 今宮郊戸八幡宮秋季祭典 | 観客2名負傷 |
2011年7月30日 | 小海ふるさと祭り・祇園祭 | 観客6名負傷 |
2011年8月27日 | 尾張旭ふれあい夏まつり | 観客2名負傷 |
2011年8月27日 | 隅田川花火大会 | 観客1名負傷 |
2011年11月3日 | 琉球王朝祭り首里花火大会 | 観客1名負傷 |
2012年7月14日 | 伊勢神宮奉納全国花火大会 | 観客1名負傷 |
2012年7月21日 | ひだか樹魂まつり | 観客2名負傷 |
2012年7月28日 | 隅田川花火大会 | 観客1名負傷 |
2012年8月3日 | 宝塚観光花火大会 | 観客1名負傷 |
2012年8月4日 | 観客1名負傷 | |
2012年8月5日 | 深谷花火大会 | 観客1名負傷 |
2012年8月13日 | お盆の迎え火/花火大会 | 作業員1名重傷 |
2012年8月25日 | 天狗の火舞 | 観客1名負傷 |
2012年10月7日 | 深沢七社神社大例大祭 | 作業員1名重傷 |
2012年10月7日 | 羽田八幡宮例大祭(羽田祭) | 作業員2名負傷 |
2013年5月3日 | 岩国くすのき花火フェスティバル | 観客3名負傷 |
2013年7月25日 | 弥彦燈籠まつり奉祝花火大会 | 観客1名負傷 |
2013年7月27日 | 隅田川花火大会 | 観客1名負傷 |
2013年7月27日 | 半場祭り花火大会 | 警備員1名負傷 |
2013年7月27日 | 岐阜新聞大垣花火大会 | 観客1名負傷 |
2013年8月2日 | 水郷おみがわ花火大会 | 観客3名負傷 |
2013年8月3日 | つばた町民八朔まつり | 観客1名負傷 |
2013年8月3日 | 天王宮大歳神社夏季大祭奉納煙火 | 作業員2名負傷 |
2013年8月3日 | 牛窓花火大会 | 作業員1名重傷 |
2013年8月9日 | 飛騨高山手筒花火打ち上げ | 観客1名負傷 |
2013年8月9日 | 新潟まつり | 観客1名負傷 |
2013年8月11日 | 佐渡の盆・獅子ヶ城まつり | 観客2名負傷 |
2013年8月12日 | 城下町新発田まつり | 船頭1名負傷 |
2013年8月19日 | 土肥サマーフェスティバル | 観客3名負傷 |
2013年10月20日 | 水平線の花火と音楽 | 観客1名負傷 |
2014年8月6日 | 宝塚観光花火大会 | 観客3名負傷 |
2014年8月23日 | 八千代ふるさと親子祭花火大会 | 観客1名負傷 |
2014年9月13日 | 炎の祭典 | 作業員1名負傷 |
2015年7月19日 | 豊橋祇園祭 | 観客2名負傷 |
2015年7月25日 | みちのく川崎手筒花火フェスタ | 観客1名負傷 |
2015年7月26日 | 多伎キララまつり花火大会 | 観客1名負傷 |
2015年7月19日 | 豊橋市豊川河川敷 | 観客2名負傷 |
2015年7月26日 | 富士まつり | 観10名負傷 |
2015年8月1日 | 美濃市中日花火大会 | 観客2名負傷 |
2015年8月2日 | おおさき花火大会 | 観客1名負傷 |
2015年8月4日 | 神奈川新聞花火大会 | 作業員1名負傷 |
2015年8月8日 | 銚子みなとまつり花火大会 | 観客3名負傷 |
2015年8月8日 | 可児夏まつり | 観客3名負傷 |
2015年8月9日 | 新潟まつり花火大会 | 観客1名負傷 |
2015年8月16日 | 舘浦花火大会 | 作業員1名重傷、2名負傷 |
2016年8月13日 | 奥地の海のかーにばる | 観客3名負傷 |
2016年8月14日 | 月の輪まつり花火大会 | 観客1名負傷 |
2016年8月20日 | 赤川花火大会 | 観客3名負傷 |
2016年8月26日 | 平塚市相模湖河口 | 観客2名負傷 |
(2)群衆雪崩
2001年7月21日に明石市の歩道橋で、花火大会終了後に多数の死傷者が発生する惨事が発生しました。この事故について、「失敗百選」というサイトの「一般事故」というカテ中、「明石の歩道橋上の圧死(2001)」と題するウェブページでは、以下のように記載【引用者註:抜粋】されています。
【事例概要】
