あの記者会見はこう見えた!
石川慶子氏
週刊スパ!は2018年12月特集で「ヤレる女子大ランキング」を掲載。この特集に対し、女子大生による署名サイトが立ち上がり、大学も抗議。海外もBBC、TIME、CNNと次々に報道。その結果、扶桑社とSPA!編集部は謝罪に追い込まれました。この一連の出来事を誰がどう教訓とするとよいのか考えてみましょう。
対話という収束はあり
まずは時系列でふりかえりましょう。
12月18日発売(25日号)特集で掲載「ヤレる女子大ランキング」
1月4日 署名サイト立ち上がる(10日昼までに4万集まる)
1月9日 実名を掲載された各女子大から抗議
1月9日 発行者と編集長名で謝罪文の発表、海外でも報道される
1月14日 女子大生が編集部を訪問、2時間対話
この報道に接した時は、「よくある話、編集部はクレームが来ることは予測済みで、むしろ抗議によって雑誌が売れる効果を狙ったのではないか」とも考え、あまり関心は持ちませんでした。改めて何が問題だったのか、を考えてみたいと思ったのは、「編集部での対話」があったからです。こうゆう収束はなかなかいいのではないかと感じました。侮辱されたと怒り、それに対して謝罪して許す、に留まらず、「対話」をしてどうすればよかったのか、何が悪かったのか、これからどうしたらいいのかを編集部だけで考えるのではなく、被害者と一緒に考える、という姿勢です。対話では、女子大生らから「性的同意」という視点での企画提案もあったとのことですから、非常に前向きです。「対話」という気持ちの良い収束は大変気に入りました。
どこで間違った?
では、この収束は誰がどうリードしたのだろうか、とさらに興味が湧いてきました。つまり、編集部は最初から、炎上を狙い、謝罪も予測範囲内、対話もSPA!ならではの新しい収束アイディアだったのかと。編集部関係者によると、「ある程度の反発は予測済み。そもそもそうゆう雑誌だから。大学からの抗議はあるだろうとは考えていたが、女子大生の署名運動や対話の申し入れまでは予測していなかった。海外まで報道されたのは驚いた。影響の大きさを実感した」とのこと。つまり、今回は編集部の予測を超えた波及であったこと、対話は女子大生からの申し入れであったことがわかりました。SPA!リード型ではありませんでしたが、女子大生らに直接謝罪し、対話したことで、多くの女子大生も怒りの矛を収めることができたのではないでしょうか。
予測が間違ったりすることはあります。予測が違って危機が起きてしまったら、ダメージを最小限にする行動をすることでリカバリーの道が見えてきます。SPA!はリスクを予測して回避するというリスクコントロールはできませんでしたが、迅速な謝罪と対話でダメージコントロールはできたのではないでしょうか。これからのSPA!企画に期待をしたいと思います。
参考
署名サイト http://urx.red/qRVd
扶桑社発行人と編集長による謝罪文
https://www.fusosha.co.jp/news/info/info_article/335
5大学の抗議文まとめ
http://urx.red/SVQO
海外はどう報じた?
https://www.huffingtonpost.jp/2019/01/09/spa-kaigaimedia_a_23638802/
女子大生が編集部を訪問。編集長は改めて謝罪し対話。
https://www.asahi.com/articles/ASM1H5VMHM1HUTIL039.html