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  1. 外見リスクマネジメント 石川慶子
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第15回 ISO31000のステップで外見リスクマネジメントを進めるメリット

なぜ、リスクマネジメントなどといった小難しい言葉を使うのか。イメージコンサルティングと何が違うのか、そのような質問を受けますが、目的が異なります。外見リスクマネジメントの真の目的は、個人のリスク感性を磨くことで組織におけるリスクマネジメントを実現することだからです。

リスクマネジメントは組織的に取り組む必要がありますが、仕組みだけ作っても運用する個人のリスク感性がなければ形骸化してしまいます。かといって、コンプライアンスを声高に叫んで、あれもだめ、これもだめ、これを守れ、では組織は硬直化し、雰囲気は暗くなってしまいます。

楽しくリスクマネジメントに取り組める方法はないだろうか、と10年間以上ずっと考え続けてきました。そして、個人の外見リスクに焦点を当て、自分を客観視する訓練が積み重なれば、組織的なリスク感性を高めることにつながるのではないか、と閃いたのです。

企業は売上が上がれば上がるほど期待の高まりとリスクは増大します。同様に人は社内外での地位が上がれば上がるほど周囲からの期待は高まり、その期待に応えていない外見は信頼を失墜すると考えることができます。外見は個人的に対処すべき課題として議論されがちですが、個人の判断にゆだねることで評判を落とす事例は数多くあります。

例えば、2017年に発覚した自動車会社の不祥事では、広報部長と担当の事業部長がノーネクタイ、ストライプシャツ、スーツボタンをしめず、ネームホルダーをつけたまま記者クラブで謝罪したため、その姿を批判する報道がなされました。これは避けられた報道です。言葉だけではなく、外見も含めて謝罪の伝えることの重要性がわかる事例です。

当協会では、2009年に発行された(2018年改訂)リスクマネジメントの国際的ガイドラインISO31000の普及促進を目指しています。このISO31000は企業だけではなく、あらゆる組織、家族、個人でもリスクマネジメントを実践できるステップを提示しています。筆者が提唱する外見リスクマネジメントもこのフレームワークで進めますので、楽しくリスクマネジメントを学ぶことができます。

外見リスクマネジメントを進める方法は8ステップを推奨しています。
ISO31000のフレームを比較しながら構築したところ、ちょうど8分解できることを発見しました。外見リスクマネジメントを照らし合わせてみましょう。最初に記録方法を決めます。今であればスマホがあるのでメモや自分の姿を写真・動画で撮影が可能です。「組織の状況の確定」は、「自分自身の今の姿に向き合う。実際どう見られているのか。客観的な視点を持つこと」。「リスクの特定」「分析」「評価」「対応」は、「外見における課題と魅力はどこか洗い出すこと。一番の課題はどこか。髪型なのか、服装なのか、姿勢なのか。対策の優先順位をどうするか。取り組みやすいのは何か。時間的制限はあるか。どこに間に合わせればよいのか。新製品発表会か、株主総会を目標としてはどうか。予算は発表会予算に組み込むかIR予算に組み込むか、メディアトレーニングだけ実施して基本知識だけとするか、服も衣装代として一式組み込むか、ヘアカットやメイクは含めるか、眼鏡は個人負担とするか、どこまで予算が組めそうか。すぐにできる清潔感を演出する手法はなにか、秘書や広報担当者、あるいは本人の努力でできることは何か。専門家の支援はどこから必要か。「モニタリング&レビュー」「コミュニケーションおよび協議」は、「取り組んだ結果、周囲に清潔感を与えることになったか」「評判を高めたか」。詳細は次の回から解説します。

その後、2019年に認知行動療法の「身体イメージ自己学習」を学ぶ機会がありました。認知行動療法とは、ストレスの対応できる心の状態を作ることです。私達人間は自分が置かれている状態を主観的に判断していることから生じる歪み、ストレスといった問題をイメージと行動変化の訓練で解決していきます。外見についての認知行動療法でしたが、8ステップで自分の外見への思い込みを改善するプログラムで進め方も似ていました。この8ステップ、案外黄金のステップなのかもしれません。本コラム6回目に「うつ病対策としての外見トレーニング」で紹介したことにもつながります。心のケアだけに頼らず外見ケアもセットで、あるいはそこからアプローチすれば、コロナで増えたひきこもりやうつ病改善に役立つのではないかと期待しています。

話をISO31000に戻しましょう。このガイドラインにおいて、リスクマネジメントを効果的にものにするためには、「リスクマネジメントは価値を創造し、保護する。リスクマネジメントは安全性、保安、法律および規則の順守、社会的受容、環境保護、製品品質、統治、世評などの、目的の明確な達成及びパフォーマンスの改善に寄与する」ことが望ましいとされています。リスクマネジメントはコストとして認識されがちですが、「投資」としてとらえよ、というメッセージです。外見リスクマネジメントも同様に、外見を意識することは、その人が持っている価値を守り、創造する、そして会社の評判を守ることにつながるでしょう。

【外見リスクマネジメント基礎講座】
第15回目「ISO31000を活用した外見リスクマネジメントの進め方」
解説動画は下記リンクにあります。
https://www.youtube.com/watch?v=qaugFSgFn4o&list=PLbANqE9yI7mH92-uNAIO2_S-atL0LqbuF&index=15&t=2s

【参考図書・サイト】
「アピアランス<外見>の心理学」(2017 福村出版)
認知行動療法センター https://www.ncnp.go.jp/cbt/guidance/about

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