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第20回「国土強靭化地域計画のすすめ」

BCPにまつわる話

千葉賢治氏

国が進めている国土強靭化計画と並行して進めているのが「国土強靭化地域計画」です。
国土強靱化地域計画とは、地方公共団体の策定する国土強靱化計画です。
地域計画は、国土強靱化の観点から、地方公共団体における様々な分野の計画等の指針となるものであり、国における基本計画と同様に、地域における国土強靱化に係る計画等の指針としての性格を有するもの(以下「国土強靱化に係る指針性」という)です。

すなわち、地方公共団体の各種計画等について、国土強靱化の観点から必要な見直しを行うものです。

策定の必要性

地域計画の策定は法律上、義務規定とはなっていませんが、地域の強靱化を総合的・計画的に実施することは、地方公共団体の責務として定められています。
地域が直面する大規模自然災害のリスク等を踏まえて、地方公共団体が地域の強靱化を総合的かつ計画的に推進することは、住民の生命と財産を守るのみならず、経済社会活動を安全に営むことができる地域づくりを通じて、地域の経済成長にも資するものであり、極めて重要なものです。

なお、地域強靱化を実効あるものとするためには、国における取組のみならず、地方公共団体や民間事業者を含め、関係者が総力をあげて積極的に取り組むことが不可欠です。

策定のメリット

1、災害発生時の被害を小さくすることは、強靱化の取組の主たる目標であり効果となります。
発災前における(=平時の)施策を主たる対象に、防災の範囲を超えた総合的な対策を内容とする地域計画を策定し、当該計画に基づく取組を通して地域が強靱化されれば、大規模自然災害等が起こっても、被害の大きさそれ自体を、小さくできます。

、地域計画の策定、進捗を管理することによって、庁内の意識の共有や推進力の出現、関係府省庁の交付金・補助金の活用などにより、各種の施策(事業)のスムーズな進捗が期待できます。
法定計画である地域計画を策定し、施策(事業)の優先順位を「対外的」にすることで、国土強靱化に係る新規・既存の各種の施策(事業)が、より効果的かつスムーズに進捗することが期待できます。
地域計画策定の際には部局横断的に脆弱性評価や対応方策の検討に取り組むため、策定後は各部局が「強靱化」という共通の目標を意識しながら所管施策(事業)を実施できるようになります。また、部局間の相互理解や庁内の情報共有が進み、施策(事業)をスムーズに推進できるようになります。
関係府省庁においては、『国土強靱化地域計画に基づき実施される取組に対する関係府省庁の支援について』を決定し、地域計画に基づく取組に対して関係府省庁所管の交付金・補助金による支援が行われています。支援の具体的な事例については、活用事例(資料編参照)を参照してください。

、強靱化の推進により地域の災害対応力が高まることにより、住民や民間事業者の地域に対する安心・安全感の高まりも期待できるため、強靱化で地域を成長させるという発想も重要です。
地域の強靱化は、大規模自然災害等の様々な変化への地域の対応力の増進をもたらし、地域の持続的な成長も促すものです。さらに、地域計画及びそれに基づく取組を国内外に周知・広報することを通じて、当該地域が内外から適正に評価され、結果として投資を呼び込むことにもつながります。
強靱化と地域活性化が連動し、相乗効果を上げることが期待されています。詳細と、地域計画と地方創生の関係については後述します。
独自の施策分野として「地域振興」や「若者定住」などを掲げ、強靱化の取組と地域活性化の取組を併せて推進する市町村もあります。
強靱化の取組により地域が災害に強くなることは、地域住民や地域に展開する民間事業者にとっても有益となります。地域計画を策定した暁には、地域の内外へアピールしていくことも地域の成長にとって重要です。

すでに幾つかの市町村では、策定済み、もしくは策定中です。
住民や企業を守る為、未策定の地域においては、BCPと並行して検討されてはいかがでしょうか?

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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