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第36回 BCPの新常識、マルチハザードBCP

現代の日本において、企業を取り巻くリスクは多様化の一途をたどっています。
地震をはじめ、気候変動に伴う豪雨、風水害などの自然災害。
火災や爆発、テロや情報漏洩などの人為的な災害、サイバー攻撃、サーバーダウンなどIT関連の災害。そしてパンデミック。
これらすべてのインシデントに一つ一つBCPを策定し使い分けるのは現実的ではありません。
そこで新たな考え方として「マルチハザードBCP」や「オールハザードBCP」という考え方です。
では、「マルチハザード」とは何か?

「マルチハザード (Multi hazard)とは、「国家または社会をとりまく危機的要因が多様化している状況及び時代的背景」を意味する 概念 である。 世界的にも 地震 、 風水害 などの 自然災害 や大事故 や CBRNE 災害 、有事、或いは 犯罪、感染症 の拡大、食品の安全への不安、住環境の欠陥といった様々な危機が発生している。 また、 米中間における軍事的衝突の潜在的可能性 もあり、マルチハザードという概念は、このような多様な危機に対処できる国または社会環境の整備が課題となったことにより用いられるようになったものである。」(Wikipediaより)

マルチハザードBCPはどのようなインシデントに対しても一本化した方法で対応することで、いくつもの対応計画を作成して使い分ける必要がない、というものです。
多くの企業は災害発生時の手順書、マニュアルを作成することでインシデント対応が実現できる。と思っているかもしれません。良いインシデント対応とは良い手順書ができていることが前提で、それぞれの対応策が事細かく書かれている必要がある。そんなイメージをもっているひとが多いです。
ですが、マルチハザードは手順書やマニュアルではなく、緊急時に対応できる機能を持った組織が対応するという考え方です。機能を持った組織に属する人がその役割を果たすための教育や訓練をしなければいけません。手順書やマニュアルは補助的なものであり、重要なのは緊急時に対応ができる人を育てること。それがマルチハザードなのです。
今までの考え方はBCPという文書を作っておくことが重要視されてきましたが、リスクの多様化に伴って、私たちの行動も考え方も変えていかなければいけません。事業継続は文書を作ることではなく行動すること。緊急時にすばやい対応ができる人材の育成や組織づくりではないでしょうか?

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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