花火打上げ終了後、歩道橋上の南端で花火を見ていた見物客らがJR朝霧駅のある北側に向けて一斉に移動開始。 逆に北側から南側にゆっくり歩いていた見物客の人波にぶつかった。
入場制限や通行制限をしなかったため、歩道橋上に滞留していた約6400人(推定)が押合いとなり、歩道橋の海岸 側南端から5m北側付近で6~7人が最初に折り重なって転倒し、その空隙に向かって次々と多数の人が倒れこみ、 最終的に300~400人が巻き込まれた。11人が死亡し222人が怪我をした。
【原因】
①限度を超えた群集の歩道橋への殺到
花火大会は短時間集中型のイベントであり、1万人程度しか通行できない歩道橋に3~4万人もの人が短時間に集中してしまった。しかも、歩道橋の上は格好の花火見学場所であり、集中したことは当然であった。このことを準備段階で検討されていなかった。
②人の流れを阻害した歩道橋の「ボトルネック」の存在
歩道橋の幅員が6mであったにもかかわらず、そこから下に下りる階段の幅員が3mであった。当然階段の手前で滞留が発生する。
③正面衝突する人々の対抗流の形成
花火が終わりかけた頃から、歩道橋で見物していた人は、駅方向に帰ろうとする、花火が終わってもなお会場に向かおうとする流れと衝突してしまった。一方通行や分断通行などの規制をかけなかった警備のありかたに問題があった。
(http://www.sydrose.com/case100/324/)
(3)露店爆発事故
消防庁が作成した平成25年10月4日付「火災の原因調査結果(京都府福知山花火大会火災)」と題する文書では、以下のように記載されています。
1 はじめに
(1) 発生日時等
発生時刻:平成25年8月15日19時28分頃…(中略)…
(2) 発生場所
京都府福知山市 由良川左岸(音無瀬橋下流約60m)
(3) 死傷者
死 者 3人(男性2人、女性1人)
負傷者 56人(うち重症16人 中等症14人 軽症26人) …(中略)…
2 火災の状況
露天商店舗が発電機に使用していたガソリンの火災により、死者及び負傷者が多数発生したもの。
(1) 火災発生場所の状況
火災発生場所は、京都府福知山市由良川左岸(音無瀬橋下流約60m)であり当日は19時30分から花火大会が開催されることから、多数の観客で混雑している状況にあった。また、現場近傍には、火気を使用する露店が出店し、露店の照明等の電源としてガソリンを燃料とする可搬式の発電機及びガソリン携行缶が置かれていた。
(2) 火災の状況
露店関係者が発電機に燃料を補給する際に、ガソリン携行缶からガソリンが噴出し、周囲の観客に降りかかるとともに、露店の方向にも噴出し、引火し爆発的に燃焼したもの。
(3) 出火原因
露店の火気設備と考えられる。
3 多数の死者、負傷者が発生した要因
多数の死者、負傷者が発生した要因としては、ガソリン携行缶から液状のガソリンが噴出し、引火し爆発的に燃焼したものであり、液状のガソリンが噴出した原因は以下のとおり推定される。
○ガソリン携行缶は長時間、発電機の排気を受ける状況に置かれており、液温が 80℃~90℃程度まで上昇していたものと考えられること。
○液温上昇により、ガソリンの蒸気圧が、250kPa程度に上昇していたものと考えられること。
○ガソリン携行缶の蓋を外したことにより、携行缶の内圧が低下し、ガソリンに突沸現象が発生し、気泡混じりの液体としてガソリン携行缶から噴出したものと考えられること。
(http://www.fdma.go.jp/neuter/about/shingi_kento/h25/okugai_kasaitaisaku/kankei1.pdf)
4.結語
真夏の花火は、夕涼みに最適で、7月下旬から8月末にかけて、規模は数百人から百万人に至るまで大小様々ですが、全国各地で花火大会が催されています。夜空を彩る花火は迫力がありますが、爆発や降り落ちる火の粉による事故が、毎年あちこちで起きています。保安距離の外側は、立ち入り禁止ではありませんが、境界付近は燃え残りの火の粉が身体に降りかかる危険性があります。また、大勢の人が集まったり、移動したりするので、衝突や将棋倒し等の事故も起きています。折角の楽しい行事が惨事にならないよう、主催者も観客も、安全確保に万全を期すことが望まれます。